【支援の迷い】「今日はしんどそうだから休ませる?」予定変更の判断基準と、チームを混乱させない“説明力”

「スケジュールには『作業』と書いてあるけれど、今日の利用者さんはなんだかしんどそう…」
「無理にやらせてパニックになるよりは、休ませた方がいいのかな?」

支援現場では、予定(スケジュール)を遂行することと、利用者のコンディションに合わせることの板挟みになり、迷う瞬間が多々あります。
特に、自分の判断で活動を減らした場合、「甘やかしているのではないか?」「明日からやらなくなったらどうしよう?」という不安もつきまといます。

今回は、支援歴20年のベテラン・西本さんでも悩む「活動変更の判断基準」と、それをチームで共有するための「説明責任」について解説します。

この記事は、スペシャルラーニングのSL73から抜粋して作成しています。

講師は、自閉症eサービス全国ネット 代表の中山清司先生です。

1. 「なんとなく」で減らすのはNG

西本さんの悩みは、「本人は言葉で『しんどい』と言えないけれど、様子がおかしい時、どう判断すべきか」という点です。

ここで最も重要なのは、活動を減らす・変更する際の「根拠」です。

  • ❌️ ダメな理由:
    • 「他の職員が減らしていたから」
    • 「なんとなく面倒くさそうだから」
  • ⭕️ 良い理由(観察に基づく根拠):
    • 「今日はいつもより動きが重かったから」
    • 「昨日はこの場面でパニックになったから、今日はハードルを下げた」
    • 「表情が険しく、声が出ていなかったから」

「なぜ減らしたのか?」と問われた時に、利用者の具体的な観察事実に基づいて説明できるのであれば、その判断はプロとして正解です。

2. ベテランの「無言の対応」が新人・パートを惑わせる

この問題の怖いところは、ベテラン職員が「理由を言わずに」予定を変更してしまうことです。

経験の浅い職員やパート職員は、ベテランの動きをよく見ています。
もし、西本さんが「(今日は調子が悪そうだから)作業を減らそう」と無言で対応した場合、それを見た新人はどう思うでしょうか?

「あ、この作業はやらなくていいんだ(サボってもいいんだ)」
「西本さんがやっていたから、私も減らそう」

このように、「理由(Why)」が伝わらないまま、活動を減らすという「形(Action)」だけが真似されてしまいます。
結果として、利用者さんが元気な時でも作業が行われなくなったり、チーム全体の支援基準がブレたりする原因になります。

3. 「甘やかし」ではなく「調整」にするために

「一度減らしたら、明日も『やりたくない』と言われるのでは?」という不安への対策も、やはり「理由の言語化」にあります。

チームに対して、また(理解できる場合は)利用者本人に対しても、明確に伝えましょう。

  • 今日は体調が悪そうだから半分にしましょう。明日はまた全部頑張ろうね」

この一言があるだけで、それは「甘やかし(ルールの崩壊)」ではなく、「その日のコンディションに合わせた調整(配慮)」になります。

まとめ:判断したら、必ず「理由」を添える

利用者の調子は毎日変わります。ロボットのように決まったスケジュールをこなすことが正解ではありません。
時には勇気を持って「減らす」「休む」という判断をすることも、立派な支援です。

ただし、その際は必ずセットで「説明」を行ってください。

  • 自分自身に: 「なぜ今、変更するのか?」
  • チームに: 「なぜ私は、あの時活動を減らしたのか?」

この「根拠の説明」さえあれば、チームは混乱せず、利用者にとっても「自分のことをよく見てくれている」という安心感に繋がります。

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