【チーム支援の壁】「あの人はこうやるけど、私はこうやる」職員間の“方針のズレ”を埋める方法

【チーム支援の壁】「あの人はこうやるけど、私はこうやる」職員間の“方針のズレ”を埋める方法

「スタッフが増えるほど、支援の考え方がズレていく」
「みんな良かれと思ってやっているのに、なぜかギスギスしてしまう」

障害福祉の現場、特にチームケアが求められる施設において、「職員同士の支援方針の不一致」は避けて通れない課題です。
熱心な職員ほど自分のやり方にこだわりを持ってしまい、結果としてチームがバラバラになってしまう…。そんな悩みを抱えている現場リーダーやサービス管理責任者は多いのではないでしょうか。

今回は、自閉症支援の現場で働く江端さんの事例をもとに、「個人の支援」から「チームの支援」へ脱却するための思考法について解説します。

この記事は、スペシャルラーニングのSL64から抜粋して作成しています。

講師は、自閉症eサービス全国ネット 代表の中山清司先生です。

1. 目指すゴールは同じでも「入り口」が違う

なぜ、同じ利用者を支援しているのに意見が食い違うのでしょうか。
その原因の多くは、各スタッフの「得意分野」や「重視するポイント」の違いにあります。

江端さんの現場でも、以下のようなアプローチの違いが見られました。

  • コミュニケーション重視派:
    「もっと本人と関わって、気持ちを引き出すべきだ!」(対人スキル重視)
  • 環境調整(構造化)重視派:
    「いや、まずは環境を整えて、一人でできる仕組みを作るべきだ!」(物理的支援重視)

どちらも自閉症支援において正しいアプローチであり、目指しているゴール(本人の自立や安定)は同じです。
しかし、この「入り口の違い」をすり合わせないまま、それぞれが自分の得意な方法だけで突っ走ってしまうと、現場に混乱が生じます。

2. 「あの人じゃないと無理」が招くリスク

方針が統一されない最大のリスクは、支援が「属人化(ぞくじんか)」してしまうことです。

  • 「江端さんが担当の日は落ち着いているけど、他の人だと荒れる」
  • 「あの人のやり方じゃないと、本人が納得しない」

これは一見、「江端さんのスキルが高い」と評価されがちですが、組織としては非常に危険な状態です。
特定の職員に依存した支援は、その職員が不在の時にサービスの質を著しく低下させます。また、利用者本人にとっても「人によって対応が違う」という状況は、大きな不安と混乱の原因になります。

目指すべきは、「個人の支援」ではなく「施設(チーム)としての支援」です。

3. 「僕ならできる」を封印する勇気

この課題に対し、江端さんは個別支援計画を立てる際、ある重要なルールを自分に課しています。

それは、「自分個人のスキルでしかできない計画にはしない」ということです。

チーム支援のための計画作成ポイント

  • ❌️ NG思考: 「僕(江端)なら、こうやって説得できるから、このプランでいこう」
    → これは個人の職人芸であり、他のスタッフには再現できません。
  • ⭕️ OK思考: 「僕ならこうするけど、みんなでやるならこっちの方法がいいよね
    → 経験の浅いスタッフも含め、チーム全員が実行可能なラインで計画を組む。

自分がずっとその人の隣にいるわけではありません。
「自分が不在でも回る仕組み」を作ることこそが、プロの仕事です。

まとめ:プロフェッショナルな支援とは「再現性」があること

個々の職員がスキルアップすることは素晴らしいことですが、それが「自分勝手なこだわり」になってはいけません。

真に質の高い支援とは、誰が担当しても同じ結果が出せる「再現性」がある支援です。
会議で意見が割れた時は、「どちらが正しいか(Who is right)」ではなく、「チーム全員ができる方法はどちらか(What works for the team)」という視点で話し合ってみてください。

「私のやり方」を少し手放し、「私たちのやり方」を作っていく。
その意識の転換が、利用者にとっても職員にとっても、居心地の良い安定した現場を作ることにつながります。

障害福祉の研修動画サービス「スペシャルラーニング」では、

  • チーム支援を円滑にするためのコミュニケーション術
  • 属人化を防ぐ「支援手順書」の作成ノウハウ
  • ケース会議で意見をまとめるファシリテーション技術

など、個人のスキルに依存しない、強い組織を作るための研修動画を多数配信しています。
チーム全員で同じ方向を向き、質の高い支援を提供するために。ぜひご活用ください。

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