【福祉BCPの真髄】なぜ企業と違うのか?|守るべきは「利益」ではなく「命・暮らし・尊厳」
【福祉BCPの真髄】なぜ企業と違うのか?|守るべきは「利益」ではなく「命・暮らし・尊厳」
2024年度から、障害福祉サービス事業所におけるBCP(事業継続計画)の策定が完全義務化されました。
多くの管理者様が、マニュアルとにらめっこしながら計画書を作成されているかと思います。
しかし、そもそもなぜ福祉にBCPが必要なのでしょうか?
「企業のように、利益を守るため?」
いいえ、違います。
今回の記事では、一般企業のBCPとは決定的に異なる「福祉独自のBCPの目的」と、災害時に職員が燃え尽きないための「応援を呼ぶ力(受援力)」について解説します。
この記事は、スペシャルラーニングのSL102から抜粋して作成しています。
講師は、一般社団法人福祉防災コミュニティ協会 代表理事の鍵屋 一(かぎや はじめ)先生です。

福祉のBCPにおける「損失」とは何か?
BCP(Business Continuity Plan)は、災害時に重要業務を中断させない、あるいは中断しても早期に復旧させるための計画です。
これを図でイメージしてください。
災害が発生すると、通常100%できていた業務(入浴、排泄介助、服薬管理など)が、準備がなければ一気に0%近くまで落ち込みます。水も薬もなく、トイレも流れない状況です。
企業はお金、福祉は尊厳
一般企業であれば、業務停止による損失は「金額」で計算できます。
しかし、福祉施設の場合、業務が止まることによる損失とは何でしょうか?
- 命の危険(医療的ケアの停止など)
- 暮らしの崩壊(不衛生な環境、パニック)
- 尊厳の喪失
これらは、決してお金では換算できません。
BCPを策定し、備蓄や体制を整えることは、災害時の落ち込みを最小限に食い止め、利用者様の「人間としての尊厳」を守る唯一の手段なのです。

支援者が「自分が助かる」ことの重要性
BCPを動かすのは「人(職員)」です。
どんなに立派な計画書があっても、職員自身が怪我をしたり、家族の安否が不明で動けなかったりすれば、絵に描いた餅になります。
- 自助(まずは自分が助かる)
- 共助(近くの人と助け合う)
- 公助(行政や専門機関の支援)
支援者自身が被災してしまえば、利用者を守ることは不可能です。
「職員の安全確保」や「職員の家族の安全確認ルール」をBCPに盛り込むことは、決してわがままではなく、事業継続の必須条件です。
疲れる前に助けを呼べ!「受援力」のススメ
日本の福祉現場には、「自分たちの利用者は自分たちで守る」という強い責任感があります。それは素晴らしいことですが、長期化する災害支援においてはリスクにもなります。
元気なうちにSOSを出せ
災害発生から1〜2ヶ月経ち、職員が不眠不休で対応してボロボロに疲れ切った頃に「もう限界です、助けてください」と言っても、その頃には外部の応援体制は縮小していることが多いのです。
重要なのは、「まだ自分たちが元気なうちに、早めに支援を要請する」ことです。
福祉の仕事(食事、排泄、見守りなど)は、全国どこでもベースが共通しているため、他法人からの応援職員でも比較的スムーズに業務に入れます。これは一般企業にはない強みです。
「早く応援を呼び、職員の休息を回すこと」
これが結果として、長期間にわたり利用者様の命を守り抜くことにつながります。
施設は「地域の砦」になる(福祉避難所の役割)
災害時、利用者様を連れて地域の指定避難所(小学校の体育館など)へ避難することは現実的でしょうか?
- 大雨や夜間の移動リスク
- 体育館の環境(和式トイレ、段差、騒音)への不適応
これらを考えると、建物が無事である限り、「施設に留まる(在宅避難・垂直避難)」ことが最善の策となるケースが多いでしょう。
BCPは「広義の防災計画」へ
そうなると、施設は単なる事業所ではなく、地域における「福祉避難所」としての機能を期待されます。
- 自分たちの利用者様を守る。
- 在宅で被災した障害者を受け入れる。
- 地域の個別避難計画と連動する。
従来の「火災時の避難計画」だけではなく、水害時の垂直避難、そして事業継続、地域貢献(福祉避難所)までを含めた「広義の福祉防災計画」を作ることが、これからの施設運営には求められています。
まとめ:BCPは「優しさ」と「覚悟」の計画書
BCPは、行政に言われたから作る「義務」ではありません。
- いざという時、利用者様に惨めな思いをさせないための「優しさ」
- 職員を過労で潰さないための「戦略」
- 地域を守る砦となる「覚悟」
これらを形にしたものが、福祉のBCPです。
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