導入事例

研修によるスキルアップだけでなく、職員の問題意識向上とコミュニケーションも改善されました

法人名: 社会福祉法人たちばな会 福山学園
サービス種別: 入所支援

1956年、鹿児島県霧島市に「福山学園」を開園。1961年には、当時まだ受け入れ先が少なかった重症心身障害児向けの施設を全国に先駆けて設立した。その後、知的障害者援護施設やグループホーム、看護学校など、福祉のみならず介護・看護事業も展開。福祉関連事業所数は約10事業所、職員は約60名。
「人間としての尊厳を大切に 思いやりのある療育を」を法人理念に掲げ、地域に根差した包括的な社会福祉に尽力している。

−現在、スペシャル ラーニングはどのように利用されていますか?


福祉事業を行っている福山学園、オレンジの里の2施設で利用しています。職員全員にアカウントを付与し、いつでもどこでも学習できる体制を整えています。


−スペシャル ラーニングを知ったきっかけについて教えてください。


県から配布される福祉の広報誌で知りました。年間計画にそって毎月内部研修をやっているものの、どういった形が望ましいのか悩んでいる時期でした。基本から学べそうなので、一度やってみようと思い無料体験に申し込みました。


−悩んでいる時期があったということですが、具体的にどのような課題を感じていましたか?


研修年間計画を立ててやっていましたが、どうしてもうまくいかないという課題を抱えていました。

事業所では若手からベテランまで経験年数の違う職員が在籍して日々支援にあたっていますが、全員が同じ方向を向くのがむずかしいという課題を感じていたのです。

経験年数に関係なく基本に立ち返り、利用者さんと同じ目線で支援にあたってほしいという思いがありました。


−スペシャル ラーニングを実際に使ってみていかがでしたか?


前年の研修内容を担当の河野さんに見ていただき、それに合ったコンテンツを紹介してもらいました。

毎月行っている研修で職員全員に同じコンテンツを視聴してもらい、気づきや意見をアンケートに書いてフィードバックしてもらうようにしました。

このアンケートを通して職員ひとりひとりが真剣に想いを持って支援していると、私自身が気づけたこともとても大きかったです。

同時に実際の現場になると各々の良い部分が出せていないんだと新たな課題も見つかり、研修を通して良い部分をさらに引き出していければと感じています。

支援や環境に慣れてくると、どうしても一辺倒になりがちですが、客観的にコンテンツの事例を見ることで基本を思いだせるので非常に有効だと思いました。

−最初にスペシャル ラーニングを視聴した時、職員の反応はいかがだったでしょうか?


新入職員の方が食いつきがよかったですね。

一方で自分なりの支援方法を持っている中堅層やベテラン職員たちは、最初は抵抗感があるようでした。

多忙な中でなぜこんなことを今さらしないといけないんだ、といった否定的な意見もありましたね。


−そういった意見はどのように解消されたのですか?


とにかく続けたことが解消につながったと思っています。

視聴コンテンツの範囲を指定し、月に1回はレポートを提出しようと決めました。最初は渋々ながら取り組んでいた職員たちも、次第に学べる機会があってよかったという雰囲気に変わっていきました。

良い意見も悪い意見も出てきて、私自身も勉強になりましたよ。


−最初に全員で視聴したコンテンツは、どのような内容でしたか?


「利用者や保護者に対して自分の影響力とコミュニケーション能力について理解する」という内容のコンテンツを職員全員に見てもらいました。

−2021年1月に利用開始されましたが、うまく始めるために工夫したポイントがあれば教えてください。


まずは見てもらうことを第一に取り組みました。

導入当初は全員で一斉にはじめると運用がむずかしいと考え、一部の職員からスモールスタートで利用しました。

1年後には事業所内の全員にアカウントを配付しましたね。

(少ないアカウント数からスタートさせました。)

月に1度の職員会議では、視聴するコンテンツの範囲を指定してレポートを提出するように決めました。

また職員と個別面談を行い、それぞれが抱えている課題を抽出してフィードバックをするということも並行してやりましたね。毎月提出されるレポートをまとめて、コメントを添えて1年間の学びとして職員それぞれに返却もしています。

個別面談やアンケートを通して、一緒に仕事をしている仲間が普段どういう気持ちで仕事をしているのか知れましたし、私自身も職員一人ひとりとしっかり向き合えたのでやってよかったと思っています。

−中馬さんは職員と向き合うことをとても大切にされていますが、そのモチベーションはどこから来るのでしょうか?


そうですね、まず「この仕事が好き」ということですね。

ハンデキャップを持つ方々が思っていることをうまく伝えられなかったり相反する行動を取ってしまったりする時、何か力になれないか、という思いが根底にあります。

私と同じようにこの仕事をしている人たちも、きっとお金のためではなく何らかの思いがあってやっていると思うので一緒によくしていきたいと思っています。

特に私自身、もっと質のよい支援をしていきたい気持ちもあるし、支援に対するこだわりもあります。でも私一人ではできません。

みんなでやっていきたいからこそ、研修にも力を入れていこうと思っています。

私もこれまでたくさん失敗してきましたし、人の痛みはわかるつもりです。

利用者さんの親御さんたちの気持ちもすごくわかる。

だからこそ、まずは一緒に働く仲間としっかり向き合うことが、最終的には利用者さんのためになると思ってやっています。

−2021年1月にサービスを導入後、2022年から個人にアカウントを付与されています。何か変化はありましたか?


