【知的障害の自立】「一人でできる」がゴールではない?言葉の通じない外国に一人でいる孤独と、必要な「通訳」の存在

【知的障害の自立】「一人でできる」がゴールではない?言葉の通じない外国に一人でいる孤独と、必要な「通訳」の存在

「知的障害のある人の気持ち」を、本当に想像できたことはあるでしょうか?

私たちが当たり前のように暮らしているこの社会。
しかし、知的障害のある人にとっては、まるで「言葉の通じない外国に、たった一人で放り出された」のと同じような状況かもしれないのです。

  • 飛び交う言葉が理解できない
  • 何がどうなっているのか状況が掴めない
  • どこに行けば何があるのか分からない
  • 相手が自分に何をしろと言っているのか分からない

もしあなたが異国の地でこの状況に陥ったら、不安で立ちすくんでしまうでしょう。
今回は、この「外国」の例えを用いて、知的障害のある人にとっての「真の自立」「必要な支援(エレベーター)」について考えます。

この記事は、スペシャルラーニングのSL32から抜粋して作成しています。

講師は、障害のある人と援助者でつくる日本グループホーム学会の副代表であり、社会福祉法人ロザリオの聖母会 なざれの家あさひの所長の荒井 隆一(あらい りゅういち)先生です。

「階段」と「エレベーター」に例えてみる

身体障害(車いすユーザー)の方にとって、「駅の階段」は自立を阻む物理的なバリアです。
これに対し、社会は「エレベーター」を設置することで、そのバリアを解消し、移動の自由(自立)を保障してきました。

では、知的障害のある人にとっての「階段(バリア)」は何でしょうか?
それが冒頭の「分からない言葉・状況」です。

車いすの人が階段の前で立ちすくむように、知的障害のある人も、理解できない言葉やルールの前で立ちすくんでいます。
彼らにとっての「エレベーター」にあたるもの。それは、「分かりやすく伝える技術(通訳)」です。

支援者は「通訳」になろう

海外旅行で言葉が通じない時、通訳がいれば安心してレストランで注文したり、目的地に行ったりできますよね。

知的障害のある人の支援も同じです。

  • 難しい言葉を、分かりやすい言葉や絵に変える
  • 相手が何を求めているのかを噛み砕いて伝える
  • 目的の場所を視覚的に案内する

このように、社会と本人との間に入って情報を翻訳する「通訳」のような援助があって初めて、彼らは安心して社会参加できるようになります。
この「分かりやすく伝える援助」こそが、彼らの自立には欠かせないのです。

「支援なしでやる」=「自立」ではない

これまで私たちは、知的障害のある人に対して、少し厳しい見方をしていなかったでしょうか。

「いつまでも手伝っていたら自立できない」
「自分でできるようにならなきゃダメだ」

しかし、車いすの人に「エレベーターを使わずに自力で階段を登りなさい」とは言いませんよね。
それと同じで、情報のバリアがある人に対し、「支援なしでやること」を目標にするのは間違いです。

もちろん、経験を積んで一人でできることが増えるのは素晴らしいことです。
しかし、自立のゴールは「援助をゼロにすること」ではありません。

まとめ:支配されず、自分の人生を自分で決めること

知的障害のある人にとっての自立とは、以下の状態を指します。

「自分の生活のことを自分で決められるように、必要なことについては援助(通訳)を受けて、他人に支配されることなくやっていけるようになること」

一人でできなくてもいいのです。
適切な「通訳」や「エレベーター」を使いながら、誰かの言いなりになるのではなく、自分の意思で今日を生きること。

私たち支援者は、彼らに「一人でやらせる」監督者ではなく、彼らが自分の人生を歩むための「優秀な通訳ガイド」を目指すべきではないでしょうか。

障害福祉の研修動画サービス「スペシャルラーニング」では、

  • 知的障害のある人に伝わる「構造化」と「視覚支援」
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など、利用者の真の自立をサポートするために必要な専門スキルを動画で配信しています。
彼らの世界に通じる「言葉」を学ぶために。ぜひご活用ください。

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