導入事例

スペシャル ラーニング導入後、職員だけでなく利用者さんにも変化が

法人名: 社会福祉法人十百千会 障がい者総合支援センターゆきぞの
サービス種別: 障害児相談支援

1981年4月に熊本県下益城郡美里町で入所施設ゆきぞの学園を設立。少しずつ規模を拡大させながら、現在は5つの障がい者支援施設を運営している。職員数は約60名。
「利用者さんの夢、喜び実現のため、全力でサポートします」を法人理念とし、40年以上にわたり熊本県美里町を中心とした包括的な支援や地域共生の実現を目指し活動している。

−スペシャル ラーニングはどのように知ったのでしょうか。


実は導入を決定したのは私ではなく、前任の施設長でした。

知り合いが施設長をしている事業所でスペシャル ラーニングを導入したところ、職員たちにも良い効果が出ているという情報を聞いたようです。 ちょうどそのタイミングでリーン オン ミーさんのプレゼンを聞く機会があり、それで導入を決めたと聞いています。

私は当時、相談支援事業所の現場職員だったのですが、その話を聞いてすぐにでも導入してほしいなと思いました。

手軽に学べる環境は、お金には変えられないですからね。


−すぐにでも入れてほしいと思った理由は何ですか?


個別支援計画や事故が起きた際の対応で「これってどうなんだろう?」と疑問に思うことが、ちょうど続いていたからです。

解決するには支援に関わる職員一人ひとりの知識やスキルを上げていく必要があると感じていて、スペシャル ラーニングのような研修ツールの導入には賛成でした。

元々おこなっていた年3回の全体研修では、虐待防止や感染症などに関する決められた内容のものしか実施できていませんでしたからね。

事業所ごとに抱えている課題が違う状況で、もっと気軽に多種多様な研修をできればと思っていました。


−確かに、提供サービスが違えば、課題や悩みも違いますよね。


利用者さんの障がい区分や度合いによっても異なりますね。

十百千会は知的障がい者支援が始まりですが、最近は総合支援法に基づき、身体障がいや精神障がい、自閉症などさまざまな特性のある利用者さんも受け入れるようになり、年々増えてきています。

障がい特性が違えば支援の方法が全く違うのに、従来通りの研修を続けている。そこに課題意識がありました。


今までの全体研修では法律で定められた研修の実施に追われて、

それぞれの課題について具体的な支援について学んだり話し合ったりする時間が取れていませんでした。

いろいろな利用者さんがいる中で、その特性を理解した上で支援にあたった方がより良い支援につながるのではないかと考えました。


−現場の状況に則した研修をもっとしていきたいという課題は、以前からあったのでしょうか?


10年ほど前から法制度も複雑になり、「勉強しなければ」と思うことが増えてきました。そこで月に1回ずつ程度、事業所に分かれてサービス別の研修をやるようにしました。ただそれも毎回となると限界があって、講師を誰にするか、受講者のシフト調整などの問題が出てきていましたね。

そのほかにも、スキルや知識の底上げをしていかないと自分たちのやり方が間違っていたときに気付くことができないという課題意識もありました。

事業所やサービス種別に合った研修をおこなって、利用者さん個人個人にあった支援の仕方を身につけていきたい。

事業所でのやり方が当たり前になってしまうと、外からの情報が入ってこなくなってしまいます。「気付く力」も育てていければと考えていました。


−「知識やスキルがないと今やっている支援の間違いに気付けない」とのことですが、知識やスキルを伸ばしたいと感じられたきっかけは何でしょうか。


そうですね、どんなに気をつけていても事業所内での事故は起こってしまうものですが、その後の対応に問題意識を感じていました。

例えば利用者さんが転倒してしまったときに「このくらい大丈夫だろう」と思って報告しない職員もいれば、万が一を考え病院へ行こうとする職員もいる。事故の初期対応や報告の流れなどが個人の価値観や経験値に左右されてしまっている状況でした

事故に限った話ではありませんが、職員各自の主観ではなく根拠に基づいた行動が取れるようにならなければならない場面はたくさんあるので、スペシャル ラーニングを活用して正しい知識やスキルを身につけてほしいと思います。

松本さんにお話いただいている写真

−リーン オン ミーのプレゼンを聞いていただいたあと、導入まではスムーズでしたか?、それとも上申にあたり、何か懸念点はありましたか?


理事会ですぐに話が通り、お話を聞いてから半年後くらいには導入したので比較的スムーズだったと思います。私個人としても、導入に不安は特にありませんでした。

強いていえば、積極的に活用する人、視聴が進まない人の差は出てくるだろうとは思っていました。

職員への周知は各事業所から各自伝えてもらう形をとりましたが、反対意見はありませんでした。


ただ一部からは「本当に費用対効果は得られるんだろうか?」という声はありましたね。でも万が一効果がなかった場合は、そのときにもっと良いやり方を見つけていけば良いと考えていたので、心配はしていませんでした。

現場で困ったことがあったときにスペシャル ラーニングを見て学習する習慣付けさえできれば、費用対効果はおのずと出るだろうと予想していましたから。


−「効果がなければやめてしまうのではなく、もっと良いやり方を考える」とても良い考え方ですね!元々、ポジティブな考え方がカルチャーとして法人に根付いているのでしょうか?


