【強度行動障害の支援】なぜ「言葉」は通じない?虐待を防ぐ「標準的支援」の基本①特性の理解

【強度行動障害の支援】なぜ「言葉」は通じない?虐待を防ぐ「標準的支援」の基本①特性の理解

「何度も説明しているのに、同じ失敗をする」
「急にパニックになって手がつけられない」

強度行動障害のある利用者様への対応で、支援者が疲弊してしまう大きな原因。それは、「こちらの伝え方」と「ご本人の受け取り方」のミスマッチにあります。

現在、国が推奨している「標準的支援」には、大きく2つの柱があります。

  1. 障害特性の理解
  2. PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)の実施

今回は、その土台となる第一の柱、「自閉症の特性理解」について解説します。
なぜ彼らには言葉が通じにくいのか、どうすれば伝わるのか。そのメカニズムを知るだけで、支援の景色はガラリと変わります。

この記事は、スペシャルラーニングのSL20から抜粋して作成しています。

講師は、自閉症eサービス全国ネット 代表の中山清司先生です。

自閉症の「3つの特性」を再確認する

強度行動障害を示す方の多くは、自閉スペクトラム症(ASD)の特性を持っています。
支援に行き詰まった時は、まず基本である以下の3つの特性に立ち返る必要があります。

  1. コミュニケーションの障害: 言葉の理解や発信が苦手。
  2. 社会性の障害: 「その場の空気」や「相手の意図」を読むのが苦手。
  3. 想像力の障害(こだわり): 変化を嫌い、特定の物事に強く執着する。

彼らの激しい行動は、性格が乱暴だから起きるのではありません。
これらの特性ゆえに、「言いたいことが言えない」「何をしていいか分からない」というイライラや不安が爆発した結果なのです。

「言葉」は弱く、「目」は強い

自閉症の方にとって、「言葉(音声)」によるコミュニケーションは非常にハードルが高いものです。
耳から入る情報は消えてしまうため、記憶に残りにくく、「あれこれ口頭で説明されること」自体が混乱と不安の種になります。

一方で、彼らは「視覚的な情報処理」には非常に優れています。

支援の鉄則:視覚化する

  • 予定: 「後でね」ではなく、スケジュール表やカレンダーで見せる。
  • 場所: 「あっちに座って」ではなく、座る場所にマークや写真を貼る(明示する)。

「言葉で説得」するのをやめ、「絵や写真で見せる」
これだけで、彼らの理解度は格段に上がり、無用なトラブルを防ぐことができます。

「こだわり」は整理し、武器にする

3つ目の特性である「こだわり」は、対応を間違えると行動障害の引き金になりますが、うまく活用すれば強力な支援ツールになります。

1. 刺激を整理する(引き算)

ご本人が気になって仕方がない物(特定のゴミ、お菓子、音の出るおもちゃなど)が、不用意に視界に入っていませんか?
そこにあるだけで「触りたい」「欲しい」という衝動が生まれ、止められるとパニックになります。
まずは、こだわりやすい物を環境から遠ざける(隠す)配慮が必要です。

2. 動機として利用する(足し算)

逆に、その強い興味関心を「動機(モチベーション)」として活用します。

  • 「この活動が終わったら、大好きなジュースを飲みましょう」

このように、やるべきことの後に楽しみ(こだわり)を用意し、それを視覚的に提示することで、スムーズな行動への切り替えを促すことができます。

まとめ:特性を知れば、支援は「パズル」になる

「なぜ暴れるのか分からない」状態は恐怖ですが、「特性(理由)があって暴れている」と分かれば、対策が見えてきます。

それはまるでパズルのようなものです。
「耳が苦手なら目を使おう」「こだわりがあるなら隠そう、あるいはご褒美にしよう」。
そうやって特性に合わせて環境を調整することこそが、標準的支援の第一歩です。

障害福祉の研修動画サービス「スペシャルラーニング」では、

  • 自閉症特性に基づいた環境調整(構造化)の基礎
  • 絵カードやスケジュールを使った視覚支援の具体例
  • 強度行動障害支援者養成研修のカリキュラム解説

など、現場ですぐに使える標準的支援のノウハウを動画で配信しています。
根性論ではない、根拠のある支援を身につけるために。ぜひご活用ください。

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