【暴れる・蹴るが止まった】「真面目すぎる」は逆効果?利用者とハイタッチできる信頼関係の作り方

「利用者さんとの会話が続かない」
「最近、なぜかイライラして物に当たられることが多い」

もし、特定の利用者様との関係に行き詰まりを感じているなら、それは「真面目さ」が裏目に出ているのかもしれません。

今回は、一度は利用者様との関係が悪化してしまったものの、ある「気づき」をきっかけに劇的に関係を改善させた職員・川邊さんの成功体験を紹介します。

この記事は、スペシャルラーニングのSL73から抜粋して作成しています。

講師は、自閉症eサービス全国ネット 代表の中山清司先生です。


キーワードは、「支援を楽しむこと」です。

1. 「仕事しに来てるんだから」が生んだ閉塞感

川邊さんが以前、別の事業所(池田ビル)にいた時のことです。
場面緘黙(ばめんかんもく)があり、自分の思いを言葉にするのが苦手な利用者様と、ほぼマンツーマンで過ごす日々が続いていました。

当時の川邊さんは、このようなマインドで支援にあたっていました。

「利用者さんも仕事しに来てるし、僕も仕事しに来てる。だから、そこまで『楽しい』という要素は求めていなかった」

真面目に仕事に取り組んでいたつもりでした。しかし、変化のない毎日の中で、利用者様の様子は徐々に悪化していきました。
通所を嫌がり、事業所に来てもイライラして物を蹴ったり、八つ当たりをしたり…。
お互いに息が詰まるような、良くない雰囲気が漂っていました。

2. 仲間の姿を見て気づいた「楽しむこと」の威力

転機が訪れたのは、同僚の江端さんがチームに加わり、環境(北山事業所)が変わった時です。
川邊さんは、江端さんや他のスタッフが利用者様と関わっている姿を見てハッとしました。

「みんな、すごく楽しそうに支援している」
「楽しそうにやっている時が、一番うまくいっているんじゃないか?」

「仕事だからちゃんとしなきゃ」と肩肘張っていた自分とは対照的に、笑顔で関わるスタッフたち。
それを見た川邊さんは、「僕も楽しく関わることを一番に考えてみよう」とマインドを切り替えました。

3. 共通の話題でハイタッチ!劇的な変化

「楽しもう」と決めた川邊さんが見つけたのは、意外な共通点でした。
実は二人とも、熱烈な「巨人ファン(野球好き)」だったのです。

共通の話題ができてからは、関係が一気に氷解しました。
巨人が勝った翌日には、
「昨日の3連勝見た!? イエーイ!」
笑顔でハイタッチを交わすまでになったのです。

安心感が行動を変えた

関係性が良くなると、問題行動も嘘のように消えました。

  • 以前: 来てすぐにイライラし、物を蹴飛ばして帰る。
  • 現在: 笑顔で通所し、困ったことがあれば川邊さんに相談に来てくれる。

「仕事しに来ている」という緊張感だけの関係から、「ここに来れば楽しいことがある」という安心感のある関係に変わったことで、利用者様の心は安定したのです。

まとめ:笑顔で通える場所こそが「居場所」

支援者として「仕事(作業や訓練)」をさせることは大切です。
しかし、それ以前に「ここは安心して過ごせる場所だ」と利用者様に感じてもらえなければ、どんな支援も届きません。

川邊さんは振り返ります。

「笑顔で通えるということは、安心して来てくれているということ。前は安心すらできていなかったんだと思います」

真面目すぎて煮詰まってしまった時は、あえて肩の力を抜き、利用者様と一緒に笑える話題を探してみてください。
その「笑顔」こそが、最強の支援ツールになるかもしれません。

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