【強度行動障害の予防】パニックの原因は「先が見えない」から?不安と混乱を解消する「見通し」の伝え方

【強度行動障害の予防】パニックの原因は「先が見えない」から?不安と混乱を解消する「見通し」の伝え方
「なぜ急に怒り出したんだろう?」
「さっきまで機嫌が良かったのに…」
自閉スペクトラム症の方の支援において、突然の不穏やパニックに戸惑うことはありませんか?
その行動の背景には、多くの場合、強烈な「不安」と「混乱」が潜んでいます。
彼らは、周囲の状況を読み取ることが苦手です。
「自分は今、ここで何をすべきか?」「周りの人は何をしているのか?」「この後、何が起こるのか?」
これらが分からない状態は、暗闇の中を歩かされているような恐怖と同じです。
今回は、行動障害の引き金となる不安を取り除くための「見通し」の伝え方と、「視覚的支援」について解説します。
この記事は、スペシャルラーニングのSL20から抜粋して作成しています。
講師は、自閉症eサービス全国ネット 代表の中山清司先生です。

1. 「いつも同じ」が安心を作る
不安を減らすための基本は、「いつも同じやり方で関わること」です。
- 毎回違うルートを通る
- 担当スタッフによって指示の出し方が違う
- 急に新しい場所へ連れて行く
こうした「変化」や「曖昧さ」は、彼らにとって最大のストレスです。
「朝のルーティンはこれ」「このスタッフならこう対応してくれる」という予測可能性があるだけで、彼らの心は安定します。
まずは、チーム全体で支援の手順を統一し、できるだけ変化の少ない環境を作りましょう。
2. 不安を煽る「NGワード」を使っていませんか?
良かれと思って言った言葉が、逆に不安を煽っていることがあります。
以下のような言い方は避けましょう。
避けるべき「曖昧・否定的」な表現
- 脅し: 「そんなことしたら、もう行けないよ!」
→「行けないかもしれない」という絶望感だけが伝わります。 - 曖昧: 「明日はどうなるか分からないね(天気次第だね)」
→ 見通しが立たず、混乱の原因になります。
推奨される「肯定的・具体的」な表現
- 肯定: 「これを片付けたら、出発できますよ」
- 具体化: 「雨なら室内遊び、晴れなら公園です」
「~できない」ではなく「~ならできる」「次はこうなる」と、ハッキリと肯定的に伝えることが重要です。
3. 「百聞は一見に如かず」視覚で伝える
口頭で「大丈夫ですよ」「あとでね」と伝えるだけでは、彼らの不安は解消されません。
自閉症の方は、耳からの情報よりも、目からの情報(視覚情報)を理解し、安心する特性があります。
文字や写真を見せる
「見て分かる」ツールを用意しましょう。
- 文字が読める人:
「12時になったらご飯です」「明日は遊園地に行きます」と、短い文章で紙に書いて見せます。 - 文字が苦手な人:
絵カードや写真を活用します。
インターネットを活用する
例えば、旅行や外出の前には、現地の写真を見せることが非常に有効です。
- インターネットで行き先の画像を検索し、印刷して見せる。
- パンフレットを取り寄せて一緒に見る。
「明日行く場所はここだよ」と具体的なビジュアルを見ることで、彼らは「知らない場所に行く恐怖」から解放され、「楽しみな予定」として認識できるようになります。

まとめ:安心すれば、行動は落ち着く
「何をすればいいか分からない」から暴れるのです。
「何が起きるか分からない」からパニックになるのです。
逆に言えば、「見通し」さえ立てば、彼らは驚くほど落ち着いて行動できます。
- いつも同じ対応をする。
- 次はどうなるか、写真や文字で見せる。
この一手間を惜しまないことが、ご本人の安心を守り、結果として強度行動障害を未然に防ぐことに繋がります。
障害福祉の研修動画サービス「スペシャルラーニング」では、
- 今日から使える「絵カード」「スケジュール表」の作成例
- 外出時の不安を減らす事前準備(プレパレーション)の手順
- チームで対応を統一するための支援手順書の作り方
など、利用者の不安を取り除き、現場の安全を守るための具体的な支援技術を動画で配信しています。
言葉で伝わらないもどかしさを解消するために。ぜひご活用ください。
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