【感覚過敏の歯磨き介助】「嫌がって暴れる」原因は?|触れてはいけない敏感な部位とプロのコツ
【感覚過敏の歯磨き介助】「嫌がって暴れる」原因は?|触れてはいけない敏感な部位とプロのコツ
障害者支援施設において、入浴や排泄と並んでトラブルになりやすいのが「歯磨き(口腔ケア)」です。
利用者様が頑なに口を閉ざしたり、歯ブラシを噛んで離さなかったり、最悪の場合はパニックになって暴れてしまう……そんな経験はありませんか?
現場ではつい「虫歯になるから頑張って!」「口を開けて!」と必死になってしまいますが、実はその拒否反応、「触ってはいけない敏感な場所」を触ってしまっていることが原因かもしれません。
今回は、感覚過敏のある方への歯磨き介助について、解剖学的に避けるべきポイントと、利用者を安心させるプロの技術について解説します。
この記事は、スペシャルラーニングのSL85から抜粋して作成しています。
講師は、独立行政法人 国立重度知的障害者総合施設 のぞみの園 研究員/看護師の根本 昌彦先生です。

なぜ、その利用者は歯ブラシを噛むのか?(敏感な部位を知る)
口の中は誰でも敏感な場所ですが、感覚過敏のある方にとっては、特定の部位への接触が「不快」を超えて「痛み」や「恐怖」に感じられることがあります。
特に、以下の3つのポイントは「敏感な上に、さらに敏感な場所」です。ここを不用意に触っていないか確認してください。
1. 上唇小帯(じょうしんしょうたい)
上唇をめくった時、真ん中にある「筋(スジ)」の部分です。
ここは神経が集中しており、非常に敏感です。歯ブラシがいきなりここに当たると、健常者でも飛び上がるほど不快な痛みを感じます。
2. 口角(こうかく)
唇の左右の端(切れ目)の部分です。乾燥して切れたり、ヘルペスができやすかったりするデリケートな場所です。ここに歯ブラシの柄が強く当たると、反射的に口を閉じてしまいます。
3. 舌(ぜつ)
舌は味覚を感じる繊細な器官です。歯を磨くつもりで誤って舌をグイグイ押してしまうと、「オエッ」となる嘔吐反射(ガグ反射)を引き起こします。
【実践】プロが教える「痛くない」磨き出しのポイント
では、どこから磨き始めればよいのでしょうか。
真ん中(スジ)は避ける
一番やりがちなのが、前歯のど真ん中から磨き始めることです。これだと、前述の「上唇小帯」に直撃するリスクが高まります。
【正解】前歯の左右どちらか、2〜3本目から当てる
まずは敏感な筋を避け、少し横の歯から優しくスタートします。「ここは痛くない」と分かれば、利用者様の警戒心は解けやすくなります。
長時間触り続けない
唇や頬を排除(指で広げる)する際、ずっと指でグリグリと触れ続けていませんか?
過敏な方にとって、持続的な圧迫は不快です。「ちょっと広げて、磨いて、パッと離す」。このメリハリをつけることで、不快感を軽減できます。

安全に磨くための「姿勢」と「声かけ」
歯磨きの目的は、当然ですが「歯」を磨くことです。
顔が動いてしまっては、歯ブラシが頬や舌に刺さり、事故につながります。また、利用者様が恐怖を感じないような環境づくりも重要です。
顔が動かない「姿勢」をつくる
嫌がって暴れている方を無理やり抑え込んで磨くのはNG(虐待にあたる可能性があります)ですが、安全のために「頭部を安定させる」ことは必要です。
例えば、寝姿勢(仰向け)で実施する場合、支援者が頭側に座ります。
もし利用者様の手が出てしまって危ない場合は、支援者の足(太もも)の下に利用者様の手を優しく差し入れてもらい、動かないように固定する方法もあります(※あくまで安全確保のためのポジショニングであり、力ずくの拘束ではありません)。
「高い声」で励ますのは逆効果
一生懸命になるあまり、職員の声が大きくなっていませんか?
- NG例:「ほら頑張って!」「あーんして!」「もっと開けて!」(甲高い声、早口)
- 利用者様は「怒られている」「怖い」と感じ、余計に緊張して口を閉じます。
- OK例:「大丈夫だよ」「痛くない?」「ここ磨くね」(低い声、ゆっくり、優しく)
- 誰が聞いても安心できるトーンで話しかけることで、筋肉の緊張が解けやすくなります。
まとめ:正しい技術があれば、歯磨きは「戦い」ではなくなる
毎食後の歯磨きが、職員と利用者様の「戦い」になってしまっているなら、それは双方にとって不幸なことです。
感覚過敏の方への対応は、「気合い」や「慣れ」ではなく、「解剖学的な知識」と「心理的なアプローチ」が必要です。
- 痛い場所(上唇小帯など)を避けているか?
- 安心できる声色で話しかけているか?
- 安全なポジショニングがとれているか?
これらを職員全員が理解し実践できれば、歯磨きの時間は劇的にスムーズになり、誤嚥性肺炎や虫歯のリスクも減らせます。
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