【虐待防止の組織づくり】禁止ルールより「クレド(信条)」を!北摂杉の子会に学ぶ、職員の意識を変える年度計画

【虐待防止の組織づくり】禁止ルールより「クレド(信条)」を!北摂杉の子会に学ぶ、職員の意識を変える年度計画

障害福祉施設において、虐待防止は最重要課題の一つです。
しかし、多くの現場では「虐待をしてはいけない」「身体拘束はダメだ」という「禁止ルール」の周知に留まっていないでしょうか?

もちろん禁止事項の徹底は必要ですが、それだけでは職員のモチベーションは上がらず、また「何が正しい支援なのか」というポジティブな軸が見えにくくなります。

今回は、大阪の社会福祉法人北摂杉の子会様の実践事例より、職員全員の意識を統一し、虐待を未然に防ぐための「クレド(信条)」を用いた組織づくりについて解説します。

この記事は、スペシャルラーニングのSL40から抜粋して作成しています。

講師は、社会福祉法人北摂杉の子会 権利擁護虐待防止委員会 担当理事の平野 貴久(ひらの たかひさ)先生です。

虐待防止は「年度計画」で戦略的に進める

虐待防止や権利擁護は、思いついた時に研修をやるだけでは定着しません。北摂杉の子会では、法人全体で「権利擁護虐待防止計画」を策定し、戦略的に取り組んでいます。

計画には、「虐待防止」という言葉だけでなく、以下のような「支援の質を上げるための具体的なアクション」が盛り込まれています。

  • コミュニケーション支援(PEX/PECS)の導入: 利用者様の意思を汲み取るためのツールを全部署で活用する。
  • メンター制度の整備: 先輩職員が後輩の悩みを聞く体制を作り、職員のメンタル不調(虐待の要因)を防ぐ。
  • 地域への発信: 施設内だけで完結せず、「地域に生きる」をテーマに外とのつながりを持つ(風通しを良くする)。

つまり、「良い支援をすることこそが、最大の虐待防止である」という考え方が計画の根底にあります。

全職員で作るから意味がある。1年半かけた「クレド」策定

組織文化を作る上で核となっているのが、北摂杉の子会独自の「権利擁護虐待防止クレド」です。

クレド(Credo)とは、ラテン語で「志」「信条」を意味し、組織全体の行動指針のことです。
特筆すべきは、これを理事長や幹部が勝手に決めたのではなく、全スタッフへのアンケートをもとに、約1年半もの時間をかけて作り上げたという点です。

「私たちは何を大切に支援しているのか?」

この問いに対し、現場から上がってきたキーワードを拾い上げて作成されました。
上から押し付けられた標語ではなく、「自分たちの言葉」で作られた指針だからこそ、現場に浸透し、自分事として捉えられるのです。

現場の迷いをなくす「8つのクレド」とは

実際に策定されたクレドは、以下の4つのカテゴリー・8項目から成ります。

1. 利用者支援

  • 全ての利用者の意思を支援することで尊重します

2. 環境整備(安心・安全)

  • 信頼される職員になります(利用者からも地域からも)
  • 4S(整理・整頓・清掃・清潔)を実行します

3. 専門性とチーム支援

  • 職員間の豊かなコミュニケーションを大切にします
  • プロとして誇りを持てる仕事をします
  • 一人一人に応じた合理的配慮に基づく支援を提供します

4. 説明できる支援

  • 根拠のある支援を大切にします
  • ご利用者と地域との架け橋になります

「プロとして誇りを持てるか?」「根拠のある支援か?」
現場で対応に迷ったとき、このクレドに立ち返ることで、全職員が同じ方向(ゴール)を向いて判断できるようになります。

作っただけでは終わらせない「浸透」の仕掛け

素晴らしいクレドも、ファイルに閉じ込めていては意味がありません。
北摂杉の子会の権利擁護虐待防止委員会では、このクレドを「空気」のように当たり前のものにするために、様々な工夫を凝らしています。

視覚と行動に訴えるツール

  • ポスター掲示: 黄色地に赤文字という、パッと目につくデザインのポスターを作成し、全事業所に掲示。
  • 名刺への印刷: 職員の名刺の裏面にクレドを記載。名刺交換のたびに目に入り、外部の人に対しても「私たちの誓い」として宣言する効果があります。

定期的な振り返り(PDCA)

  • 年1回のチェックリスト: 毎年9月に、クレドの8項目について「自分がどれくらい実践できているか」を5段階で自己評価します。
  • 委員会での議論: 「利用者様の呼び方(ちゃん付け)は適切か?」「車椅子ベルトは拘束にあたらないか?」など、現場の具体的なトピックスをクレドに照らし合わせて議論し、現場へフィードバックしています。

まとめ:虐待防止は「監視」ではなく「チーム作り」

虐待防止というと、どうしても「監視カメラをつける」「通報義務を教える」といったハード面に目が行きがちです。

しかし、北摂杉の子会の事例が教えてくれるのは、「私たちはプロとしてこうありたい」というポジティブな信条(クレド)を共有することこそが、最強の防止策になるということです。

  • 職員の意識を統一したい
  • 現場発信で組織風土を変えたい
  • 具体的な計画書の作り方を知りたい

そうお考えの管理者様は、ぜひ「スペシャルラーニング」で、北摂杉の子会様の詳細な取り組み動画をご覧ください。
ポスターの実物や、委員会運営のノウハウなど、明日の運営に役立つヒントが満載です。

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