【重症心身障害の定義】手帳の等級だけでは決まらない?現場で使われる「大島分類」と施設入所のリアル

【重症心身障害の定義】手帳の等級だけでは決まらない?現場で使われる「大島分類」と施設入所のリアル

「重症心身障害(重心)」という言葉を、日々の業務で何気なく使っていませんか?
しかし、「具体的にどこからどこまでが重心なんですか?」と聞かれた時、明確な基準を答えられるでしょうか。

実は、公的な手帳の等級だけでは、支援が必要な「重心」の実態を正確に捉えることはできません。

今回は、現場の共通言語として必ず知っておきたい「大島分類」の読み方と、そこから見える施設入所の現実について解説します。

この記事は、スペシャルラーニングのSL106から抜粋して作成しています。

講師は、公益社団法人日本重症心身障害福祉協会 理事長であり、社会福祉法人三篠会(堺市立重症心身障害者(児)支援センター・ベルデさかい) の名誉センター長の児玉 和夫(こだま かずお)先生です。

公的な基準は「身体1・2級 + 知的A判定」だが…

まず、公的な判断基準(行政的な定義)を確認しましょう。
一般的に「重症心身障害児・者」とは、以下の両方の手帳を持っている方を指します。

  1. 身体障害者手帳:肢体不自由の1級・2級
  2. 療育手帳:重度を示すA判定(自治体により名称は異なる)

しかし、この基準には課題があります。
かなり動ける方や、コミュニケーションが取れる中軽度の方もこの枠に含まれてしまうことがあり、「常時介護や医療的ケアが必要な状態」かどうかを判断するには、少し大雑把すぎるのです。

現場のモノサシ「大島分類」を理解する

そこで、より実態に即した基準として現場で広く用いられているのが「大島分類」です。

これは、「縦軸(知的能力・IQ)」「横軸(運動能力)」をそれぞれ5段階に分け、組み合わせた計25マスの表で表されます。

重症心身障害の範囲=「1・2・3・4」

この表の中で、重症心身障害とみなされるのは、以下の4つの区分(1〜4)に該当する方々です。

  • 知的能力(縦軸):IQ35以下(重度〜最重度)
  • 運動能力(横軸):寝たきり 〜 お座りができるまで

つまり、「自分で歩ける」あるいは「ある程度の知的理解がある」場合は、大島分類上の重心からは外れることになります。

施設入所のリアル。「区分1(最重度)」が優先される現実

「じゃあ、区分1〜4の人はみんな施設に入れるんですね?」
そう思われるかもしれませんが、現実はもっとシビアです。

現在、重心施設に入所されている方の多くは、「区分1(IQ20以下 × 寝たきり)」の最重度の方々が中心です。

  • 区分1:命を守るために施設入所が最優先される。
  • 区分2・3・4:入所対象ではあるが、空きがなく「待機」となることが多い。

その結果、区分2〜4の方々は、ご自宅や地域の通所サービスを利用しながら生活されています。
施設入所は「狭き門」であり、だからこそ地域(B型、生活介護、訪問系)での重心支援スキルが今、強烈に求められているのです。

施設は「医療」と「文化」が共存する場所

重心施設は、重い障害のある方がただ寝て過ごすだけの場所ではありません。

  • ある部屋では、肺炎の治療のために点滴などの高度な「医療」が行われている。
  • 隣の部屋では、陶芸や園芸などの「文化活動」が行われ、土の感触を楽しんでいる。

「命を守る医療」「人生を彩る活動」
この2つが両立して初めて、人間らしい生活(QOL)が守られます。これは施設だけでなく、在宅支援においても目指すべき姿です。

まとめ:大島分類で「必要な支援」を見極める

大島分類を理解することは、目の前の利用者様が「どの程度の支援を必要としているか」を客観的に把握する第一歩です。

  • 区分1の方には、生命維持を最優先したケアを。
  • 区分2〜4の方には、残存機能を活かした活動支援を。

障害福祉の研修動画サービス「スペシャルラーニング」では、

  • 大島分類を用いた具体的なアセスメント方法
  • 重症度に応じた「医療的ケア」と「療育」の実践技術
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