【東日本大震災の教訓】障害者死亡率2倍の真実|BCPと個別避難計画は「誰」を守るものか

【東日本大震災の教訓】障害者死亡率2倍の真実|BCPと個別避難計画は「誰」を守るものか

東日本大震災から10年以上が経過しました。当時の記録映像を見ると、車椅子の方や寝たきりの方が、激しい揺れの中でフローリングの上を無防備に滑り、恐怖に怯える姿が映し出されています。

あの未曾有の災害において、障害のある方の死亡率は、全住民の約2倍でした。

なぜ、彼らは逃げ遅れたのか。
そして、彼らを守ろうとした多くの福祉職員や消防団員が、なぜ共に命を落とさなければならなかったのか。

今回は、東日本大震災の残酷なデータと教訓から、現在義務化されている「BCP(事業継続計画)」「個別避難計画」が、なぜ絶対に必要なのかを解説します。

この記事は、スペシャルラーニングのSL98から抜粋して作成しています。

講師は、一般社団法人福祉防災コミュニティ協会 代表理事の鍵屋 一(かぎや はじめ)先生です。

誰が助けに来たか?「公助」は間に合わない

災害時、「いざとなったら消防や警察(公助)が助けてくれる」と思っていませんか?
東日本大震災の際、障害者や高齢者が誰に避難を支援してもらったかというアンケート結果は、衝撃的でした。

  1. 家族
  2. 近所の人
  3. 福祉関係者
  4. 警察・消防

なんと、警察や消防よりも「近所の人」や「福祉職員」の方が上位だったのです。

津波は待ってくれない

津波や土石流などの災害は、一瞬で襲ってきます。
陸上で見る1mの津波は、100mの距離をたった10秒で到達すると言われています。通報を受けてから出動する公助を待っていては、物理的に間に合わないのです。

生き残った方の多くは、「近所の人が声をかけてくれた」「福祉事業所とつながっていた」人たちでした。

悲劇の連鎖「支援者も逃げられずに亡くなった」

もう一つ、忘れてはならない悲劇があります。それは多くの自治体職員、消防団員、そして福祉施設の職員が犠牲になったことです。

彼らは逃げ遅れたのではありません。
「目の前の利用者様を置いて、自分だけ逃げるわけにはいかなかった」のです。

結果として、判断が遅れ、利用者様と共に津波に巻き込まれてしまったケースが後を絶ちませんでした。

計画がないと「職員」も守れない

もし、「誰が・いつ・どこへ・どうやって逃げるか」という事前の計画(個別避難計画)があり、地域と連携ができていれば、「ここは近所の人にお願いして、職員は避難誘導に専念する」という判断ができたかもしれません。

BCPや個別避難計画を作ることは、利用者様を守ると同時に、現場の職員を「殉職」させないための命綱でもあるのです。

孤立した在宅障害者と「正常性バイアス」

在宅の障害者の場合、さらに状況は深刻でした。
被災地を回った高校の先生の調査によると、高齢の親が障害のある子供(成人含む)を介護している家庭で、多くの「共倒れ」があったそうです。

親自身の判断能力の低下に加え、「避難準備」という当時の警報名が「まだ準備だから大丈夫」という正常性バイアスを生んでしまいました。

「地域」が特性を知っているかどうか

一方で、助かった事例もあります。
ある自閉症のお子さんは、パニックになって柱にしがみついて動けなくなっていました。母親一人ではどうにもなりません。

しかし、近所の人が「あそこの家には自閉症の子がいる」と知っていたため、駆けつけて力ずくで車に乗せて避難させ、命が助かりました。
日頃から地域とつながり、障害特性を理解してもらっているかどうかが、生と死を分けたのです。

2021年は「福祉防災元年」。制度はこう変わった

これら東日本大震災や、その後の豪雨災害の教訓を受け、2021年に法制度が大きく変わりました。私はこれを「福祉防災元年」と呼んでいます。

  1. 避難情報の名称変更:「避難準備」という言葉を廃止し、「高齢者等避難」に変更(正常性バイアスをなくし、早めの避難を促す)。
  2. 個別避難計画の作成:市町村の努力義務へ。
  3. BCP(事業継続計画)策定:障害福祉サービス事業所への完全義務化(2024年度より)。

これらは単なる「手続きの変更」ではありません。
「災害弱者をこれ以上死なせないために、福祉と地域が平時からつながりなさい」という、国からの強いメッセージです。

まとめ:計画書は「地域とつながるパスポート」

BCPや個別避難計画を、「行政監査のための書類」だと思っていませんか?

それは違います。
計画書は、「いざという時、近所の人や消防団にどう動いてもらうか」を約束し、利用者様と職員の命をつなぐための「地域へのパスポート」です。

  • 電源やトイレの確保はどうするか?(ストーマや吸引器を使う方には死活問題です)
  • 誰が誰を連れて逃げるか?
  • 地域の人に、利用者の情報をどう伝えておくか?

これらをまだ「なんとなく」で済ませている事業所は、次の災害で守れるはずの命を失うかもしれません。

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