【通報義務】「確証がないから」は通じない!覚えておくべき3つの条文(第3条・6条・16条)

「虐待かもしれないけれど、勘違いだったらどうしよう…」
「確証がないのに通報したら、職場で立場が悪くなるかも…」

現場で働く皆さんにとって、通報は非常に勇気のいる行為です。しかし、法律は迷う支援者の背中を強く押しています。

今回は、「障害者虐待防止法」の中でも、福祉のプロとして絶対に覚えておくべき3つの条文(第3条・第6条・第16条)について解説します。

この記事は、スペシャルラーニングのSL39から抜粋して作成しています。

講師は、元 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課地域生活支援推進室 虐待防止専門官/障害福祉専門官であり、現在、社会福祉法人みんなでいきる 理事/障害福祉事業部長の片桐公彦先生です。

1. 私たちには「一段高い」義務がある(第3条・第6条の2)

まずは基本の理念と、私たち専門職の役割についてです。

  • 第3条(禁止)
    「何人も(誰であっても)、障害者に対して虐待をしてはならない」
    これは国民全員への命令です。
  • 第6条の2(早期発見の努力義務)
    ここが重要です。福祉施設従事者、教員、医師などは、「虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、早期発見に努めなければならない」とされています。

私たちは一般の人よりも、利用者の近くにいます。だからこそ、一般国民よりも「一段高いレベルでの早期発見の努力義務」が課せられていることを自覚しましょう。

2. 「虐待を受けたと思われる」時点で通報義務(第16条)

最も重要なのが、通報義務を定めた第16条です。

第16条第1項(要約)
障害者虐待を受けたと思われる障害者を発見した者は、速やかにこれを市町村に通報しなければならない。

「確証」はいりません

法律は、「虐待の事実を確認したら」とは言っていません。「受けたと思われる(疑わしい)」時点で、通報は「義務」です。

「本当に虐待かな?」「微妙だな」と迷ったとしても、それは通報しない理由にはなりません。事実確認(調査)をするのは市町村の仕事であり、発見者の仕事ではないからです。
「迷ったら通報」が、法律の正解です。

3. あなたを守る「不利益取扱いの禁止」(第16条第4項)

勇気を出して通報した人が、損をすることはあってはなりません。法律は通報者を守る条文もしっかり定めています。

第16条第4項(要約)
通報したことを理由として、解雇その他不利益な取扱いを受けない。

「通報したらクビになる」「異動させられる」といった報復人事は法律で禁止されています。
特に、理事長や施設長などの管理職は、この条文を重く受け止め、「通報者が守られる組織」を作らなければなりません。

まとめ:通報は「裏切り」ではなく「正義」

虐待防止法が求めているのは、完璧な証拠集めではありません。
「あれ?おかしいな」という気づきを、隠さずに上げることです。

  • プロとしての早期発見(第6条の2)
  • 疑わしきは通報(第16条)
  • 通報者は守られる(第16条4項)

これらを胸に刻み、利用者の命と尊厳を守るための行動を選択してください。


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