【高次脳機能障害の社会復帰】「自分は大丈夫」と思い込む利用者へ。現実に直面させる「教育的アプローチ」とは?
【高次脳機能障害の社会復帰】「自分は大丈夫」と思い込む利用者へ。現実に直面させる「教育的アプローチ」とは?
高次脳機能障害のある方の就労支援をしていると、ご本人からこのような言葉を聞くことはありませんか?
「自分は以前と同じように働けます」
「メモなんて取らなくても大丈夫です」
明らかにミスが多いのに、本人は自信満々。支援者が指摘しても「たまたまです」と取り合ってもらえない……。
これは、頑固だからでも、やる気がないからでもありません。「自分の症状を知ることができない」という障害の特性によるものです。
今回は、そんな利用者様に「自分の障害(現実)」に気づいてもらい、社会復帰へと導くための「教育的アプローチ」について解説します。
この記事は、スペシャルラーニングのSL56から抜粋して作成しています。
講師は、名古屋市総合リハビリテーションセンター附属病院 第1脳神経内科部長 なごや高次脳機能障害支援センター センター長の稲垣 亜紀(いながき あき)先生です。

なぜ自分の障害に気づけないのか?
高次脳機能障害の方が自分の症状を自覚しにくい(病識欠如)のには、明確な理由があります。
- 記憶障害がある場合:「自分に障害がある」という事実そのものを覚えていられません。
- 注意障害がある場合:「自分が不注意であること」に対して、注意を向けることができません。
脳の機能そのものが、「自分を客観視すること」を難しくさせているのです。
そのため、いくら口頭で「あなたは障害があります」と説明しても、本人の心には届きません。必要なのは言葉ではなく、「気づくための体験(訓練)」です。
訓練初期の「絶好調」から「驚き」へ
社会復帰プログラム(訓練)を開始した当初、多くの利用者様は「自分はできているつもり」であり、気分も絶好調です。
しかし、訓練が進み、課題が複雑になっていくと、必ずミスが出始めます。
「あれ? おかしいな」
「今までこんなことなかったのに」
そこで初めて、「できない自分」に直面します。これまで気づかなかった事実に驚き、ショックを受けることもあります。しかし、この「現実に直面する」というプロセスこそが、リハビリの本当のスタートラインなのです。
失敗を力に変える「リアル・フィードバック」
私たち支援者は、利用者様が失敗しないように先回りしてサポートしがちです。
しかし、この教育的アプローチにおいては、「あえて失敗を経験させる」ことが重要になります。
ただし、失敗させっぱなしではいけません。
リアル・フィードバックの重要性
失敗したその場ですぐに、
「今、ここでミスが起きましたね。これは注意がそれてしまったからです」
と、体験の意味を説明し、適切な助言を行います。
これを「リアル・フィードバック」と呼びます。
体験と解説がセットになることで、本人の障害認識は深まり、「じゃあ、次はメモを取ろう(補償行動)」という前向きな工夫ができるようになります。

社会復帰はゴールではない。継続的な「伴走」
障害を認識し、環境設定を行って社会復帰(就職)できたとしても、そこで終わりではありません。
例えば、名古屋市総合リハビリテーションセンターの支援モデルでは、
- 診断・評価
- 認知訓練・自立訓練
- 就労移行訓練
- 社会復帰後の定期的フォロー
という一貫した流れを作っています。
職場が変わったり、家庭環境が変わったりすれば、また新たな課題が出てきます。その都度、相談員やコーディネーターが介入し、環境を調整し続けることが、長く働き続けるためには不可欠です。
まとめ:支援者は「転ばぬ先の杖」を捨てよう
高次脳機能障害の支援において、支援者は「転ばないように支える杖」になるのではなく、「転んだ後に、なぜ転んだのかを一緒に考える鏡」になる必要があります。
これは非常に高度で、忍耐のいる支援技術です。
- 失敗させるタイミングの見極め方
- 本尊を傷つけないフィードバックの言葉選び
- 具体的な補償行動(メモやツールの活用法)
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