そうですね。前施設長の考え方が「とにかくやってみよう!」というタイプだったので、法人全体にもそういう雰囲気があるのだと思います。

−スペシャル ラーニングは現在、どのように活用されていますか?


5つの事業所すべてで活用しており、一部の職員を除いて基本的には職員全員に1人1アカウントずつ付与して各自のパソコンで視聴しています。

元々おこなっていた年3回の全体研修でも、スペシャル ラーニングを使うようになりました。

また各事業所でも毎月1回、事業所ごとにそのとき必要なテーマに関する動画を視聴して研修をおこなっています。

毎月の研修テーマは、事業所によって利用者さんの特性が異なるので結構違いますね。

生活介護だと重度の方や強度行動障がいのある方もいらっしゃるので、それらに関連したテーマが多いです。就労B型の事業所では、やはり就労に関することが中心になっています。


−スペシャル ラーニング導入後、学習の進み具合はいかがでしたか?


毎月視聴するコンテンツを指定しているので、みんなしっかり見てくれています。プラスアルファの自己研鑽に関しても、自分なりに課題を感じたことをスペシャル ラーニングで確認して視聴する職員も結構いると思います。 私も何か思ったときはすぐに見るようにしていますよ。


−素晴らしいですね!各自の学習頻度に差が出る法人様が多い中で、毎月見るものを決めてしっかり取り組まれて上手にご活用いただいていると感じました。また職員さんが支給のパソコンを1人1台持っていることが大きいのかなと思ったのですが、どうしてパソコンを配布すると決めたのでしょうか?


まだ私が入職する以前で相当昔のことなのですが、前施設長が「全員パソコンを持っていた方がこれから役に立つはずだ」と考えて、ワープロや電卓からパソコンに切り替えるタイミングで一気に導入した経緯があるそうです。この話を聞いたときは私もびっくりしました。


−とても先進的で、先を見据える力をお持ちの施設長だったのですね。それが今、スペシャル ラーニングの活用にしっかりと活かされていますね!以前の課題はスペシャル ラーニング導入後、解決につながっていますか?


まだ完璧ではありませんが「この方法で正しく支援できているのか」「うちの事業所のやり方はズレていないか」と、自分たちのやり方を疑問に感じる職員は増えたと思います。

また事故の報告に関しても、自分だけで判断することは少しずつ減っていっているように感じますね。

しっかり報告をしてくれたり、話し合って対応したりと、良い流れができているのかなと感じます。職員全員の基準を揃えるためには、同じコンテンツを見ることが大切だと実感しています。

また職員が適切な支援を学んだことによって、実は利用者さんにとって悪い影響をおよぼす支援があるということもわかりました。

声かけの仕方や何か伝えるときの方法などスペシャル ラーニングで学習した支援方法を実践したことで、利用者さんの行動が変わったという実例もあるんですよ。


−利用者さんは、どんな行動が変わったのでしょうか?


以前は、ちょっとしたことでイライラしたり、職員の伝えたいことがなかなか伝わらなかったりなど、意思疎通がうまくいかない場面がありました。

そこで紙に書いて視覚的に訴えたり目を合わせて話すなど、スペシャル ラーニングで習ったことを実践してみると利用者さんがたいへん落ち着かれたんです。視覚支援がハマったようで、「◯時には△△をします」と紙に書いて伝えることは特に効果的だったと思います。


−なるほど。ほかの法人さんでもスペシャル ラーニングを支援に結びつける取り組みはなされていますが、ここまで具体的に利用者さんに良い変化があったケースは貴重な事例です。利用者さんへの支援方法は、月1回の事業所研修で話し合って変更されたのでしょうか?それとも職員さんたちが自ら考えて実践されたのでしょうか。


担当の支援員や相談支援専門員が、個人で利用者さんの特性にマッチしそうな支援を動画で見て自主的に実践していました。若い職員のほうが従来のやり方に固執せず、新しいことを取り入れやすいのかもしれないと感じましたね。

利用者さんと接しているシーンの写真

−忙しい現場で日々さまざまな対応をしている職員さんたちの認識を合わせることはなかなか難しいですよね。「どこからが虐待になるか」というのもいわゆるグレーな領域だと思うのですが、十百千会様が独自の取り組みをなさっているとお伺いしました。詳しくお聞かせいただけますか?


虐待になるかどうか価値観で分かれそうなグレーな部分、どういうシチュエーションがあるかを虐待防止委員会で話し合って、それに基づいてチェックリストを作成しました。考え方が人によって大きく違うということを見える化するため、正職員を対象にアンケートをとって集計しました。これもスペシャル ラーニングでの先生のお話を参考に、うちでもやってみようと始めたものです。


−十百千会様はミーティングで「スペシャル ラーニングを視聴した上で何をするか」と前施設長含めて、よく議論されていた印象があります。ただ視聴するだけでなく次につながるアクションまで考えることが、法人のカルチャーとして浸透しているのだろうと今のお話を聞いて感じました。スペシャル ラーニングから得たことを支援に結びつける工夫は何かされていますか?


