【強度行動障害】服を破る・顔を叩く…その原因は「感覚」かも?環境調整で劇的に変わる支援術

【強度行動障害】服を破る・顔を叩く…その原因は「感覚」かも?環境調整で劇的に変わる支援術
「新しい服を着せても、すぐにビリビリに破いてしまう」
「突然、自分の耳や顔を激しく叩き始める」
こうした自傷や他害、器物破損といった激しい行動(強度行動障害)を目の当たりにしたとき、私たちはつい「イライラしているのかな?」「機嫌が悪いのかな?」と感情面での理由を探りがちです。
しかし、その行動の裏側には、本人にしか分からない「感覚の苦痛」が潜んでいることが多々あります。
今回は、標準的支援の重要な鍵となる「感覚刺激の調整」について、そのメカニズムと具体的な対策を解説します。
この記事は、スペシャルラーニングのSL20から抜粋して作成しています。
講師は、自閉症eサービス全国ネット 代表の中山清司先生です。

その行動、実は「防御反応」かもしれません
自閉スペクトラム症の方の中には、感覚(視覚・聴覚・触覚など)が極端に鋭い、あるいは特定の刺激に過剰に反応してしまう「感覚過敏」を持っている方が少なくありません。
私たちにとっては「普通のこと」でも、彼らにとっては「耐え難い苦痛」である場合があります。
- 服を破く: 「暴れたい」のではなく、服のタグや布の素材がチクチクして、皮膚感覚として痛くてたまらないから、脱ぎ捨てようとしているのかもしれません。
- 顔を叩く: イライラしているのではなく、周囲の話し声や環境音がうるさすぎて(聴覚過敏)、その音を遮断するため、あるいは紛らわせるために叩いているのかもしれません。
つまり、行動障害の多くは、苦痛な刺激から自分を守ろうとする「防御反応」である可能性があるのです。
対策①:まずは「全体的な刺激」を下げる
個別の対応をする前に、まずは生活環境全体の刺激レベルを下げることが基本です。
落ち着いて生活できている施設やご家庭に共通しているのは、「静かで、刺激の少ない環境」です。
以下の3つのポイントをチェックしてみましょう。
- 視覚刺激(光・動き):
- 部屋の照明が明るすぎませんか?少し薄暗いくらいの方が落ち着くケースが多いです。
- 人の出入りが激しかったり、テレビがつけっぱなしだったりしませんか?
- 聴覚刺激(音):
- ザワザワとした話し声や、機械の動作音が響いていませんか?
- 不要な物:
- 視界にたくさんの物がごちゃごちゃと入ってきませんか?
「一般的な基準」ではなく、「感覚過敏のある人にとって快適か?」という視点で、刺激のボリュームを全体的に絞る(引き算する)ことが、行動を落ち着かせる第一歩です。
対策②:その人に合った「守る道具」と「安心グッズ」
環境全体の調整に加え、個別の感覚特性に合わせたグッズの活用も非常に有効です。
刺激をブロックする道具
外部からの不快な刺激を物理的に遮断します。
- 聴覚過敏: イヤーマフ、ノイズキャンセリングイヤホン
- 視覚過敏: サングラス、つばの広い帽子
安心できる感覚グッズ
逆に、特定の感覚刺激を入れることで安心する方もいます。
- 触覚: 特定の肌触りのタオル、毛布
- 視覚: キラキラ光るおもちゃ、スノードーム
「これを持っていると落ち着く」というお気に入りグッズ(レスキューグッズ)を見つけておき、不安が高まった時に手渡せるように準備しておきましょう。

まとめ:その「痛み」を取り除けば、行動は変わる
もし、あなたが大音量のノイズが鳴り響く部屋に閉じ込められたり、剣山のような服を着せられたりしたら、どうするでしょうか?
きっと、叫んだり暴れたりして、その状況から逃れようとするはずです。
強度行動障害の方も同じです。
彼らの激しい行動は、「わがまま」ではなく「苦痛の訴え」かもしれません。
まずは照明を少し落としてみる。静かな場所を用意してみる。
そんな感覚への配慮が、彼らを苦しみから解放し、穏やかな笑顔を取り戻すきっかけになります。
障害福祉の研修動画サービス「スペシャルラーニング」では、
- 感覚過敏・鈍麻の疑似体験と理解
- 100均グッズで作れるセンサリートイ(感覚おもちゃ)のアイデア
- スヌーズレン(感覚刺激を楽しむ空間)の導入事例
など、目に見えない「感覚」の世界を理解し、適切な環境調整を行うための専門的な知識を動画で配信しています。
理由のわからない行動障害を解決する糸口を見つけるために。ぜひご活用ください。
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