【行動障害の解決策】「相性が悪い」で片付けない!スマホ筆談が暴力を止めた理由と“事前情報”の威力

【行動障害の解決策】「相性が悪い」で片付けない!スマホ筆談が暴力を止めた理由と“事前情報”の威力
「あの利用者さん、〇〇さんとはうまくいかないけど、△△さんなら落ち着くよね」
「やっぱり支援は相性が全てなのかな…」
現場ではよく「相性」という言葉で片付けられがちですが、実はその裏には明確な「根拠」と「アセスメント(情報の分析)」が隠れていることがあります。
今回は、暴れてしまう利用者に対し、新任職員の江端さんが「スマホ」を使って劇的な改善を見せた事例を紹介します。
なぜ彼のアプローチは成功したのか? そのカギとなる「リセット」と「事前情報」について解説します。
この記事は、スペシャルラーニングのSL64から抜粋して作成しています。
講師は、自閉症eサービス全国ネット 代表の中山清司先生です。

暴れる理由は「伝えられないから」
事例の利用者さんは、自分の思いを言葉にするのが苦手で、そのイライラや不安から、物を蹴ったり人に当たったりする他害行動が出ていました。
しかし、江端さんが担当になってから状況が一変します。
江端さんは、彼の「言葉にできない苛立ち」を感じ取り、口頭ではなく「スマートフォンを使った筆談」でのやり取りを始めました。
すると、彼は「こういうことを言ってもいいんだ」「ここは許されるけど、ここはルールを守らなきゃいけないんだ」と理解し、安心感を獲得。
結果として、暴力が減り、江端さん以外の職員ともコミュニケーションが取れるようになり、安定して通所できるようになったのです。
成功の要因①:「氷山モデル」で支援の焦点を変える
なぜこのアプローチが効いたのでしょうか。
多くの支援者は、暴れる・蹴るという「目に見える行動(氷山の一角)」だけを見て、「やめなさい」と叱ったり止めたりしがちです。
しかし江端さんは、水面下にある「伝えたいけど伝えられない苦しみ」に注目しました。
- × 行動へのアプローチ: 暴力を力で止める。
- ○ コミュニケーションへのアプローチ: 「スマホで書いてみて?」と手段を渡す。
「どうすれば気持ちを伝えられるか」に焦点を当てたことで、根本的なストレスが解消されたのです。

成功の要因②:担当変更による「関係性のリセット」
支援現場では、支援者と利用者の関係が煮詰まってしまう(行き詰まる)ことがよくあります。
- 利用者: 「この人に言っても無駄だ」「どうせ怒られる」
- 支援者: 「この人はこういう人だ(暴れる人だ)」
こうなると、どんなに良い支援をしようとしても響きません。
そんな時、新しいスタッフ(江端さん)が入ることは、「関係性のリセット」として非常に有効です。
「相性が良い・悪い」だけでなく、「真っ白な状態で一から関係を作り直せる」という新任者の強みを活かすことも、立派な戦略の一つです。
成功の要因③:当てずっぽうではない「事前情報(アセスメント)」
ここが最も重要なポイントですが、江端さんは「なんとなくスマホを使ってみた」わけではありません。
そこには、確かな「事前情報の収集(アセスメント)」がありました。
- 「彼はスマホに興味を持っているらしい」
- 「文字を書いたり読んだりすることはできるらしい」
家族や他の職員からこのような情報を得ていたからこそ、「スマホ筆談ならいけるかもしれない」という仮説が立ち、自信を持ってアプローチできたのです。
もし、スマホに興味がない人や、文字が読めない人に同じことをしても失敗していたでしょう。
まとめ:情報は武器になる
「相性が良い」と言われる支援の裏には、必ず「その人に合ったアプローチ」が存在します。
それを偶然の産物にしないために必要なのが、事前情報です。
「何が好きか?」「何が得意か?」「過去に何で失敗したか?」
アプローチする前に情報を集め、仮説を立てること。それが、利用者の心を閉ざさない「相性の良い支援者」になるための近道です。
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