【支援に行き詰まったら】「利用者が悪い」と思う前に。関係改善の鍵は“他人のマネ”と“距離感”にあり

「何度言っても伝わらないのは、この利用者の特性のせいだ」
「チームが協力してくれないから、うまくいかないんだ」
支援に行き詰まった時、私たちはつい「他罰的(相手が悪い)」な思考に陥りがちです。
しかし、その考え方こそが、解決を遠ざけている最大の原因かもしれません。
前回紹介した川邊さんの事例(環境を変えて他のスタッフの真似をしたら関係が改善した話)をもとに、プロの支援者が持つべき「柔軟性」と、関係が煮詰まった時の「緊急対処法」について解説します。
この記事は、スペシャルラーニングのSL73から抜粋して作成しています。
講師は、自閉症eサービス全国ネット 代表の中山清司先生です。
1. 成功する支援者の資質=「柔軟にパクる力」
川邊さんが劇的に変われた最大の要因は、自分のやり方に固執せず、「あ、あの人のやり方いいな。真似してみよう」と素直に取り入れた点にあります。
以前の職場では一人で抱え込み、「自分がなんとかしなければ」と視野が狭くなっていました。しかし、環境を変えて他のスタッフの楽しそうな支援を見た時、彼はプライドを捨ててそのスタイルを吸収しました。
専門家の中山氏はこう語ります。
「人から教わるとか、人のやっていることを参考にするというのは、重要な支援者の資質です」
ベテランになっても、「これ、どうしたらいいと思う?」「なるほど、それ明日やってみるわ」と言える人こそが、成長し続ける支援者なのです。

2. 「自分が正しい」と思った瞬間、支援は終わる
逆に、最も警戒すべきなのが「他罰的思考」です。
- 「自分は正しいことをしている」
- 「ちゃんとしない利用者が悪い」
- 「理解してくれない周りが悪い」
このように矢印が自分以外に向いているうちは、現状は変わりません。
特に自閉症の方は、自分の苦しみを言葉で訴えるのが苦手な「弱い立場」にあります。支援者側が常に「自分の関わり方に問題はないか?」「押し付けていないか?」と謙虚に立ち止まる姿勢がなければ、支配的な関係になってしまいます。
3. すぐに環境を変えられない時は「距離」を取る
川邊さんの場合は、事業所を異動するという抜本的な「環境変更(リセット)」が功を奏しました。
しかし、現場の事情ですぐに異動や担当変更ができない場合も多いでしょう。
その間、お互いに煮詰まって他害(暴力など)が出るような時は、どうすればよいのでしょうか。
答えはシンプルです。「物理的な距離を取る」ことです。
- ターゲットにならない: 他害は「人」に向かう行動です。対象となる支援者が近くにいなければ、行動は起きにくくなります。
- クールダウン: むやみに近づかず、お互いに頭を冷やす時間を作ります。
- 再アセスメント: 離れている間に、「なぜうまくいかないのか?」を冷静に分析し、他のスタッフに意見を求めます。
無理に向き合って「止めなきゃ!」「やらせなきゃ!」と熱くなるほど、状況はエスカレートします。
「逃げ」ではなく「戦略的撤退」として、意識的に距離を置く勇気を持ちましょう。
まとめ:「正しさ」より「楽しさ」を
川邊さんの成功体験の結末は、「楽しむこと」への気づきでした。
「仕事をさせる場所」として正しさを追求していた時は、お互いに苦しかった。
しかし、「リラックスして過ごせる場所」として楽しさを追求した結果、信頼関係が生まれ、結果として仕事もうまくいくようになりました。
もし今、支援が苦しいと感じているなら、一度立ち止まって周りを見てみてください。
そして、「自分が正しい」という鎧を脱ぎ、「あの人の真似をしてみよう」と柔軟になってみること。それが突破口になるはずです。
障害福祉の研修動画サービス「スペシャルラーニング」では、
- 支援者自身の「思考の癖(バイアス)」に気づくワーク
- チームで他者の意見を取り入れる「ケース検討会」の進め方
- 煮詰まった関係をリセットするための具体的な介入手順
など、一人で抱え込まず、チームの力を使って支援の質を高めるためのマインドとスキルを動画で配信しています。
柔軟な心で、より良い支援を見つけるために。ぜひご活用ください。
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