【個別支援計画】「立ち話で済ませた」は通用しない!命を守る安全管理と“プロの記録”

個別支援計画の最後にある「安全管理・事故防止上の留意点」や「備考」欄。
「転倒に注意」「誤嚥に注意」と、決まり文句だけ書いて終わっていませんか?
ここは、利用者の「命」に直結する最も重要な項目です。
今回は、具体的なリスク想定の視点と、それを組織として担保するための「記録」の重要性について解説します。
この記事は、スペシャルラーニングのSL94から抜粋して作成しています。
講師は、日総研出版「障害者の個別支援計画の考え方・書き方」の著者であり、武庫川女子大学 文学部 心理・社会福祉学科の教授の松端 克文(まつのはな かつふみ)先生です。
1. 「ヒヤリハット」では済まないリスクを具体的に書く
安全管理と一口に言っても、利用者によってリスクの種類は全く異なります。
「何に注意すべきか」を、具体的かつ最悪の事態(命に関わるケース)まで想定して記入する必要があります。
具体的なリスクと対応例
- てんかん発作:
- リスク: 入浴中の発作は溺死に直結する「命取り」の事態です。
- 対応: 入浴時は必ず職員が付き添う、湯船の湯量を調整するなど。
- 自傷・他害:
- リスク: 激しく自分の顔を叩く(自傷)場合、打撲だけでなく「網膜剥離」による失明のリスクもあります。
- 対応: クールダウンの場所確保、保護帽の着用検討など。
- 異食(何でも口に入れる):
- リスク: 窒息、中毒、腸閉塞。
- 対応: 周囲に物を置かない(環境設定)、職員が常に視界に入れる(見守り)。
- 誤嚥(ごえん):
- リスク: 窒息死、誤嚥性肺炎。
- 対応: 食材の刻み形態、食事介助の姿勢、食後の口腔ケア。
「気をつける」という精神論ではなく、「環境をどう変えるか」「誰がどう動くか」を具体的に落とし込みましょう。

2. 「立ち話」は仕事ではない
現場でよくあるのが、ヒヤリハットや対応策について「あそこで話しましたよね?」「伝えたつもりでした」というケースです。
はっきり言います。「立ち話」で済ませるのは、プロとして無責任です。
- いつ話し合ったのか?
- 誰が参加したのか?
- どんな結論になったのか?
これらが「会議録」として残っていなければ、それは仕事をしたことになりません。
万が一事故が起きた時、「立ち話で共有していました」では、誰も守ることができないのです。
3. 記録が「支援の質」と「仕事の魅力」を高める
「記録に残す作業」は面倒に感じるかもしれません。
しかし、会議で正式に話し合い、記録に残し、それを「個別支援計画」に反映させる(書き換える)というサイクルを回すことこそが、プロの仕事です。
- 根拠ができる: 「なぜこの支援をしているのか」が明確になる。
- チームが動く: 個人の感覚ではなく、組織として安全を守れるようになる。
この一連のプロセスを丁寧に踏むことで、支援の質は確実に高まり、結果として「自分たちは専門職として良い仕事をしている」というやりがい(仕事の魅力)にも繋がります。
まとめ:計画書は「命の守り方」を記した契約書
安全管理の項目は、利用者と家族に対する「私たちはあなたの命をこうやって守ります」という約束(契約)でもあります。
曖昧な言葉で埋めるのではなく、
「この人の場合、ここが危ない」
「だから、チームでこう動く」
という決意を、記録と計画書にしっかりと刻み込んでください。
障害福祉の研修動画サービス「スペシャルラーニング」では、
- 事故を未然に防ぐ「ヒヤリハット報告書」の活用法
- てんかん・誤嚥など、命に関わるリスクへの具体的対応マニュアル
- 「言った言わない」を防ぐための会議録・支援記録の書き方
- リスクマネジメント視点を取り入れた個別支援計画の作成実例
など、利用者の安全を守り、支援者自身も守るためのリスク管理ノウハウを動画で配信しています。
根拠のある安全管理体制を作るために。ぜひご活用ください。
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