【受診障壁】病院に行きたくても行けない?医療へのアクセスを阻む「3つの壁」とは

「体調が悪いのに、病院に行けない」 「利用者の通院支援をしたいが、なぜか本人が拒否する」
その背景には、単なる「わがまま」や「怠慢」ではなく、「受診障壁(じゅしんしょうへき)」と呼ばれる、目に見えないハードルが存在しているかもしれません。
今回は、知的・発達障害のある方が直面する3つの受診障壁について具体的に紐解きます。
この記事は、スペシャルラーニングのSL84から抜粋して作成しています。
講師は、独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園研究員/看護師の 根本昌彦(ねもと まさひこ) 先生です。
1. 構造的要因(物理的・環境的な壁)
「バリアフリー」というと、車いすのための段差解消などを思い浮かべがちですが、知的・発達障害の方にとっては、より広範な環境が壁となります。
- 感覚・刺激の壁:
- 集団が苦手で、たくさんの人がいる待合室にいられない。
- 音や光などの刺激を受け、パニックになったり、物を触ったり壊したりしてしまう。
- アクセスの壁:
- 電車やバスなどの公共交通機関が利用できず、車でしか通院できない(駐車場や移動手段の制約)。

2. 経済的要因(コストの壁)
障害特性への配慮が必要なために、一般的な診療以上にお金がかかってしまうケースです。
- 検査・処置のコスト:
- じっとしていることが難しく、検査のために鎮静剤(眠くなる薬)や入院が必要になる。
- 賠償等のコスト:
- パニック等で病院の備品を壊してしまった場合の修理費・修繕費。
3. 人的・文化的要因(知識と理解の壁)
医師、看護師、薬剤師など、医療従事者の対応に関する壁です。根本さんは、これが「差別」によるものだけではないと指摘します。
「学校で病気については習ったけれど、対応方法は習っていない」
- 経験と知識の不足:
- 医学的な知識はあるが、障害特性に応じたコミュニケーションや接遇の方法がわからない。
- 対応困難による拒否:
- どう接していいかわからず、「うちでは診きれない」「ここまでしかできない」と受診を断られてしまう。
まとめ:これは日本だけの問題ではない
これらの「受診障壁」は、日本特有の問題ではなく、海外の論文でも指摘されている世界共通の課題です。
「本人の我慢が足りない」と本人側の問題にするのではなく、医療機関側にあるこれら3つの壁(構造・経済・人)を理解し、どう取り除いていくかが問われています。
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