【モニタリング実践】「なんとなく良くなった」は卒業!支援の成果を“見える化”する2つの手法

個別支援計画に基づく支援がスタートした後、必ず必要になるのが「モニタリング」です。
しかし、「何をどうチェックすればいいのか分からない」「感覚的な振り返りになってしまう」という声も少なくありません。
モニタリングとは、単に様子を見ることではなく、「支援の有効性を検証し、次の手を打つための分析」です。
今回は、モニタリングで確認すべき4つの視点と、成果を客観的に判断するための具体的な技法(行動観察・シングルシステムデザイン)について解説します。
この記事は、スペシャルラーニングのSL94から抜粋して作成しています。
講師は、日総研出版「障害者の個別支援計画の考え方・書き方」の著者であり、武庫川女子大学 文学部 心理・社会福祉学科の教授の松端 克文(まつのはな かつふみ)先生です。
1. モニタリングで点検すべき「4つの視点」
モニタリングを行う際、漫然と「最近どう?」と話し合うだけでは不十分です。
以下の4つのポイントに沿って、構造的にチェックしましょう。
① 目標の実現可能性
- 立てた目標は、今の本人にとって高すぎないか?(または低すぎないか?)
- 現実的に達成可能なライン設定になっているか。
② 支援体制の不備
- 計画を実行するための「人・モノ・金」は足りているか?
- 例:「毎日コンビニへの買い物に付き添う」という計画に対し、実際に付き添えるスタッフの手配ができているか?
絵に描いた餅になっていないかを確認します。
③ 職員の実践(一貫性)
- スタッフ全員が、計画通りの支援ができているか?
- 要注意:「しっかり受け止める」という計画なのに、Aさんは受け止め、Bさんは厳しく突き放す…といったバラつきがないか。
- バラつきがある場合、スーパーバイズ(指導・助言)を通して支援を統一する必要があります。
④ 本人の心身の変化
- 計画作成時と比べて、本人の状態が変わっていないか?
- 例:「作業を頑張る」計画だが、体力が低下して健康面で無理が生じていないか。
これらを点検し、うまくいっていない場合は、計画の修正、体制の立て直し、再アセスメントへと繋げます。
2. 記録をエビデンスにする「コード観察法(行動観察)」
具体的な行動上の課題(他害やパニックなど)がある場合、有効なのが「コード観察法」です。
ターゲットとなる行動(コード)を特定し、その前後の状況を記録する方法です。
- ターゲット:「噛みつき」
- 記録内容:いつ、どのような状況で噛みついたか。その時、どんな支援(声かけ、散歩など)をしたら収まったか。
これを積み重ねると、「散歩に誘うと噛みつきが減る」といった法則(エビデンス)が見えてきます。
「なんとなく」ではなく、事実に基づいて支援内容を調整するための手法です。
3. 効果を一発で判定!「シングルシステムデザイン」
名前は難しそうですが、考え方はとてもシンプルです。
「支援をする前(ベースライン)」と「支援をした後」を比較する方法です。
やり方
- ベースライン期: 何もしない(または従来の支援の)時期の状態を把握する。
- 介入期: 新しい支援計画を実行する。
- 比較: 1と2を比べて、変化があったかを見る。
評価のポイント
数値化できるもの(不眠の日数、他害の回数など)であれば、折れ線グラフにすると一目瞭然です。
- 効果あり: 支援を始めてから、グラフが下がった(問題行動が減った)。
- 効果なし: 支援を始めても、グラフが変わらない(または悪化した)。
数値化できなくてもOK
回数として数えられなくても、職員の感覚でチェックすることも可能です。
- 「以前はイライラしていたが、この支援を始めてから表情が柔和になった」
- 「最近、落ち着いている時間が増えた」
大切なのは、ある支援を起点(境目)にして、「それ以前(Before)」と「それ以後(After)」でどう変わったかを意識的にチェックすることです。

まとめ:モニタリングは「修正」のチャンス
モニタリングの結果、計画通りにいっていなくても落ち込む必要はありません。
「この支援では効果が薄い」「今の体制では無理がある」ということが分かったこと自体が、大きな成果です。
- コード観察で事実を集める。
- シングルシステムデザインで変化を比較する。
これらの視点を持って、計画をより良いものへ「アップデート」していきましょう。
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