【身体拘束の3要件】「緊急やむを得ない場合」とは?虐待防止法に基づく正しい判断基準

【身体拘束の3要件】「緊急やむを得ない場合」とは?虐待防止法に基づく正しい判断基準
障害者虐待防止法において、「身体的虐待」の定義をご存じでしょうか。
殴る・蹴るといった暴力だけでなく、以下の行為も虐待に含まれます。
「正当な理由なく障害者の身体を拘束すること」
つまり、身体拘束は原則として虐待です。
しかし、現場では利用者の命を守るために、どうしても行動を制限しなければならない場面があります。それが法律で認められている唯一の例外、「緊急やむを得ない場合(正当な理由がある場合)」です。
今回は、この「緊急やむを得ない」と判断するために満たさなければならない、厳格な「3つの要件」について解説します。
この記事は、スペシャルラーニングのSL144から抜粋して作成しています。
講師は、元厚生労働省 障害福祉課・虐待防止専門官であり、日本社会事業大学 社会事業研究所 客員教授の曽根 直樹(そね なおき)先生です。

絶対条件!「3つの要件」を完全理解する
「緊急やむを得ない場合」とは、支援者が感覚的に「危ないから仕方ない」と決めていいものではありません。
以下の3つの要件を「全て」満たしている場合のみ、例外的に認められます。
① 切迫性(せっぱくせい)
利用者本人、または他の利用者の生命・身体・権利が危険にさらされる可能性が著しく高い状態です。
- 具体例:外出中、パニックになって車道に飛び出そうとした。
- この場合、飛び出せば大怪我や死亡事故につながるため、体を抑えて止める行為は「切迫性がある」と判断されます。
② 非代替性(ひだいたいせい)
身体拘束をする以外に、他に代わる方法がない状態です。
- 問いかけ:本当に拘束しかありませんか? 環境を変えたり、声かけを工夫したりしましたか?
③ 一時性(いちじせい)
その拘束が一時的なものであることです。
切迫した状況を脱したら、直ちに解除しなければなりません。漫然と長時間続けることは許されません。

最も判断が難しい「非代替性」の落とし穴
3つの要件の中で、現場で最も見落とされやすいのが②の「非代替性」です。
「いつも暴れるから、ベルトをしておくしかない」
このように習慣的に行っている拘束は、非代替性を満たしていない可能性が高いです。
- 一度拘束を外して様子を見てみる。
- クッションを入れるなど、別の方法を試してみる。
- 職員の配置を変えてみる。
こうした「他の方法の検討・実施」を行わずに、安易に「これしかない」と決めつけることは、法律上「他に方法がない(非代替性)」とは認められず、虐待とみなされます。
3要件が揃っても「記録」がなければアウト
仮に「切迫性」「非代替性」「一時性」の3つが揃っていたとしても、それだけで安心はできません。
前回の記事でも解説した通り、「その状況を詳しく記録すること」が必須条件です。
- どのような危険があったのか(切迫性)
- なぜ他の方法ではダメだったのか(非代替性)
- 何分間行ったのか(一時性)
これらを客観的に記録に残しておかなければ、後から「正当な理由があった」と証明することはできず、実地指導などで処分を受けることになります。
まとめ:身体拘束は「最終手段」中の最終手段
身体拘束は、利用者の自由を奪う重大な行為です。
「3つの要件」は、それを正当化するための便利なツールではなく、「本当にそれしか方法がないのか?」と私たち支援者に突きつけられた厳しいチェックリストです。
現場の職員が、個人の判断で安易に拘束を行っていませんか?
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