【自閉症支援】「いつ帰れる?」「いつ行ける?」繰り返しの質問への正しい対応法

【自閉症支援】「いつ帰れる?」「いつ行ける?」繰り返しの質問への正しい対応法
「来週の土曜日だよ、とさっき説明したばかりなのに…」
「また同じ質問をされて、どう答えたらいいか分からない」
自閉スペクトラム症のある利用者様の中には、帰宅日や外出、楽しみにしているイベントの予定を非常に気にされる方がいます。
何度答えても納得せず、数分おきに「いつ?」「いつ?」と聞いてくる行動(確認行動)に、対応する支援者が疲弊してしまうケースも少なくありません。
なぜ、彼らはそこまで予定を気にするのでしょうか?
そして、なぜ言葉で説明しても伝わらないのでしょうか?
今回は、予定への不安からくる質問攻めへの対応と、「カレンダー・スケジュール」を使った視覚的支援の効果について解説します。
この記事は、スペシャルラーニングのSL20から抜粋して作成しています。
講師は、自閉症eサービス全国ネット 代表の中山清司先生です。

なぜ何度も「いつ?」と聞くのか
彼らが何度も質問をするのは、単に忘れているからではありません。
「楽しみなことが、本当に実現するのか不安で仕方がない」からです。
自閉症の方の多くは、時間の概念や見通しを持つことが苦手です。
私たちにとっては「来週の土曜日」と言えば明確な未来ですが、彼らにとっては漠然とした情報であり、「本当に来るの?」「いつ来るの?」という不安が消えません。
その不安を解消するために、何度も質問をして、支援者の「行きますよ」という言葉(確証)を得ようとしているのです。
言葉で答えるほど、質問は増える
ここで支援者がやってしまいがちなのが、質問されるたびに丁寧に言葉で説明することです。
しかし、これは逆効果になることが多いです。
- 音声は消える: 言葉は一瞬で消えてしまうため、数分経つとまた手元に情報がなくなり、不安になります。
- やり取り自体が目的に: 「聞けば答えてもらえる」というやり取り自体がパターン化(こだわり)してしまうこともあります。
言葉で返せば返すほど、「確認したい欲求」は強化され、質問の回数は増えていく悪循環に陥ります。
「見て分かる」カレンダーが安心の鍵
この負のループを断ち切るための最強のツールが、「カレンダー」や「スケジュール表」です。
質問されたら、言葉で答えるのではなく、カレンダーを指差して見せます。
「ここだよ」「この日に車のマークがあるね」と視覚的に示します。
- 情報は消えない: カレンダーはずっとそこにあり、いつでも自分の目で確認できます。
- 確実な約束: 書かれているという事実が、彼らにとっての「契約書」のような強い安心感になります。
「聞かなくても、見れば分かる」。
この環境を作ることが、ご本人の不安を取り除く一番の近道です。
要求がエスカレートする場合の「枠組み作り」
カレンダーを使うと安心する一方で、「もっと行きたい!」「来月も!」と要求がエスカレートすることがあります。
その場合は、あらかじめ「ルール(枠組み)」を決めて、それを視覚的に提示しましょう。
- 「ドライブは土曜日だけ」
- 「帰宅は月に1回」
このように決まったルールをカレンダーに書き込み、「ここが空いているから入れて」と言われても、「ルールだから入れられません」と視覚的に伝えます。
また、楽しみな予定以外の日が「空白」だと、そこへの執着が強まりがちです。他の日にも作業や散歩などの活動予定を入れ、暇な時間(不安になる時間)を減らす工夫も有効です。

まとめ:「言わせる」のではなく「見て安心する」支援へ
何度も質問してくる利用者様に対し、「もう何回も言ったでしょ!」と怒るのは禁物です。彼らは悪気があって聞いているのではなく、不安で仕方がないのです。
言葉での説得は諦めましょう。
代わりに、カレンダーを一枚用意してください。
「いつものやり方(カレンダーを見る)」が定着すれば、彼らは自分で予定を確認し、安心して過ごせるようになります。
障害福祉の研修動画サービス「スペシャルラーニング」では、
- 自閉症の方が理解しやすいスケジュールの作り方
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