【国連からの緊急提言】「話せない」で終わらせない。日本が直面する「AAC(拡大代替コミュニケーション)」の保障とは

【国連からの緊急提言】「話せない」で終わらせない。日本が直面する「AAC(拡大代替コミュニケーション)」の保障とは

「言葉が出ない利用者さんの気持ちが分からない」
「どうやってコミュニケーションを取ればいいのか悩む」

現場で尽きないこの悩みについて、今回は少し視座を高めて「国際的な人権」の観点から考えてみましょう。

2022年に国連から日本へ突きつけられた「ある勧告」が、これからの支援のあり方を大きく変えようとしています。

この記事は、スペシャルラーニングのSL165から抜粋して作成しています。

講師は、香川大学教育学部附属特別支援学校の校長であり、言語聴覚士、公認心理師であり、香川大学教育学部の教授である坂井 聡(さかい さとし)先生です。

年間2,400件の相談。大学生でも悩む「コミュニケーション」

まず、坂井先生が室長を務める香川大学の「バリアフリー支援室」の現状について驚きの数字が明かされました。
学生数約5,600人の大学で、発達障害などに関する相談件数は、なんと「年間延べ2,400件」にものぼります。

それほど多くの学生が、人間関係やコミュニケーションにつまずき、悩んでいるのです。
コミュニケーションの支援は、幼児期や学童期だけの問題ではなく、社会に出る直前の青年期に至るまで、人生を通して非常に重要なテーマであることが分かります。

日本への衝撃。2022年の「国連勧告」とは?

そんな中、2022年8月、日本の教育界・福祉界に衝撃が走りました。
スイス・ジュネーブで行われた「障害者権利条約」の審査において、国連委員会から日本政府に対し、極めて強い口調での勧告(改善要求)が出されたのです。

「分離教育」へのNO

特に指摘されたのは、日本の特別支援教育のあり方です。
日本では「専門的な教育を行うため」として、特別支援学校や学級へ子どもたちを分ける(分離する)傾向があります。

しかし国連は、「分離された特別支援教育をやめ、インクルーシブ教育(共に学ぶ教育)の権利を保障すべきだ」と強く迫りました。
国際条約は国内法よりも上位の効力を持つため、日本はこの指摘を重く受け止め、対応していく義務があります。

権利としての「AAC(拡大代替コミュニケーション)」

この勧告の中で、現場の支援者にとって特に重要なのが、項目「E」にある以下の内容です。

「通常の教育環境における、拡大代替コミュニケーション(AAC)の様式及び方法の使用を保障すること」

AAC(Augmentative and Alternative Communication)とは?

言葉を話すことが難しい人たちが、音声言語の代わりに用いるコミュニケーション手段の総称です。

  • 絵カードやシンボル
  • ジェスチャーやサイン
  • VOCA(音声出力装置)やタブレット端末

国連が言っているのは、「話せない人に無理やり発語させるのではなく、話せなくても意思を伝えられる道具(AAC)を当たり前に使えるようにしなさい」ということです。

コミュニケーション手段の確保は、単なる「工夫」ではなく、保障されるべき「権利」なのです。

まとめ:その支援は「権利」を守れていますか?

「言葉が出ないから、この子の意思は分からない」と諦めていませんか?
もし、絵カードやタブレットがあれば、その子は「痛い」「嫌だ」「これがしたい」と言えたかもしれません。

道具を用意せず、手段を教えないことは、その人の「表現する権利」を奪っているのと同じことかもしれません。

障害福祉の研修動画サービス「スペシャルラーニング」では、

  • AAC(拡大代替コミュニケーション)の基礎知識と種類
  • 発語のない方への具体的なアプローチ方法
  • コミュニケーションを引き出すための環境設定

など、国連勧告の基準を満たすような、権利擁護に基づいたコミュニケーション支援の実践を動画で配信しています。
利用者の「伝えたい」を叶えるために。ぜひご活用ください。

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