【施設の夜勤対策】「夜寝てくれない」には理由がある。睡眠障害の改善は“記録”と“遮光”から

【施設の夜勤対策】「夜寝てくれない」には理由がある。睡眠障害の改善は“記録”と“遮光”から

「夜勤中、利用者さんがずっと起きていて目が離せない」
「昼夜逆転していて、日中の活動に参加できない」

入所施設において、利用者様の「睡眠障害」は深刻な悩みです。
夜間の徘徊や大声は、本人の健康を害するだけでなく、夜勤職員の負担を大きくし、燃え尽き症候群の原因にもなりかねません。

しかし、「寝ないから」といって安易に睡眠薬を増やすだけでは解決しないこともあります。
今回は、感覚過敏やリズム障害の視点から考える、「眠れない理由」「具体的な環境調整」について解説します。

この記事は、スペシャルラーニングのSL20から抜粋して作成しています。

講師は、自閉症eサービス全国ネット 代表の中山清司先生です。

「眠れない」のではなく「眠らせてもらえない」?

まず考えたいのは、ご本人の「感覚過敏」の影響です。
私たちにとっては気にならない程度の環境音や光が、彼らにとっては「大騒音」や「眩しい照明」のように感じられ、脳が覚醒してしまっているケースがあります。

  • 聴覚過敏: 廊下の足音、空調の音、他利用者の寝息などが気になって眠れない。
  • 視覚過敏: 窓から入る街灯の光、常夜灯の光が刺激になって眠れない。

この場合、本人は「眠りたいのに、環境のせいで眠れない」という辛い状態にあります。

事例:夏だけ眠らない女性の秘密

動画では、ある入所施設の女性の事例が紹介されました。
彼女は、時期によって睡眠が非常に不安定でしたが、職員が「睡眠リズム表(睡眠ログ)」を記録し続けたことで、ある法則が見えてきました。

  • : よく眠る。
  • : ほとんど眠らない。

原因は「日照時間(光)」でした。
日が長い夏場は、窓から入る光の刺激で脳が覚醒し続けていたのです。
そこで、施設側は「遮光カーテン」を導入し、就寝時間は外からの光を完全にシャットアウトしました。その結果、彼女の睡眠は劇的に安定しました。

「不眠症」と決めつける前に、「光や音の刺激」を調整するだけで解決するケースがあるという好例です。

まずは「睡眠リズム」を記録すること

睡眠障害への対応で最初に行うべきは、薬を飲むことではなく、「記録を取ること」です。

  • 何時に寝て、何時に起きたか?
  • 昼寝はどのくらいしているか?
  • 眠れない時期や季節にパターンはないか?

この記録(エビデンス)があって初めて、医師も適切な判断ができます。
「最近寝てくれないんです」と口頭で相談するよりも、リズム表を医師に提示することで、「このタイミングで服薬しましょう」「この時期だけ使いましょう」といった、より効果的な薬物療法の調整が可能になります。

「昼夜逆転」を直す活動の組み立て

日中に寝てしまい、夜に目が覚める「昼夜逆転」の方への対応も重要です。
これを改善するには、シンプルですが「昼間起きてもらう」工夫しかありません。

  • 日中の活動量を増やす: 散歩、作業、運動など、体を動かすプログラムを積極的に入れる。
  • 夜の刺激を減らす: 夜は静かで暗い環境を作り、「寝る時間だ」と身体に教え込む。

「昼間は活動的に、夜は静かに」。
このメリハリをつけることで、少しずつ体内時計を正常に戻していくアプローチが必要です。

まとめ:良質な睡眠は、良質な支援から

睡眠不足は、日中のイライラや他害行動、てんかん発作の誘発など、様々なトラブルの引き金になります。
逆に言えば、睡眠が安定すれば、日中の支援も驚くほどスムーズになります。

「なぜ眠れないのか?」
その答えを見つけるために、まずは遮光カーテンの検討や、睡眠表の記録から始めてみませんか?

障害福祉の研修動画サービス「スペシャルラーニング」では、

  • 睡眠障害のメカニズムと医療連携のポイント
  • 感覚過敏に配慮した居室の環境整備(ゾーニング)
  • 自閉症の方の生活リズムを整えるスケジュールの工夫

など、利用者の健康と夜勤職員の負担軽減に役立つ実践的な知識を動画で配信しています。
静かで穏やかな夜を取り戻すために。ぜひご活用ください。

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