【施設虐待の真実】なぜ職員は手を上げてしまうのか?「強度行動障害」との密接な関係

【施設虐待の真実】なぜ職員は手を上げてしまうのか?「強度行動障害」との密接な関係

ニュースで度々報道される、障害者支援施設での虐待事件。
「なぜ、支援するはずの職員がそんな酷いことを?」と憤りを感じると同時に、現場を知る人であれば「明日は我が身かもしれない」という恐怖を感じることもあるのではないでしょうか。

実は、施設虐待の背景には、個人の性格や資質の問題だけでは片付けられない、「強度行動障害」への対応の行き詰まりが深く関係しています。

今回は、施設虐待が起きてしまう構造的な要因と、それを防ぐための「支援のあり方」について解説します。

この記事は、スペシャルラーニングのSL20から抜粋して作成しています。

講師は、自閉症eサービス全国ネット 代表の中山清司先生です。

虐待と強度行動障害は「コインの表裏」

施設虐待の事例を紐解くと、被害に遭っている利用者さんの多くが、激しい自傷や他害、パニックなどを伴う「強度行動障害」の状態にあることが分かります。

  • 突然叩きかかってくる
  • 頭を壁に打ち付け続ける
  • 止めても止めても暴れ回る

こうした激しい行動に対し、職員がどう対応していいか分からず、追い詰められた結果として、以下の2つの誤った対応が生まれます。

1. 「力」による制圧(身体的虐待)

「暴れるのを止めなければ」という焦りから、力づくで押さえつける。
それがエスカレートし、叩く、蹴るといった暴行や、部屋に閉じ込める(身体拘束)行為に繋がってしまいます。

2. 「放置」による放棄(ネグレクト)

「もう手が出せない」「関わると怪我をする」と諦め、激しい行動を見て見ぬふりをする。
あるいは、部屋の中に放置して鍵をかける。これはネグレクト(育児・介護放棄)という虐待です。

つまり、強度行動障害への適切な支援方法を持っていないことが、虐待を生む最大の要因となっているのです。

「スローガン」だけでは虐待は止まらない

多くの施設では「虐待防止」を掲げ、「絶対に手を出してはいけない」「アンガーマネジメントをしよう」と精神論(スローガン)を唱えます。

しかし、目の前で利用者がパニックを起こしている時、精神論だけで乗り切れるでしょうか?
答えはNOです。

これまでのように力づくで対応すれば、本人も力づくで反発します。これでは悪循環です。
虐待をなくすために本当に必要なのは、我慢することではなく、「力に頼らない具体的な支援技術」を持つことです。

不安や混乱を取り除くアプローチへ

虐待を予防することと、強度行動障害を支援することは、「コインの表裏」の関係です。
適切な支援ができれば、行動障害は落ち着き、結果として虐待をする必要がなくなります。

そのためには、以下の視点の転換が必要です。

  • ❌️ 「暴れるから押さえつける」
  • ⭕️ 「なぜ暴れているのか?(不安・混乱の原因)を探り、環境を調整する」

彼らの激しい行動は、不安や苦しみのSOSです。
そのSOSを読み解き、安心して過ごせる環境(構造化やコミュニケーション支援)を提供することこそが、最も確実な虐待防止策となります。

まとめ:技術を学ぶことが、利用者と自分を守る

「手を出さない」と決意するだけでは足りません。
「どうすれば手を出さずに支援できるか」という技術(標準的支援)をチームで共有すること。

強度行動障害への専門的なアプローチを学ぶことは、利用者さんの人権を守るだけでなく、現場で働く職員自身の心とキャリアを守ることにも繋がります。

障害福祉の研修動画サービス「スペシャルラーニング」では、

  • 強度行動障害支援者養成研修(基礎・実践)に準拠したカリキュラム
  • 虐待の芽に気づくためのセルフチェック
  • 行動障害を鎮静化させるための具体的な環境調整術

など、精神論ではなく「ロジカルな支援技術」を学ぶための動画を配信しています。
虐待のない、プロフェッショナルな現場を作るために。ぜひご活用ください。

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