【支援者の落とし穴】「はい、わかります」は信じてはいけない?知的障害者が陥る「未理解同調性」の正体

【支援者の落とし穴】「はい、わかります」は信じてはいけない?知的障害者が陥る「未理解同調性」の正体

「この作業、明日までにできる?」
「はい、できます!」

そう元気に答えたのに、翌日になると全く手をつけていない。
あるいは、「もう二度と万引きはしません」と反省の弁を述べたのに、数日後にはまた警察沙汰に…。

支援者の皆さんは、こんな経験をして「嘘をつかれた」「やる気がない」と落ち込んだり、腹を立てたりしたことはありませんか?

実はそれ、嘘でも悪意でもなく、「未理解同調性(みりかいどうちょうせい)」という現象かもしれません。
今回は、先生の講義から、知的障害のある人とのコミュニケーションですれ違いを生む、最大の要因について解説します。

この記事は、スペシャルラーニングのSL197から抜粋して作成しています。

講師は、元法務省矯正局の委員であり、山口県立大学社会福祉学部社会福祉学科の教授の水藤 昌彦(みずとう まさひこ)先生です。

「未理解同調性」とは何か?

未理解同調性とは、その名の通り「十分理解していないにもかかわらず、相手に同調してしまう(Yesと言ってしまう)現象」のことです。

特に、軽度の知的障害や境界知能(IQ70〜85付近)の方に顕著に見られます。

「そんなの、ただの不誠実な態度じゃないか」と思われるかもしれません。
しかし、水藤先生は「これは私たち健常者もやっていることだ」と指摘します。

例えば、ざわざわした居酒屋で、相手の話がよく聞こえなかった時。
「え? 何?」と何度も聞き返すのは気まずいので、とりあえず「あ〜、なるほどね!」「へえ〜、そうなんだ」と笑顔で相槌を打って、その場をやり過ごしたことはありませんか?

あれがまさに「未理解同調」です。
知的障害のある方は、日常会話の多くがこの「ざわざわした居酒屋」のような状態(よく理解できない状態)にあるのです。

なぜ「分かったふり」をするのか?

彼らが「はい」と言うのは、理解したからではありません。
「その場に適応するため(怒られないため)」です。

難しい話をされた時、「分かりません」と言うと、相手が不機嫌になったり、さらに長い説明が始まったりします。
しかし、「はい、分かります」と言えば、支援者はニコニコして、その場は丸く収まります。

この経験を繰り返すことで、彼らは「とりあえず肯定しておけば、その場は切り抜けられる」というスキルを上達させてしまっているのです。
これは彼らなりの、必死の「処世術」なのです。

支援者が陥る2つのリスク

この性質を理解していないと、支援現場では2つの大きなトラブルが起きます。

1. 「悪意」への誤解

「やると言ったのにやらない」=「サボりだ」「私を騙した」と支援者が誤解し、信頼関係が崩壊します。
実際は「やると言った内容自体を理解していなかった(覚えていなかった)」だけかもしれません。

2. 「過剰な期待」による自滅

これが最も危険なパターンです。
例えば、就労支援の面談で利用者が「早く生活保護を切って、一般就労でバリバリ稼ぎたいです!」と言ったとします。

支援者は「意欲がある!素晴らしい!」と喜び、ハローワークに連れて行ったり、厳しい訓練を始めたりします。
しかし、本人は「そう言えば職員さんが喜ぶから」言っただけで、一般就労の厳しさも、生活保護がなくなる意味も理解していないことが多いのです。

結果、支援者の期待というプレッシャーに耐えきれなくなり、事業所から逃げ出したり、ストレスで万引きなどの犯罪に走ったりして、全てを壊してしまう(自滅する)ケースが後を絶ちません。

まとめ:「Yes」を疑う優しさを持とう

利用者の「はい」「分かります」を、額面通りに受け取ってはいけません。
それは「あなたの話を遮らずに聞いていますよ」という合図くらいの意味かもしれないのです。

「理解しているか」を確認するためには、

  • 「今話したことを、もう一度自分の言葉で言ってみて?」と聞く
  • Yes/Noで答えられる質問(クローズドクエスチョン)を避ける

といった工夫が必要です。

障害福祉の研修動画サービス「スペシャルラーニング」では、

  • 未理解同調性を見抜くための質問テクニック
  • 視覚支援を使った「伝わる」コミュニケーション
  • 就労支援における本人の「真の意向」の引き出し方

など、すれ違いを防ぎ、利用者も支援者も傷つかないためのコミュニケーション技術を動画で配信しています。
その「はい」の裏にある本当の気持ちに気づくために。ぜひご活用ください。

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