【きょうだいの本音】「家族は支援者ではない」支援者が知っておくべき境界線と、プロだからできる「魔法の一言」

【きょうだいの本音】「家族は支援者ではない」支援者が知っておくべき境界線と、プロだからできる「魔法の一言」
障害のある方の支援において、ご家族は最も身近なパートナーです。
しかし、支援者が良かれと思って発する「ご家族も一緒に頑張りましょう」「お家でも練習してください」というメッセージが、時としてご家族、特に「きょうだい(兄弟姉妹)」を追い詰めてしまうことがあります。
今回は、きょうだいの立場であるお二人の対談から、支援者に求められる「家族との適切な距離感」と「プロとしての役割」について解説します。
この記事は、スペシャルラーニングのSL142から抜粋して作成しています。
講師は、一般社団法人ケアラーアクションネットワーク協会 代表理事の持田 恭子(もちだ きょうこ)先生とリオン西多摩きょうだい会 代表の山下 のぞみ(やました のぞみ)先生です。

家族は「生活者」であり「支援者」ではない
対談の中で、持田先生は支援者に向けてハッとするような言葉を投げかけています。
「家族は支援者じゃないんだ、ということを知ってほしい」
現場ではつい、「ご家族も支援チームの一員だから」と考えがちです。
しかし、家族はあくまで「生活」を共にしているだけであり、プロとしての介助訓練を受けているわけではありません。
「トイレ介助、家でやってるからできますよね?」
このように、生活の中で行っているケアを「当たり前」と見なし、プロと同等の役割を求めると、家族は疲弊してしまいます。
「家族は生活者であり、私たちは専門職である」
この境界線を持ち、プロの技術で家族の荷物を降ろしてあげることが、本来の役割です。
第三者(施設)だからできる「調整役」
家族の中だけでバランスをとろうとすると、どうしても無理が生じます。
例えば、親御さんが「週末はきょうだい仲良く過ごしてほしい」と願い、毎週末の帰宅を促すケース。きょうだいにとっては、それが重荷になることもあります。
ここで必要なのが、施設職員という「第三者の介入(代弁)」です。
- 施設側からの提案:「今週末は施設で楽しいイベントがあるので、こちらで過ごしませんか?」
このように施設側が提案することで、親御さんの顔を立てつつ、きょうだいのレスパイト(休息)を確保することができます。
家族間の言いにくいことを、支援の視点を持って調整すること。これもプロの重要な仕事です。
たった一言の専門知識が、家族の長年の苦悩を消す
家族は、日々のケアの中で「これでいいのだろうか」と孤独な不安を抱えています。
そんな時、プロの何気ない一言が大きな救いになることがあります。
【事例:ダウン症のお兄さんの歯磨き】
持田先生は長年、うがいが上手くできないお兄さんの歯磨きに苦戦していました。「歯磨き粉を飲み込んだら体に悪い」と必死になっていたのです。
ある時、SNSでつながった施設職員からこんなメッセージをもらいました。
「最近の歯磨き粉はフッ素が入っているから、多少残っても大丈夫ですよ。逆に残したほうがいいくらいです」
この一言で、長年の苦痛だった歯磨きの時間が、安心して過ごせる時間に変わりました。
大きな問題解決でなくても、プロとしての正しい知識を雑談の中で伝えるだけで、家族のQOLは劇的に向上します。

言葉選び一つで変わる信頼関係
家族と話す際、「困りごと」や「負担」という言葉を無意識に使っていませんか?
支援者にとっては専門用語のような感覚でも、家族にとっては「あなたたちが迷惑している」「あなたたちが悪い」と責められているように感じてしまうことがあります。
- 「困りごと」→「今、難しさを感じていること」
- 「負担」→「頑張りすぎてしまっている部分」
このように、家族が傷つかない「柔らかい言葉」に変換して伝える配慮が、ラポール(信頼関係)形成には不可欠です。
まとめ:支援者の笑顔が、家族の安心になる
対談の最後にお二人が強調されていたのは、「支援者の皆さん自身が、元気で笑顔でいてほしい」ということでした。
支援者が疲弊し、暗い顔をしていては、家族も安心して任せることができません。
職員がプロとしての知識を持ち、心に余裕を持って関わることが、結果としてご本人とご家族の幸せにつながります。
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