【100円のおにぎりで刑務所へ?】「反省すれば更生する」という刑事司法の“大前提”が、知的障害者に通用しない理由

【100円のおにぎりで刑務所へ?】「反省すれば更生する」という刑事司法の“大前提”が、知的障害者に通用しない理由
「コンビニでおにぎり1個を盗んで刑務所行き」
ニュースでそんな見出しを見て、「厳しすぎるのでは?」と思ったことはありませんか?
しかし、現実には刑務所の中に、軽微な犯罪を繰り返した結果、収監されている知的障害のある方が一定数存在します。
なぜ彼らは「福祉による支援」ではなく、「刑事司法による処罰」を受けることになってしまうのか。
山口県立大学の水藤昌彦先生は、その原因を「刑事司法が前提としている“人間像”」にあると解説します。
今回は、司法の論理と障害特性のミスマッチについて掘り下げます。
この記事は、スペシャルラーニングのSL195から抜粋して作成しています。
講師は、元法務省矯正局の委員であり、山口県立大学社会福祉学部社会福祉学科の教授の水藤 昌彦(みずとう まさひこ)先生です。

司法の前提は「誰もが合理的に判断できる」こと
刑事司法というシステムは、ある一つの「前提」の上に成り立っています。
それは、「この社会にいる大人は全員、合理的に判断する力を持った『強い個人』である」という前提です。
司法のロジックはこうです。
- 犯罪をした人には、財産や自由を奪う「刑罰(不利益)」を与える。
- 合理的な人間なら、「不利益を被るのは嫌だ」と考える。
- だから、「懲りて反省し、二度と犯罪をしなくなる」はずだ。
しかし、このロジックには大きな落とし穴があります。
知的障害などの特性により、「長期的な不利益(刑務所行き)」よりも「目の前の欲求(お腹が空いた)」が勝ってしまう方や、因果関係の理解が難しい方に対しては、この「合理的な計算」が通用しないのです。
なぜ「おにぎり1個」で実刑になるのか?
では、なぜ軽微な万引きでも刑務所に入ることになるのでしょうか。
それは、日本の裁判が「行為」と「結果」を重視し、繰り返されることを重く見るからです。
一度目の万引きなら、執行猶予がつくかもしれません。
しかし、支援がないまま社会に戻り、また同じようにおにぎりを盗んでしまうと、司法はこう判断します。
「前回も罰を受けたのにまたやった。この人は『規範意識(ルールを守ろうとする気)』が乏しい」
障害による「困りごと」ではなく、本人の「意識の低さ」や「反省のなさ」としてカウントされてしまうのです。
その結果、たとえ被害額が100円であっても、「厳しく処罰しなければ分からない」という結論に至り、実刑判決(刑務所行き)が下されてしまいます。
罰だけでは止まらない負の連鎖
水藤先生は、司法が「権力的になりすぎないよう抑制的であるべき」としつつも、現状のシステムでは「犯罪行為を行う能力がある(責任能力がある)」とみなされる限り、厳しく処罰される構造にあると指摘します。
しかし、私たち支援者は知っています。
彼らに必要なのは「罰による恐怖」ではなく、「食べ物に困らない環境」や「相談できる相手」であることを。
司法の論理だけで彼らを更生させることには、構造的な限界があるのです。

まとめ:司法の限界を、福祉が補う
「反省していないから繰り返す」のではありません。
「支援がないから繰り返す」のです。
この負のループを断ち切るためには、司法の枠組みの中だけで解決しようとするのではなく、私たち福祉職が司法と連携し、彼らの生活を支えるネットワークを作る必要があります。
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罰では救えない人を、支援の力で支えるために。ぜひご活用ください。
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