【チーム支援の悩み】職員間で意見が割れたら?「やりたい支援」より「必要な支援」を選ぶ基準

【チーム支援の悩み】職員間で意見が割れたら?「やりたい支援」より「必要な支援」を選ぶ基準

「私はコミュニケーション支援を重視したい」
「いや、まずは環境調整を徹底するのが先だ」

一つの支援チームの中で、スタッフ同士の意見が食い違い、方針が定まらない…。
このような「支援方針のズレ」は、熱心な現場ほど起こりやすい悩みです。
しかし、議論が平行線のままだと、一番困るのは対応が一貫しない利用者ご本人です。

今回は、職員間で意見が対立した際に、どのように合意形成を図り、チームとして動くべきか。その「判断基準」「チームで働くマインド」について解説します。

この記事は、スペシャルラーニングのSL64から抜粋して作成しています。

講師は、自閉症eサービス全国ネット 代表の中山清司先生です。

1. 「思いつき」ではなく「根拠」で戦わせる

まず大前提として、意見が割れること自体は悪いことではありません。多様な視点があることは、支援の幅を広げるチャンスでもあります。

しかし、その意見が単なる「個人の好み(やりたい支援)」であってはいけません。
チームで議論するテーブルに乗せるためには、必ず「根拠」が必要です。

  • ❌️ 感想ベース: 「私はこうしてあげたい」「こっちの方がいい気がする」
  • ⭕️ 根拠ベース: 「氷山モデルで分析すると、原因は〇〇と考えられるため、このアプローチが有効です」

「なぜその支援が必要なのか?」を、アセスメントに基づいて論理的に説明できるか。
まずは、お互いのプランが「思いつき」ではなく「根拠のある仮説」になっているかを確認しましょう。

2. 選ぶ基準は「私たちがやりたいか」ではなく「今、必要か」

根拠のあるA案とB案がぶつかった時、どう選べばいいのでしょうか。
その基準はただ一つ。「利用者にとっての優先順位(必要な支援)」です。

支援者側が「この技法を使いたい」「こう関わりたい」というエゴで選んではいけません。

  • 「ご本人の今の状態にとって、より緊急度が高いのはどっち?」
  • 「将来の自立に向けて、今クリアすべき課題はどっち?」

主語を「支援者」から「利用者」に戻し、「やりたい支援」ではなく「必要な支援」を選択する。これがプロの判断基準です。

3. 迷ったら「PDCA」で試せばいい

「どっちも重要で選べない!」
そんな時は、議論で時間を浪費するよりも、「まずはやってみる(Do)」ことが正解です。

支援に「絶対の正解」はありません。
A案でやってみて、うまくいかなければ(Check)、次はB案を試せばいいのです。

マネージャーと現場の役割

  • 決める時: 現場で決着がつかない場合は、管理者(リーダー)が最終決定を下します。
  • 決まった後: 一度チームの方針として決まったら、個人的に納得がいかなくても、全員がその方針に従って統一した対応をすることが鉄則です。

「決まったことは徹底してやる」。この姿勢がないと、検証(Check)もできず、次のプランに進めません。

4. 「チームのアセスメント」も忘れない

支援計画を立てる際、利用者のアセスメント(評価)をするのは当然ですが、同時に「チームのアセスメント」も必要です。

  • 「うちのチームの今のスキルで、この支援は実行可能か?」
  • 「誰が担当しても再現できるか?」

どれほど理想的なプランでも、特定のカリスマ職員にしかできないのであれば、組織としての支援計画としては不適切です。
「個人の力」と「チームのリソース(資源)」を見極め、チーム全体で無理なく継続できるプランを提案する視点を持ちましょう。

まとめ:仲良く、しかしプロとして

福祉の仕事は、個人プレーではなくチームプレーです。
意見がぶつかるのは、それだけ真剣な証拠。しかし、最後は「利用者のために」という一点で合意し、協力し合う必要があります。

「自分の意見を通すこと」に固執せず、チーム全体でPDCAを回しながら、利用者にとってのベストを探り続けましょう。

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