【支援者の「正しさ」が苦しい】当事者が住む「暗い森」と、私たちが住む「明るい広場」の決定的な断絶

【支援者の「正しさ」が苦しい】当事者が住む「暗い森」と、私たちが住む「明るい広場」の決定的な断絶
「生活保護を受けずに、一般就労を目指しましょう」
「少しずつ貯金をして、自立しましょう」
私たち支援者にとって、これらは疑いようのない「正しい目標」です。
しかし、当事者がこの提案に対して恐怖を感じたり、拒絶して逃げ出してしまったりすることがあります。
なぜ、私たちの「正しさ」は彼らに届かないのでしょうか?
その答えは、薬物依存症などの女性たちを支援する「ダルク女性ハウス」の当事者研究によって描かれた、ある「世界地図」の中にありました。
今回は、支援者と当事者の間に横たわる深い溝、「暗い森の話」について解説します。
この記事は、スペシャルラーニングのSL197から抜粋して作成しています。
講師は、元法務省矯正局の委員であり、山口県立大学社会福祉学部社会福祉学科の教授の水藤 昌彦(みずとう まさひこ)先生です。

当事者が生きる「暗い森」のリアル
ダルクの女性たちが描いた自分たちの住む世界。それは「暗い森」です。
- 天気はいつも悪く、雷が鳴っている(不穏な空気)。
- 地面は木の根っこだらけで、すぐに躓いて転んでしまう(不安定)。
- 地面には穴が空いていて、落ちるとそこは「刑務所」。
- 森の端は崖になっていて、踏み外すと「死」に至る。
私たちにとっては非日常な「刑務所」や「死」が、すぐ足元に転がっている。
彼女たちは生まれた時から、このジメジメした危険な森の中を、傷だらけになりながら彷徨い続けてきました。これが彼女たちの「日常(生活世界)」です。

支援者が住む「明るい広場」は眩しすぎる
一方、森のはるか彼方には「明るい広場」が見えます。
そこは太陽がさんさんと降り注ぎ、「人権」が守られ、「選挙」が行われている平和な場所です。
私たち支援者の多くは、この「明るい広場」の住人です。
だから森にやってきて、こう言います。
「こっちの世界(広場)の方が安全ですよ。こっちに来て、清く正しく働きましょう」
しかし、ずっと暗闇で生きてきた彼女たちにとって、直射日光の当たる広場は「眩しすぎて、干からびてしまう場所」なのです。
「役所からの通知(選挙の投票券など)」も、広場の住人には権利ですが、森の住人には「得体の知れない恐怖(お上からの呼び出し)」でしかありません。
「普通の生活」という光は、時として彼女たちを焼き尽くす暴力になります。
なぜ、支援の手は離れてしまうのか?
森の中で支援者と当事者が出会っても、多くの場合はうまくいきません。
その理由を、当事者たちは「お互いに手を握る力が弱いから」と分析しています。
- 当事者の握力が弱い理由:
長い間、人権や安心を剥奪されてきたため、人を信頼して繋がり続ける力が弱っている。 - 支援者の握力が弱い理由:
「暗い森」の過酷さを本当の意味で理解していないため、的はずれな方向に引っ張ってしまう。
結果として、繋いだ手はするりと離れ、彼女たちはまた森の奥へと戻ってしまいます。
目指すべきは「広場」ではなく「林」
では、どうすればいいのでしょうか。
ダルク女性ハウスが出した答えは、無理に「広場」を目指さないことでした。
目指すのは、森と広場の中間にある「林(はやし)」です。
- 森ほど危険ではないけれど、広場ほど明るすぎない。
- 木漏れ日くらいの光で、ほどよく隠れる場所もある。
- 「清く正しく美しく」あることを、ガツガツ求められない。
この「林(居場所)」くらいの温度感であれば、彼女たちは安心して留まることができます。
まとめ:私たちは「広場の住人」である
私たち支援者は、無意識のうちに「広場の常識(就労、納税、健康)」を絶対的な正解として押し付けてしまいがちです。
しかし、支援のスタートラインは、「自分は明るい広場の住人で、相手の世界(暗い森)を知らないのだ」と自覚することではないでしょうか。
いきなり太陽の下に引きずり出すのではなく、まずは森の暗さに目を慣らし、一緒に「林」を探すこと。それが、本当の寄り添いかもしれません。
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