【自閉症のこだわり】やめさせるのは逆効果?「空き缶集め」「ドアの開閉」への正しい環境調整

【自閉症のこだわり】やめさせるのは逆効果?「空き缶集め」「ドアの開閉」への正しい環境調整
「ゴミ捨て場から空き缶を拾ってきて部屋に溜め込んでしまう」
「ドアが開いていると許せず、何度開けても閉められてしまう」
入所施設などで自閉スペクトラム症の方を支援する際、こうした「強度のこだわり」に頭を悩ませている職員の方は多いのではないでしょうか。
「不衛生だからやめさせないと」「共同生活だからルールを守らせないと」と必死に制止しても、逆にパニックになったり、隠れてやるようになったりと、うまくいかないことがほとんどです。
実は、自閉症の方のこだわり行動を「やめさせる」ことは、非常に困難であり、支援の第一選択肢としては適切ではありません。
今回は、こだわりの背景にある特性と、お互いがストレスなく過ごすための「環境調整」の工夫について解説します。
この記事は、スペシャルラーニングのSL20から抜粋して作成しています。
講師は、自閉症eサービス全国ネット 代表の中山清司先生です。

なぜ、そこまで「こだわる」のか?
自閉症の方の中には、特定の物事に対して非常に強い執着(こだわり)を持つ方がいます。
- 同一性保持: いつも同じ服、同じ場所、同じルートでないと不安。
- 収集癖: 銀紙、空き缶、特定の衣類などを集め続ける。
- 秩序への執着: ドアは閉まっていないといけない(逆に開いていないといけない)。
これらは単なるワガママではなく、「自閉症の特性」そのものです。
彼らにとって、その行動は精神的な安定を保つための儀式のようなものであり、無理やりやめさせることは、彼らの安心を奪うことと同義です。
重要なのは、彼らは「何でもかんでもこだわっているわけではない」という点です。
一人ひとり、「何に」対してスイッチが入るのかは決まっています。まずはその対象(トリガー)を見極めることが支援のスタートです。
「やめさせる」のではなく「環境を変える」
こだわり行動自体を消すことは難しいですが、環境をコントロールすることで、トラブルを未然に防ぐことは可能です。
支援の鉄則は、「こだわりやすい物を、不用意に置かない」ことです。
失敗例:目の前に置いておいて「ダメ」と言う
例えば、甘い缶ジュースにこだわりがあり、あればあるだけ飲んでしまう利用者さんがいるとします。
それなのに、目のつく場所にジュースを箱置きしておきながら、「飲みすぎだからダメ!」と静止するのは、本人にとっては拷問に近い状態です。これではパニックになるのも無理はありません。
成功例:視界に入らないように管理する
最初から、缶ジュースを本人の視界に入らない場所(鍵のかかる倉庫やスタッフルームなど)で管理します。
「目の前になければ気にならない」というケースは意外と多く、刺激そのものを遠ざけることで、執着を薄めることができます。

「見通し」というルールを作る
ただ隠すだけでは解決しない場合、あるいはどうしても必要な物の場合は、「いつならOKか」という見通し(ルール)を作ります。
先ほどのジュースの例で言えば、完全に禁止にするのではなく、
「お風呂から上がった時だけ、缶ジュースが飲めます」
というルールを作り、そのタイミングだけ提示します。
すると、本人は「今は飲めないけど、お風呂に入れば飲めるんだ」という見通しを持つことができます。
予測がつくようになると、漠然とした不安からくる執着は落ち着き、「待つ」ことができるようになります。
まとめ:こだわりの対象を整理整頓する
こだわり行動への対応は、真正面からぶつかって「やめさせる戦い」をしてはいけません。
私たちがすべきなのは、以下の2点です。
- その人が「何に」こだわるのかを理解する。
- こだわりが出る刺激を遠ざけたり、手に入るタイミングを構造化したりする。
ご本人の特性を変えることはできませんが、環境を変えることは私たち支援者の腕の見せ所です。
「ダメ!」と叱る回数を減らすために、まずは部屋の環境設定から見直してみませんか?
障害福祉の研修動画サービス「スペシャルラーニング」では、
- 自閉症のこだわり行動への具体的なケーススタディ
- 収集癖や異食などのトラブルを防ぐ環境調整術
- 本人が納得して動ける「スケジュールの視覚化」
など、特性を理解した上での専門的な支援技術を動画で配信しています。
お互いが穏やかに暮らすためのヒントを得るために。ぜひご活用ください。
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