【ASD支援】「介助」から「教育」へ|グループホームで身の回りの自立と家事を教える具体策
【ASD支援】「介助」から「教育」へ|グループホームで身の回りの自立と家事を教える具体策
重度の自閉症の方がグループホームでの暮らしに慣れ、落ち着いて過ごせるようになったら、次のステップとして「生活のこと(身辺自立・家事)」を積極的に教えていきましょう。
現場ではつい、「手伝ってあげた方が早い」「きれいにできる」という理由で、職員が全面的に介助(お世話)をしてしまいがちです。
しかし、それではご本人はいつまでも「受け身」のままです。
毎日繰り返される生活動作だからこそ、少しの工夫で「自分でできること」を増やせれば、ご本人の自信になり、職員の負担軽減にもつながります。
今回は、無理なく取り組める「身の回りのこと」と「家事」の教え方について解説します。
この記事は、スペシャルラーニングのSL26から抜粋して作成しています。
講師は、自閉症eサービス全国ネット 代表の中山清司先生です。

身の回りの自立(着替え・食事)は「準備」で決まる
着替えや歯磨き、食事といった身辺動作において、自閉症の方がつまずきやすいのは「手先が不器用」という理由だけでなく、「段取り(計画)が立てられない」というケースが多くあります。
そこで重要なのが、支援者による「事前の環境設定」です。
「着替え」の工夫:選ぶ・順序立てるをサポート
「タンスから服を選んで着替えてください」という指示は、ハードルが高すぎます。以下のような配慮をしてみましょう。
- 「明日着る服」をセットする: 自分で選ぶのが難しい場合は、事前に決まったカゴに入れておきます。
- 着る順番に並べる: 1つのカゴにごちゃ混ぜにするのではなく、「下着→ズボン→シャツ」のように、着る順番に合わせて重ねておく、あるいはカゴを分ける等の工夫をします。
- できないことは手伝う: ボタン留めやベルトなど、身体機能的に難しいことは無理に教えず、そこだけ介助します。「自分で着れた」という達成感を優先しましょう。

「食事」の工夫:道具を見直す
うまく食べられない場合、ご本人の努力不足ではなく、道具が合っていない可能性があります。
- グリップの太いスプーンに変える
- 食器の下に滑り止めマットを敷く
これだけで、驚くほどスムーズに一人で食べられるようになることもあります。
家事活動は「役割」と「視覚支援」で教える
グループホームは「施設」ではなく、彼らの「住まい」です。
支援者だけが家事を担うのではなく、入居者様にも「主体的な役割」を持ってもらうことが、QOL(生活の質)向上につながります。
「テーブル拭き」の教え方
例えば「テーブルを拭く」という作業を教える場合、「きれいに拭いて」と言葉で伝えても、重度の自閉症の方には「どこを・どう・いつまで」拭けばいいのか分かりません。
【具体的なステップ】
- 範囲を狭くする: 最初から広いテーブルではなく、お盆(トレイ)のような小さな面積から始めます。
- 視覚化する: 広いテーブルを拭く場合は、ビニールテープで区切ったり、①→②→③と番号を振ったりして、「拭く順序」を目に見える形にします。
- 工程を分ける: 「拭く→雑巾を洗う→干す」を一度に教えるのではなく、まずは「拭くこと」だけに集中してもらいます。一つできたら次へ進むのが鉄則です。
教える順番は「自分に関すること」から
家事を教える際、いきなり「みんなの廊下」や「リビングの掃除」から始めると、ご本人は「なぜ自分がやらなきゃいけないの?」と意味を感じにくい場合があります。
まずは、動機づけが高まりやすい「自分に関すること」から始めてみましょう。
- 自分の部屋の片付け
- 自分の靴を揃える(置き場所をマークで示す)
- 自分の洗濯物をたたむ
「自分の生活が快適になる」という実感が持てれば、家事活動への意欲も湧きやすくなります。
まとめ:自立支援とは「教え方」を工夫すること
「身辺自立」や「家事」を教えることは、決してご本人に無理をさせることではありません。
- 難しい部分を道具で補う。
- 分かりにくい手順を視覚化する。
- 失敗しないような準備(カゴや配置)をしておく。
このように、「本人が無理なくできる環境」を整えることこそが、プロの支援です。
できることが増え、自分の役割を持った入居者様は、情緒も安定し、結果として行動障害なども減っていく傾向にあります。
障害福祉の研修動画サービス「スペシャルラーニング」では、
- 着替えや食事介助の具体的な手順
- 家事支援における「構造化」の実践例
- 個別の特性に合わせた支援ツールの作り方
など、現場ですぐに使えるノウハウを動画で分かりやすく解説しています。
「介助」から「教育・支援」へ。ステップアップを目指す事業所様は、ぜひご活用ください。
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