【ルール違反の対応策】「反省しなさい」は無意味?お説教よりも大切な「環境調整」と「未来志向」

【ルール違反の対応策】「反省しなさい」は無意味?お説教よりも大切な「環境調整」と「未来志向」

利用者がルールを破った時、あるいは法に触れるような行為をした時。
「なんでそんなことしたの!」「反省しなさい!」と、長時間お説教をしてしまうことはありませんか?

しかし、先生はこう指摘します。
「お説教はしても無駄です。それは、お説教している側が満足するだけの行為になりがちです」

今回は、なぜ彼らに「お説教」や「反省」が通じないのか、その理由と具体的な対応策について解説します。

この記事は、スペシャルラーニングのSL197から抜粋して作成しています。

講師は、元法務省矯正局の委員であり、山口県立大学社会福祉学部社会福祉学科の教授の水藤 昌彦(みずとう まさひこ)先生です。

お説教は「自己満足」。短く事実だけを伝える

まず大前提として、知的障害のある方の多くは「短期記憶」が苦手です。
お説教が長引けば長引くほど、最初の内容は忘れ去られ、「昔も同じことしたよね」と過去の話まで持ち出されると、もう頭の中はパニックです。

学校の先生や支援者がやりがちな「熱血指導」も、実は言っている側がスッキリしているだけで、本人には届いていないことが多いのです。

【正しい対応】

  • 感情的にならない。
  • 事実だけを確認する。
  • 「それは悪いことです」と、短く端的に指摘して終わる。

本人は「悪いこと」だと分かってやっているケースがほとんどです。だから、クドクド言わずに再確認するだけで十分なのです。

「相手の気持ちを考えて」は難易度が高すぎる

「盗まれた人がどう思うか考えたことある?」
こうした問いかけも、実は効果が薄いと言われています。

なぜなら、「自分と相手の間に起きたことを、相手がどう感じているか想像する」というのは、心理学で言う「メタ認知」という能力が必要で、これは非常に高度なスキルだからです。
抽象的な思考が苦手な彼らにとって、被害者感情の理解は至難の業です。

【正しい対応】
× 「相手はどう思うと思いますか?」(想像させる)
「相手は困っています」(断定して教える)

考えさせるのではなく、「それは相手を困らせる行為だ」と言い切ってインプットする方が有効です。

嘘をつくなら「5分」で切り上げる

明らかにルール違反をしているのに、「絶対にやってません!」と否認し続ける場合もあります。
これを認めさせようと何時間も問い詰めると、支援者はイライラし、本人は意固地になり、関係が悪化するだけです。

【正しい対応】

  • 「今から5分間、この話をします」と時間を区切る。
  • 5分経ったら、本人が認めていなくても「時間は来たので、この話は一旦終わります」と切り上げる。

深追いは禁物です。言わなくていいことまで言ってしまう前に、物理的に区切りましょう。

日本人は「反省」が好きすぎる。過去より「未来」を見よう

「反省文を書かせる」「なぜやったか考えさせる」。
日本人は反省が好きですが、水藤先生は「反省を求めても無駄ではないか」と提案します。

「なぜ(Why)」を追求するよりも、「どうすれば(How)」を考えるべきです。

1. 環境調整(盗ませない工夫)

「人の財布を盗むのが悪い」のは当然ですが、「カバンの口が開いていて簡単に盗める状態」を放置していた支援者側の落ち度はないでしょうか?
盗みたくなる衝動が起きないよう、環境を整えることが先決です。

2. 未来の予告(脅しではなく事実)

「そんなことしたら追い出すよ!」と脅すのはNGです。
そうではなく、「この状態が続くと、今の生活を続けるのが難しくなる可能性がありますよね」と、自然な結果(未来)を淡々と確認します。

まとめ:誰がどれだけ叱っているか把握しよう

最後に注意したいのが、「叱責の総量」です。
一人のルール違反に対して、A職員が叱り、B職員も叱り、管理者も叱る…となると、本人は「自分はダメな人間だ」と自己肯定感を下げ、逆効果になります。

「誰が、短く、事実を伝えるか」をチームで決めておくことが大切です。

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  • 言葉だけでなく「絵」や「図」で伝える注意の仕方
  • 問題行動を減らすための環境設定(構造化)
  • チームで統一した対応をするための記録・共有方法

など、精神論に頼らない、科学的で実践的な支援スキルを動画で配信しています。
お説教に疲れたら、やり方を変えるチャンスです。

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