【障害者権利条約】ナチスの悲劇から「社会モデル」へ。歴史を知れば「支援」が変わる

【障害者権利条約】ナチスの悲劇から「社会モデル」へ。歴史を知れば「支援」が変わる
福祉の現場にいると、必ず耳にする「障害者権利条約」。
「差別をしてはいけない」「合理的配慮をしましょう」といったルールの根拠になっている条約ですが、その成立の背景にナチスによる大量殺害という悲劇的な歴史があったことをご存じでしょうか?
今回は、立命館大学生存学研究所の先生をお招きし、人類が「障害者の人権」を認めるまでの長い道のりと、支援の常識を覆した「社会モデル」という考え方について解説します。
歴史を知ることで、私たちが日々行っている支援の「意味」が、より深く見えてくるはずです。
この記事は、スペシャルラーニングのSL178から抜粋して作成しています。
講師は、障害学会の理事・国際委員長であり、立命館大学生存学研究所上席研究員の長瀬 修(ながせ おさむ)先生です。

歴史の教訓「T4作戦」。奪われた20万人の命
障害者の権利について語る前に、私たちは歴史の大きな汚点から目を背けることはできません。
第二次世界大戦中、ナチス・ドイツが行ったのはユダヤ人の虐殺(ホロコースト)だけではありませんでした。
実はそれ以前に、「T4作戦(障害者安楽死計画)」という名の下で、20万人以上ものドイツ人障害者が殺害されていたのです。
「生きるに値しない命」
当時、障害者はそう見なされ、ガス室で組織的に殺害されました。長瀬先生によると、後にユダヤ人虐殺に使われたガス室の技術は、もともとこの障害者殺害のために開発されたものだったといいます。
この事実は、優生思想(障害者は不要だとする考え)が暴走した時、社会がどれほど残酷になれるかを示す重い教訓となっています。
なぜ1948年の「世界人権宣言」に障害者は入らなかったのか
戦後の1948年、ナチスの残虐行為への反省から、国連で「世界人権宣言」が採択されました。人種、宗教、性別による差別を禁止した画期的な宣言です。
しかし、驚くべきことに、この中に「障害に基づく差別の禁止」は含まれていませんでした。
なぜでしょうか?
長瀬先生はこう指摘します。
「当時はまだ、『障害者=人権を持った主体』として考える発想自体がなかったのです」
「障害者は保護されるべき対象」あるいは「哀れな存在」であり、一人の人間として権利を主張する存在とは見なされていなかった。これがわずか70〜80年前の世界の常識でした。
「天動説が地動説になった」社会モデルの衝撃
そこから長い年月を経て、2006年、ついに「障害者権利条約」が国連で採択されました。
人類がようやく、「障害者差別は人権侵害である」と明確に認めた瞬間です。
この条約の核となったのが、1970年代にイギリスの障害当事者たちが生み出した「社会モデル」という考え方です。
「医学モデル」から「社会モデル」へ
それまでは、「障害者が困っているのは、その人に障害があるからだ(本人の問題)」と考える「医学モデル(個人モデル)」が当たり前でした。
しかし、当事者たちは声を上げました。
「違う。私たちが困っているのは、車椅子で入れない建物や、理解のない社会のルール(社会のバリア)があるからだ」
これが「社会モデル」です。
長瀬先生は、この考え方に出会った時の衝撃を「天動説が地動説に変わったくらいの革命」と表現しています。
「私が悪いんじゃない、社会の作りが間違っているんだ」。この発想の転換こそが、権利条約の魂となっています。

まとめ:支援者が「社会のバリア」を取り除く側になるために
障害者権利条約は、単なる法律の条文ではありません。
「障害者が社会に合わせる」のではなく、「社会が障害者に合わせて変わるべきだ」という、人類の決意表明です。
私たち支援者は、日々の業務の中で、「本人の努力不足」や「障害のせい」にしてしまってはいないでしょうか?
歴史と理論を知ることは、支援の質を根本から変える力になります。
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