【ASD視覚支援の極意】「写真」が伝わらない時はどうする?タイミングと“魅力”で心を動かすテクニック

【ASD視覚支援の極意】「写真」が伝わらない時はどうする?タイミングと“魅力”で心を動かすテクニック

「視覚支援として写真カードを見せているけれど、ポカンとしている…」
「好きなことに没頭している時にカードを見せると、怒って叩かれてしまう」

そんな経験はありませんか?
視覚支援は「写真を見せればOK」という単純なものではありません。相手の「理解のレベル」「気分の波」に合わせて、出し方を変える必要があります。

今回は、写真が伝わらない時の対処法と、スムーズに行動を切り替えてもらうための「タイミングと魅力」の活用術について解説します。

この記事は、スペシャルラーニングのSL185から抜粋して作成しています。

講師は、TEACCHプログラム研究会東北支部の代表であり、クロス・カンパニー(発達障害の方々のアートプロジェクトグループCROSS TEAM)アドバイザーであり、よこはま発達グループ 公認心理師/臨床心理士/精神保健福祉士である佐々木 康栄(ささき こうえい)先生です。

写真がダメなら「実物」を使おう

私たちは「写真は誰にでも分かる」と思いがちですが、抽象的な概念が苦手な方にとっては、写真と実物が結びつかないことがあります。

そんな時は、より具体的で分かりやすい「実物」「色」を使ってみましょう。

事例①:おむつの切り抜きカード

トイレに誘いたいけれど、トイレの写真やマークが理解できないお子さん。
支援者は、普段使っている「おむつ」を小さく切り取り、厚紙に貼ってカードにしました。
これを見せたところ、「あ、いつもの(トイレ)だ!」と直感的に伝わり、トイレに行けるようになりました。

事例②:色合わせで移動

写真は分からないけれど、「色」の区別はつく方。
「赤の時間になったら、赤のカードを持って、赤のコーナーへ行く」という色マッチングを取り入れたところ、一人で移動できるようになりました。

「写真」に固執せず、本人が「パッと見て直感できるもの」を探すことが大切です。

【神対応】段ボールで誘導した「引っ越し」の事例

環境そのものを視覚支援にした、素晴らしい事例があります。
あるASDの成人男性が、マンションから一戸建てへ引っ越すことになりました。

彼は「一度ここだと決めたら、廊下だろうとそこで寝てしまう」という強いこだわりがあります。
ご家族の希望は「2階の一番奥にある、日当たりの良い部屋を使ってほしい」。しかし、そこは一番遠い部屋です。どうすれば、手前の部屋を選ばずに、奥の部屋へ誘導できるでしょうか?

支援者の作戦:「見て分かる」環境を作る

支援者は、新居のセッティングに一工夫しました。

  1. NGな部屋:ご本人に入ってほしくない部屋には、あえて「段ボール」を置いておきました。
  2. OKな部屋:一番奥の部屋には、段ボールを置かず、ご本人の大好きな「パソコン・タブレット・布団(魅力)」を完璧にセッティングしました。

結果:自分で選べた!

当日、彼は手前の部屋からドアを開けて確認しました。
「ここは段ボールがあるから違う」「ここも違う」。
そして一番奥の部屋を開けた瞬間、大好きなパソコン類が目に飛び込み、「ここだ!(自分の部屋だ)」と認識できました。

言葉で説得するのではなく、「見ただけで正解が分かる環境」を作っておく。これぞプロの支援です。

切り替えは「止める」のではなく「誘う」

ASDの方にとって、集中している作業を中断して次に移る(切り替える)ことは、脳に多大なエネルギー負荷がかかる作業です。
支援者がやりがちな失敗は、「見せたいカードがあるからといって、今遊んでいるおもちゃを取り上げる(隠す)」ことです。これはパニックの原因になります。

魅力には「魅力」で対抗する

無理やり止めるのではなく、「もっと魅力的なもの」で視線を誘導しましょう。

例えば、感覚刺激が好きな子なら、きれいな「オイルタイマー」をスッと横から見せる。
「おっ、なんだろう?」と視線がそちらに移った瞬間に、「次はこっちだよ」と誘導する。

「前の活動を止めさせる」のではなく、「次の活動に魅力を感じて移ってもらう」
この意識を持つだけで、お互いのストレスは激減します。

まとめ:支援は「知恵比べ」

写真がダメなら実物で。言葉がダメなら環境で。
視覚的支援は、アイデア次第で無限のバリエーションがあります。

「伝わらない」と嘆く前に、相手をじっくり観察して、「これならどうだ!」と知恵を絞ってみてください。

障害福祉の研修動画サービス「スペシャルラーニング」では、

  • 【後編】視覚的支援の個別化と、意味を持たせるテクニック
  • 切り替えが苦手な方への「待ち方」と「誘い方」
  • 実物提示や具体物を使った支援ツールの作成講座

など、教科書通りにはいかない現場の悩みを解決する、実践的な動画を配信しています。
支援の引き出しをもっと増やすために。ぜひご活用ください。

知識や考え方の共通認識を作る、スペシャル ラーニング

スペシャルラーニング紹介画像

弊社では、障がい福祉業界に特化したオンライン研修サービス「スペシャルラーニング」をご提供しています。
パソコンやスマートフォンでいつでもどこでも研修を受講できるため、スキマ時間を活用して、研修に取り組むことができます。

スペシャルラーニング(Special Learning)の特徴は主に以下です。

1動画3〜5分、2,000本以上のコンテンツ

1動画3〜5分×数本で1テーマの受講が完結する仕組みです。
1ヶ月30分の視聴の積み重ねでも、しっかりと知識習得につながります。

時間よりも「全員が同じタイミングで、同じ研修を受講する」ことが研修効果を最大限に発揮し、知識の共通認識を作ることにも重要なポイントです。

また、毎月約30本の新規動画が増え続けています。

著名講師の講義による「質」の高い学び

厚生労働省が国の研修で依頼する講師の方や国の研究機関の責任者、元厚生労働省の虐待防止専門官等、障がい福祉業界のトップ有識者と一緒にコンテンツ制作をしています。

そのため、スペシャルラーニングを通して、質の高い学びが実現できます。

導入から仕組み作りまで専任担当者によるサポート体制

研修は仕組み作りがとても重要です。
「どうやって事業所で仕組み化しよう」「やることが増えてしまうんじゃないかな…」
そんな悩みを解決し、運営負担は少なく、学習効果は大きい、研修運用の仕組み作りをサポートします。

少しでもご興味ある方は、ぜひお気軽に以下から資料請求・お問い合わせください!
研修環境の整備がもたらす効果や具体的な活用方法について、わかりやすくご案内いたします!

お電話でのお問い合わせ(平日10:00〜17:00)

072-648-4438 ※土・日・祝日、年末年始を除く

「1分でわかるサービス資料」資料ダウンロードはこちら

当社のプライバシーポリシーに同意の上、送信してください。