【自閉症の自傷行為】なぜ頭をぶつけるの?「止めよう」とする前に知っておくべきパニックの理由と対応

【自閉症の自傷行為】なぜ頭をぶつけるの?「止めよう」とする前に知っておくべきパニックの理由と対応
「自分の頭を壁にガンガン打ち付けている」
「手を血が出るほど噛んでいる」
重度の自閉スペクトラム症のある方が示す「自傷行為」を目の当たりにすると、支援者は「早く止めなければ」と必死になります。しかし、力で止めようとすればするほど、さらに激しく暴れてしまった…という経験はありませんか?
自傷行為は、単なる「癖」や「わがまま」ではありません。彼らなりの「混乱と不安の表現」です。
今回は、なぜ自傷に至るほどのパニックが起きるのか、その心理的メカニズムと、現場で実践すべき正しい対応について解説します。
パニックの原因は「いつもと違う」恐怖
私たちにとっては些細なことでも、自閉症の方にとっては「世界が崩れ落ちるような恐怖」に感じられることがあります。
- いつもの場所に、いつもの物がない
- 急に予定が変更になった
- 初めての場所や、新しいことをさせられる
自閉症の方は、変化への適応が苦手で、「見通し」が立たない状況に強い不安を感じます。
「物がなくなった!」「どうしていいか分からない!」
この強烈な混乱がピークに達した時、行き場のない感情が、自分自身を傷つける「自傷」という形で爆発してしまうのです。
この記事は、スペシャルラーニングのSL20から抜粋して作成しています。
講師は、自閉症eサービス全国ネット 代表の中山清司先生です。

「説得」は火に油。言葉は逆効果になる
利用者がパニックを起こしている時、良かれと思ってやってしまうのが「言葉による説得」です。
「大丈夫だよ、落ち着いて」
「それは片付けただけだよ、ここにあるよ」
しかし、混乱の渦中にいる彼らにとって、支援者の言葉は「処理しきれない情報の洪水」でしかありません。
あれこれ説明しようとすればするほど、脳内の情報処理が追いつかず、さらに不安と混乱を煽る悪循環に陥ります。
パニック時には、言葉は最小限に留めるか、沈黙して見守る方が、彼らにとっては「安心できる対応」なのです。

自傷を「止める」より、不安を「取り除く」
激しい自傷を物理的に止めることは、非常に困難であり、支援者が怪我をするリスクもあります。
大切なのは、「自傷行為そのもの」を止めようとすることではなく、その引き金となっている「不安や混乱」を鎮めることにエネルギーを注ぐことです。
1. 不用意に環境を変えない
本人が大事にしている物や、こだわりのある配置を、支援者の都合で勝手に触ったり片付けたりしないようにしましょう。
「いつもの状態」が保たれていることが、彼らにとっての最大の精神安定剤です。
2. 変更がある時は「予告」する
どうしても予定が変わる時は、パニックになる直前に言うのではなく、前もって伝えてあげてください。
- 「明日はドライブに行きます」
- 「今日はこの場所で過ごします」
このように、写真や絵カードなどを使って視覚的に「予告」することで、彼らは心の準備ができ、見通しを持って安心して過ごすことができます。
まとめ:安心できる環境作りが最大の防御
自傷行為は、彼らからの「不安だよ!助けて!」という悲痛なメッセージです。
起きてしまった自傷を力でねじ伏せるのではなく、「そもそも自傷しなくて済むような、安心できる環境(見通しのある生活)」を作ること。
それが、私たち支援者にできる最も効果的なアプローチです。
障害福祉の研修動画サービス「スペシャルラーニング」では、
- 自閉症の方が安心する「構造化(スケジュールの視覚化)」の具体例
- 自傷行為が起きた時の安全な介入方法
- パニックを起こさせないための環境調整チェックリスト
など、現場で明日から使える具体的な支援技術を動画で配信しています。
利用者さんの不安を取り除き、穏やかな生活を支えるために。ぜひご活用ください。
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