月に1回、各事業所からサービス管理責任者などの代表者を集めて事業所内での事例や情報の共有をするようにしています。「利用者の〇〇さんはこんな特性がある」「こういう課題があったが、この対応に変更したらうまくいった」などですね。


−しっかりフィードバックされて各事業所の好事例も共有されているのですね!年15回の研修に加え、月1回の事例共有も、となると時間の捻出がかなり大変かと思うのですが、どのように工夫されていますか?


各施設長が集まる運営会議を毎月やっているのですが、その会議が終わった後、現場の職員たちや看護師たちに来てもらって一連の流れでおこなっています。

−スペシャル ラーニングを活用することで研修に関する悩みが解消され、良いサイクルが回っているとお見受けします。スペシャル ラーニングを導入して、予想外の効果はありましたか?


導入当初は、動画をよく見る職員とあまり見ない職員に分かれると思っていました。毎月の事業所内研修のテーマ動画も、ただ流し見をする人も出てくるだろうと予想していたのですが、意外とみんなしっかり見てくれているんですよね。

レポート提出やフィードバックもおこなっていますが、しっかり見て感想や気付きを書いてくれることは予想外に嬉しい効果でした。

実際にスペシャル ラーニングを始めて何度か視聴するうちに、職員たちも「これ結構良いな、役に立つな」と思ってくれたのかなと思います。


また新入職員には虐待防止研修や身体拘束に関するものなど、いくつか特定の研修を実施する義務が法律で定められていますが、細かな法改正が度々あるのでなかなか即時対応できずにいました。

スペシャル ラーニングを利用し始めて最新の情報が得られるようになったので、その面でも助かっています。


−職員さんたちの意欲が可視化されたのですね!レポート機能もしっかり活用してくださっていますが、フィードバックはどなたがされていますか?


基本的には各施設長がおこなっていますが、年3回の全体研修に関しては私がフィードバックするようにしています。

約60名分なので時間はかかるのですが「こういう見方もあるのか」と私自身も気付きがあったり、新しい価値観に触れたりして勉強になります。

職員さんがスペシャル ラーニングをご視聴されてるお写真

−ちなみにスペシャルラーニングでいちばん最初に見たテーマは何でしたか?職員さんたちの反応も気になります。


最初に見たものは事業所ごとに異なっていましたが、相談支援事業所では法制度に関するものを見たと思います。どの事業所も各々の課題感を持っていたので、障がい特性に関するコンテンツは見ていましたね。

職員たちの反応は「すごくわかりやすい!」と好感触でした。

繰り返し視聴できるので、自分の中で一旦整理したいときに停止できる機能が良いと思う職員も多いのではないでしょうか。

リアルな研修だと集中力が途切れてしまったり整理できずそのままになってしまったりしますが、スペシャル ラーニングは自分のペースで研修できるのがとても良いですね。


−確かに、講師を招いての研修だと自分のペースで話を聞くことは難しいですよね。スペシャル ラーニングはコンテンツの多さもポイントのひとつですが、コンテンツ数で感じたメリットはありますか?


虐待防止関連だけでもコンテンツが豊富にありますよね。そのほか、著名な講師の方々のいろいろな角度からの話が聞けるのは大きなメリットだなと思っています。

私の推しコンテンツは、意思決定支援に関するものですかね。意思決定支援は当施設にとって現在の課題だと思っているので、今さまざまなテーマから該当する動画を集めて見ている段階です。


−意思決定支援は非常に重要なテーマですよね。スペシャル ラーニングの導入を検討している方に向けて、先輩ユーザーである松本さんからアドバイスをお願いできますか?


まずスペシャル ラーニングで学習することによって、職員の意識が変わると思います。今までなんとなくやっていた支援も、根拠を持ってしっかり目線を揃えられるでしょう。

動画で見た支援事例を実際にやってみて、それが成功したときに良かったと思えますし、成功体験を積むことで職員たちの意欲も向上していきます。

また支援のおもしろさにも気付けるのではないでしょうか。


−それでは最後に、今後の展望やスペシャル ラーニング、リーン オン ミーへの期待や要望はありますか?


コンテンツ数はとても充実していて良いなと感じています。障がい者基本法や虐待防止法など法制度が年々変わっているので、今後もその時々に合うようバージョンアップをして提供していただければと思います。

また先ほどもお伝えしたのですが、意思決定支援や地域共生、地域包括ケアシステムなどに関する知識も、私たちのように小さな町の事業所では特に重要なので、この辺りのテーマも充実していただきたいですね。

スペシャル ラーニングの機能面やリーン オン ミーさんのサポートは申し分ないので、私たちは今後、今以上に研修で学んだことを支援に活かすことをしっかり根付かせていきたいと思います。


−制度関連のコンテンツは現在講師の先生と連携しながら作成中で、来年度には皆様に新しいものをお届けできる予定です。スペシャル ラーニングを上手に活用していただき、利用者さんへの還元もしっかり形にしてくださって私たちもとても嬉しいです。この度は貴重なお話をありがとうございました!

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