【重症心身障害の現在】「超重症児者」の増加で変わる施設の使命。入所型から「地域支援のバックアップ拠点」へ

【重症心身障害の現在】「超重症児者」の増加で変わる施設の使命。入所型から「地域支援のバックアップ拠点」へ
重症心身障害(重心)支援の現場は、平成に入ってから劇的な変化を遂げました。
1990年代以降、NICU(新生児集中治療室)などの医療技術の進歩により、かつては救命が難しかった子どもたちの命が救われるようになりました。
その結果、人工呼吸器や胃ろうなどの「高度な医療的ケア」を必要としながら、在宅や地域で暮らす方々が急増しています。
今回は、こうした時代の変化に伴って生まれた「超重症児(者)」という定義と、これからの施設に求められる「地域バックアップ機能」について解説します。
この記事は、スペシャルラーニングのSL106から抜粋して作成しています。
講師は、公益社団法人日本重症心身障害福祉協会 理事長であり、社会福祉法人三篠会(堺市立重症心身障害者(児)支援センター・ベルデさかい) の名誉センター長の児玉 和夫(こだま かずお)先生です。

1990年代以降の急増。「超重症児者」とは?
従来の重症心身障害の定義は、「重度の肢体不自由」と「重度の知的障害」の重複でした。
しかし、2000年代に入ると、それだけでは測れないほど医療依存度が高いケースが増えてきました。
そこで、新たな判定基準として導入されたのが「超重症児(者)スコア」です。
医療的ケアの手間や頻度を点数化し、以下のように区分します。
- 超重症児者:スコア 25点以上
- 準超重症児者:スコア 10点以上
この区分に該当する場合、医療機関や施設を利用する際に特別な「加算」がつくようになりました。
【保存版】超重症児者スコアの採点項目
では、具体的にどのような状態が点数化されるのでしょうか。全14項目のうち、代表的な配点をご紹介します。
- 人工呼吸器の管理:10点
- 気管切開:8点
- 酸素療法(常時):5点
- 気管内吸引(1時間に1回以上):8点
- 経管栄養(胃ろう・腸ろう):8点(ポンプ使用で+3点)
- 継続する透析:10点
例えば、「人工呼吸器(10点)」をつけていて、「頻回な吸引(8点)」と「経管栄養(8点)」が必要な方の場合、合計26点となり「超重症児者」と判定されます。
それほど、命を守るためのケアが24時間途切れなく必要な状態と言えます。
施設の役割転換。「抱え込み」から「地域バックアップ」へ
こうした超重症児者の多くは、現在、病院や施設ではなく「在宅(家庭)」で暮らしています。
それに伴い、重症心身障害児者施設の役割も大きく変わりました。
かつては「入所して一生を過ごす場所」でしたが、現在は「地域生活を支えるバックアップ拠点」としての機能が求められています。
- 短期入所(ショートステイ):ご家族のレスパイト(休息)や急病時の受け皿。
- 通所支援(生活介護):日中の活動と医療的ケアの提供。
- 訪問看護・訪問診療:ご自宅へのアウトリーチ。
「施設に入所させて終わり」ではなく、「基本は地域で暮らし、施設が黒子となって医療面・生活面を支える」というスタイルへの転換が不可欠です。

国の描く未来図「支援体制整備モデル事業」
国(厚生労働省)が示している「重症心身障害者支援体制整備モデル事業」の図においても、施設は地域の中の「一部」として描かれています。
地域には、診療所、訪問看護ステーション、相談支援事業所など様々なリソースがあります。
重心施設に求められているのは、それらと連携し、一般的な事業所では対応が難しい「高度な医療ニーズのある方」を一手に引き受ける(バックアップする)という専門的な役割です。
まとめ:高度化するニーズに対応できる「人材」を
「超重症児者」の増加は、現場の職員に対して、これまで以上に高度な医療的知識とケア技術を求めています。
ただ生活を支援するだけでなく、人工呼吸器のアラームに対応し、安全に吸引を行い、急変時に適切な判断ができるスキルが必要です。
障害福祉の研修動画サービス「スペシャルラーニング」では、
- 超重症児者スコアの詳細と判定シミュレーション
- 人工呼吸器・胃ろう等の医療的ケア手技の実演
- 地域連携と家族支援のあり方
など、高度化する重心支援に対応するための専門プログラムを配信しています。
地域から頼られる施設であり続けるために。職員のスキルアップにぜひご活用ください。
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