【ASDの脳内】「何度言っても伝わらない」のはなぜ?耳よりも「目」で理解する情報処理の仕組み

【ASDの脳内】「何度言っても伝わらない」のはなぜ?耳よりも「目」で理解する情報処理の仕組み
「さっき言ったよね? なんでやってないの?」
「はい、と返事はするのに、全然分かっていない…」
ASD(自閉スペクトラム症)のある方と関わる中で、こうしたもどかしさを感じたことはありませんか?
実はそれ、本人の「やる気」の問題ではなく、「脳の情報処理(認知スタイル)」のミスマッチが原因かもしれません。
今回は、ASDの方特有の情報の受け取り方と、誤解されやすい行動の背景について解説します。
この記事は、スペシャルラーニングのSL176から抜粋して作成しています。
講師は、元ハーバード大学医学部精神科・マクリーン病院の医師であり、精神科・児童精神科医師/博士(医学)であり、よこはま発達クリニックの副院長である宇野 洋太(うの ようた)先生です。

耳からの情報処理が苦手?「一斉指示」の罠
私たちの目や耳は、あくまで情報を電気信号に変える「入り口」に過ぎません。その信号を「理解」するのは脳の役割です。
この脳での処理の仕方が、ASDの方と多数派の方では大きく異なります。
多くの人は「耳(聴覚)」からの情報を処理するのが得意ですが、ASDの方の多くは、耳から入った情報を処理して理解するのが苦手な傾向にあります。
学校や職場で起こる悲劇
例えば、先生が口頭で「一斉指示」を出した時。
周りの子は動けるのに、ASDの子だけがポカンとしていたり、違うことをしていたりします。
これは「ふざけている」のでも「話を聞いていない」のでもなく、脳が音声をうまく情報として処理できず、エラーを起こしている状態なのです。
そこで「ちゃんと聞きなさい!」と叱られると、本人は「一生懸命聞いているのにできない…」と自信を失ってしまいます。
解決策は「目」に訴えること
一方で、ASDの方は「目(視覚)」からの情報処理が得意なケースが多くあります。
「口で言う」だけでは伝わらないことも、
- やることリストを紙に書いて渡す
- 手順を絵や写真で示す
といった工夫をするだけで、驚くほどスムーズに伝わることがあります。
「耳」という入り口が混雑しているなら、「目」という空いている入り口を使ってあげる。
これが、お互いがストレスなく共生するための最大のコツです。

その「イヤだ」「めんどくさい」の正体
また、情報処理のつまづきは、一見「わがまま」に見える行動としても現れます。
事例①:「遠足に行きたくない!」
「来週は楽しい公園に行くよ」と言われても、「イヤだ!」と泣き叫ぶ子がいます。
これはわがままではなく、言葉だけの説明ではイメージが湧かず、「未知の世界に連れて行かれる恐怖」を感じているからです。
そんな時は、公園のホームページや写真を「視覚的」に見せてあげてください。
「ああ、こういう場所か」と見通しが立てば、「僕も行きたい!」とコロッと変わることも珍しくありません。
事例②:「めんどくさい」
「片付けなさい」と言われて「めんどくさい」と言う場合。
これは怠けているのではなく、何をどうすればいいか手順が見えず、「途方もなく巨大で大変な作業」に感じて圧倒されている可能性があります。
「まずはこの本を棚に戻そう」と具体的に示せば、動き出せることも多いのです。
事例③:ニコニコして「分かりました」
一番注意が必要なのが、分かっていないのに「はい、分かりました」とニコニコ答えるケースです。
これは、過去に聞き返して怒られた経験などから、「とりあえず返事をしてその場をやり過ごす」という処世術を身につけてしまっている可能性があります。
返事だけで安心せず、「どうやるか分かった?」と確認したり、やはり視覚的なメモを渡したりする配慮が必要です。
まとめ:不安や拒否は「情報不足」のサイン
彼らが「イヤだ」「めんどくさい」と言う時は、性格の問題ではなく、「処理できる形での情報が足りていない(見通しが立っていない)」サインかもしれません。
本人の認知スタイル(得意な入力方法)を知り、それに合わせて情報を届けること。
それが支援の第一歩です。
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