いつでも自由に学習できる体制を整えて半年ほど経ちますが、まだ定着しきっているとは言えないようです。

月に1回の職員会議で指定したコンテンツと、2〜3ヶ月に一度、人権擁護・虐待防止のコンテンツについては視聴後、レポートを出してもらっています。

業務時間外の自己研鑽については強制することはできないので、学習定着が今後の課題ですね。

計画を立てて組み込む必要があるなと感じています。


−支援のばらつきや合理的配慮が欠けてしまうことなど、スペシャル ラーニング導入前の課題は解消されましたか?


正直まだ完全な解決とまではいっていないですね。

今後も継続が必要だと思っています。

スペシャル ラーニングで学んだ瞬間は原点に立ち返ることができますが、現実はそんなに甘くありません。

この仕事は成果がすぐ目に見えるものではなく、5年、10年スパンでないと見えてこないものも多い。

続けていかなければ、またうまくいかなくなってしまいます。

「こんなことはわかっている」と思うような基本的なことでも、継続して学び続けることが大事だと考えています。


−スペシャル ラーニングを導入したことで得られた、予想外の成果があれば教えてください。


そうですね、自分たちが抱える課題に職員も気づいてくれたことでしょうか。

視聴後のアンケートに寄せられた意見から、「職員間のコミュニケーションが非常に重要だと気づいた」という声が多く出ました。

このことから、私たちの事業所でのコミュニケーション不足に気づくことができました。

支援計画を立てて、それに従った支援を行うはずが、忙しさの中でそれを実現できていなかったのです。

どのように支援すべきかは頭ではわかっていても、実際にうまくいっていなかったことに気づきました。

基本に戻るためにも、5分、10分でもスペシャル ラーニングで学ぶ時間を設けていく必要があると考えています。

−中馬さんの推しコンテンツがあれば、教えてください。


強度行動障害のコンテンツをよく見ています。

うちの事業所では、高齢の利用者さんも増えてきていて、介護関連のコンテンツも役立っていますね。

人権擁護に関連するものにも注目しており、非常に参考になっています


−スペシャル ラーニングを導入して良かったことを3つ、教えてください。


まずは職員全員が同じ課題に目を向けられたことですね。

毎月の会議で同じコンテンツを視聴することで、テーマに対して全員で向き合って様々な意見を出し合えるようになりました。

職員の目線が揃い、支援者としての責任がそれぞれに芽生えたことも嬉しい効果でした。

スペシャル ラーニングを通じて基本的なことを学び、支援員というこの仕事を選んだときの情熱を思い出す機会となり、原点に戻れたことも非常に大きかったです。

アンケートの随所から感じ取れました。

−スペシャル ラーニング導入を検討している方へ、先輩ユーザーからのアドバイスがあれば、お願いします。


現場の職員は、管理職が考えている以上に支援方法について悩んでいると思います。

専門的な知識を持って入職する方もいますが、特に地方の事業所では人材不足も影響し異業種から転職してくる人も多く、若手の採用が難しい場合もあります。

スペシャル ラーニングを通じて未経験者でもしっかり学べる環境を整えることは求職者にとって魅力的な要素となりますし、法人としてのアピールにも活用できるのではないでしょうか。

またコンテンツの再生時間が短いため、忙しい現場の負担も軽減できます。

全員が共通のテーマについて学ぶことは非常に有効だと思っています。

−今後、スペシャル ラーニングやリーン オン ミーに期待することはありますか?


長期間同じ事業所で働いていると、事業所内のルールややり方がスタンダードになりがちです。

特に地方の事業所では他の地域の事業所との交流が限られており、情報収集の難しさもあるでしょう。

自分の事業所だけに留まらず、刺激を受けてスキルアップに繋がるような環境を作ることはとても大切だと思います。

そのためにもリーン オン ミーさんを通じて、全国の事業所が集まって共通のテーマに関して意見を交換できる機会を提供していただけると良いなと思います。

他事業所の職員の意見や支援方法を知るきっかけとなり、それを自分の事業所に持ち帰って共有することで方向性や自身の事業所のあり方などを見つけていければ最高ですね。

また、ニュース性のあるコンテンツがあると嬉しいですね。

私たちはいつも虐待防止研修をやっていますが、悲しいことに新聞やスマホを開けば毎日虐待のニュースを目にします。

少しでも虐待などの事件が減るよう、リーン オン ミーさんならではの方法で発信していってほしいと思っています。


−職員の皆様が学びやすい環境を提供できるよう、今後もお手伝いできれば幸いです。この度は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

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