【障害の社会モデル】「階段を登れないのは誰のせい?」車いすユーザーの自立の定義が変わった瞬間

【障害の社会モデル】「階段を登れないのは誰のせい?」車いすユーザーの自立の定義が変わった瞬間
「車いすの人が、駅の階段を登れずに電車に乗れない」
この状況を目の当たりにしたとき、あなたはどのように感じますか?
「足が悪いんだから仕方がない」と思うでしょうか。それとも「駅にエレベーターがないのがおかしい」と思うでしょうか。
かつての日本では前者の考え方が主流でしたが、現在は後者の考え方へと社会全体が大きくシフトしています。
今回は、車いすユーザーにとっての「真の自立」とは何か。歴史的なパラダイムシフト(価値観の転換)を通じて解説します。
この記事は、スペシャルラーニングのSL32から抜粋して作成しています。
講師は、障害のある人と援助者でつくる日本グループホーム学会の副代表であり、社会福祉法人ロザリオの聖母会 なざれの家あさひの所長の荒井 隆一(あらい りゅういち)先生です。

昔の常識:「障害は克服するもの」だった
一昔前の日本において、障害とは「個人の責任で乗り越えるべきもの」と考えられていました。
- 「電車に乗りたければ、階段を登れるようになりなさい」
- 「歩けない人は、歩けるように努力しなさい」
つまり、「歩けるようになること=自立」であり、歩けないうちは一人前ではないとみなされていたのです。
この考え方では、「電車に乗れないのは、階段を登れないその人のせい」ということになってしまいます。

転換点:国際障害者年と「完全参加と平等」
しかし、当事者たちから「障害があるまま生きることを社会は認めるべきだ」という強い運動が起こり、長い年月を経て価値観は覆されました。
大きなきっかけとなったのが、「国際障害者年」です。
「完全参加と平等」というスローガンのもと、障害のある人が社会から排除されている現状を変えようとする動きが世界中で加速しました。
今の常識:「障害は社会の環境にある」
現在のスタンダードな考え方は、「全ての人たちが社会参加できる状況を作ることは、社会の責任である」というものです。
- ❌️ 昔: 階段を登れない人が悪い(個人の問題)
- ⭕️ 今: 階段しか設置していない駅が悪い(社会の障壁)
歩けない人が公共交通機関を利用できるようにするのは、社会側の義務です。
「努力して歩け」ではなく、「エレベーターやスロープを設置して、誰でも乗れるようにする」ことが正解となりました。
まとめ:「できないこと」は道具や人の手で補えばいい
かつては「身体機能の回復」こそが自立への道でした。
しかし今は、「歩けないこと」と「自立していないこと」はイコールではありません。
自分一人で歩けなくても、
- エレベーター(機械)を使う
- 人の手を借りる
これらの手段を使って、自分の行きたい場所へ行き、やりたいことができるなら、それは立派な「自立」です。
「できないことを克服する」のではなく、「できない部分は環境や仕組みで補う」。
この視点を持つことが、バリアフリー社会を実現する第一歩となります。
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正しい知識で、利用者の権利を守るために。ぜひご活用ください。
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