【重症心身障害支援のこれから】施設は「地域」へ、そして「医療的ケア児」という新たな課題へ。

【重症心身障害支援のこれから】施設は「地域」へ、そして「医療的ケア児」という新たな課題へ。
重症心身障害(重心)支援の歴史を振り返るシリーズ、最終回は「これからの支援のあり方」についてです。
かつて、重心施設といえば「人里離れた場所にあり、一度入れば社会と切り離されてしまう場所」というイメージがありました。
しかし、半世紀を経てその姿は大きく変わりました。そして今、私たちは新たな課題に直面しています。
今回は、地域へと開かれた施設の現状と、「医療的ケア児」という新しいニーズに対する挑戦について解説します。
この記事は、スペシャルラーニングのSL106から抜粋して作成しています。
講師は、公益社団法人日本重症心身障害福祉協会 理事長であり、社会福祉法人三篠会(堺市立重症心身障害者(児)支援センター・ベルデさかい) の名誉センター長の児玉 和夫(こだま かずお)先生です。

施設は「隔離された場所」から「家庭の延長」へ
現在、多くの重心施設は「地域の中にある生活の場」として運営されています。
- 桜の季節には、親御さんと一緒に花火を楽しむ。
- 秋の夕暮れには、デッキに出て風を感じる。
- 近くの公園へ出かけ、地域の人たちと交流する。
そこにあるのは、病院のような無機質な空間ではなく、「ご家庭の生活の延長」としての温かい時間です。ご家族が頻繁に訪れ、共に過ごすことができる。それが現代の重心施設のスタンダードです。

施設に入れない現実と「地域リソース」の必要性
一方で、切実な問題もあります。医療の進歩により利用者の寿命が延びたことは素晴らしいことですが、それは同時に「施設に空きが出ない(=在宅の方がなかなか入所できない)」という現実を生んでいます。
この問題を解決するには、施設を増やすだけでは限界があります。
「地域の中で、重度の障害があっても生きていける場所」を作らなければなりません。
人工呼吸器でも暮らせるグループホーム
例えば、大阪府堺市では、人工呼吸器をつけている方でも受け入れ可能なグループホームがいくつか登場しています。
「施設か在宅か」の二択ではなく、こうした高度なケアができる地域資源を増やし、施設がそれをバックアップする。この連携こそが、これからの地域づくりの鍵となります。
新たな課題。「重心施設」には馴染まない「医療的ケア児」たち
さらに近年、法律(医療的ケア児支援法)も整備され、注目されているのが「医療的ケア児」の支援です。
ここで注意が必要なのは、「医療的ケア児 = 重症心身障害児」とは限らないということです。
医療技術の進歩により、以下のようなお子さんが増えています。
- 人工呼吸器は必要だが、自分で歩くことができる。
- 医療的ケアは必要だが、知的な遅れはなく、パソコンも使いこなせる。
既存施設とのミスマッチ
従来の重心施設は、基本的に「寝たきりで、最重度の知的障害がある方」を想定して作られています。
そのため、「体は元気で動き回りたいけれど、医療ケアが必要」という子どもたちを受け入れるには、設備もプログラムもマッチしません。
「支援は必要だけれど、重心施設は使えない」
この制度の狭間にいる子どもたちを、地域の中でどう支えていくか。施設に頼らない新たなバックアップの仕組み作りが、私たちに課せられた次なるミッションです。
まとめ:枠組みを超えて、新しい「支援の形」を作る
重症心身障害支援の歴史は、常に行き場のない人たちのために「新しい場所」を作ってきた歴史でした。
そして今、私たちは「動ける医療的ケア児」や「地域で暮らしたい人工呼吸器ユーザー」のために、再び新しい支援の形を模索する時期に来ています。
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- 医療的ケア児支援法のポイントとセンターの役割
- 重度障害対応グループホームの運営事例
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変化を恐れず、地域のニーズに応えるために。ぜひご活用ください。
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