【衝撃の事例】「施設を辞めたい」の真実はラジカセだった?言葉の裏にある“本当の願い”を聞き取る力

【衝撃の事例】「施設を辞めたい」の真実はラジカセだった?言葉の裏にある“本当の願い”を聞き取る力

「利用者の望みを叶えることが自立支援だ」
そう信じて、本人の言葉通りに行動した結果、実はとんでもない勘違いをしていた…という経験はありませんか?

人の思いを理解するためには「話を聞くこと」が基本です。
しかし、障害のある方の中には、自分の思いをうまく伝えられなかったり、支援者に気を遣って「はい」と答えてしまったりする方も少なくありません。

今回は、ある入所施設で起きた「退居騒動」のエピソードを通じて、言葉の裏に隠された「本音」を探る重要性と、支援者が持つべき謙虚さについて解説します。

この記事は、スペシャルラーニングのSL32から抜粋して作成しています。

講師は、障害のある人と援助者でつくる日本グループホーム学会の副代表であり、社会福祉法人ロザリオの聖母会 なざれの家あさひの所長の荒井 隆一(あらい りゅういち)先生です。

言葉を鵜呑みにしてはいけない理由

利用者様との会話において、返ってきた言葉が必ずしも「本心」とは限りません。

  • 表現の困難さ: 自分の気持ちを適切な言葉にするのが苦手。
  • 迎合(げいごう): 相手に合わせて「はい」「そうです」と答えてしまう。

特に支援者に対しては、「良く思われたい」「怒られたくない」という心理が働き、本音とは違うことを言ってしまうケースが多々あります。
言葉をそのまま鵜呑みにすることは、時に「誤った支援」へと突き進むリスクがあるのです。

【事例】「家に帰りたい」の意外な理由

あるグループホームで、入居者のAさんが突然「退居して家に帰りたい」と言い出しました。

運営者や職員たちは、「本人がそう希望するなら、意思を尊重して退居の方向で進めよう」と話し合い、手続きの準備を始めようとしました。
しかしその時、一人の職員がこう提案しました。

「Aさんは、どうして急に退居したいと思ったんでしょう?もう一度詳しく聞いてみませんか?」

改めてAさんにじっくり話を聞いていくと、驚きの事実が判明しました。
Aさんが家に帰りたかった本当の理由。それは…
「自宅にあるラジカセで音楽が聴きたいから」
ただそれだけだったのです。

「ラジカセを買う」だけで解決した問題

今のAさんの部屋にはラジカセがありませんでした。
つまり、「ホームで新しいラジカセを買う」。たったそれだけで、Aさんの不満は解消され、退居する必要など全くなかったのです。

もしあの時、職員が言葉通りに「退居手続き」を進めていたらどうなっていたでしょう?
良かれと思って一生懸命に行った支援が、本人の生活の場を奪う結果になっていたかもしれません。

「なぜ?」を問いかける姿勢

この事例が教えてくれるのは、「言葉の背景」を考えることの重要性です。

「帰りたい」という言葉の裏には、「何かが嫌だ」「何かが足りない」という具体的な理由が隠れていることがよくあります。
話を聞くときは、単に言葉を受け取るだけでなく、以下の視点を持つことが大切です。

  • 「なぜ、今それを言うのだろう?」
  • 「本心を言えているのかな?」
  • 「この言葉の背景には何があるんだろう?」

「私が一番わかっている」という落とし穴

もう一つ大切なことは、支援者としての「謙虚さ」です。

毎日接している職員だからといって、その人の全てを理解できているわけではありません。
むしろ、「先生」「職員」という立場だからこそ、本人が言いにくい本音もあります。

  • 気の合うボランティアさん
  • 近所の仲良しの人
  • 清掃スタッフさん

こうした「支援の立場を離れた第三者」にだけ、ポロッと本音(愚痴や要望)を漏らすことはよくあります。
「この人のことは私が一番よく分かっている!」と頑張りすぎず、「私には言えないこともあるかもしれない」と謙虚になり、周囲の人からの情報にも耳を傾ける余裕を持ちましょう。

まとめ:本当の気持ちが理解できる関係へ

人の心を聞き取ることは、決して易しいことではありません。
しかし、言葉尻だけを捉えて右往左往するのではなく、「本当はどうしたいの?」と心に寄り添い続ける姿勢が、信頼関係を築きます。

「辞めたい」と言われたら、「どうして?」と聞いてみる。
そのワンクッションが、利用者様の人生を守ることに繋がります。

障害福祉の研修動画サービス「スペシャルラーニング」では、

  • 本音を引き出す「傾聴」と「質問」のテクニック
  • 意思決定支援におけるバイアス(思い込み)の排除
  • 利用者主体の支援計画(個別支援計画)の作り方

など、表面的な言葉に惑わされず、利用者の「真のニーズ」を掴むための対人援助スキルを動画で配信しています。
すれ違いの支援を減らし、心からの満足を生むために。ぜひご活用ください。

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