【根本から問う】「あなたに障がいはありますか?」「自立してますか?」コミュニケーション支援が必要な本当の理由

【根本から問う】「あなたに障がいはありますか?」「自立してますか?」コミュニケーション支援が必要な本当の理由
「障害の『害』という字は、ひらがなで『がい』と書くべきだ」
こうした議論をよく耳にします。「その人に害があるわけではないから」という理由ですが、表記を変えれば問題は解決するのでしょうか?
今回の講義で、講師は私たち支援者に対して、もっと根本的な問いを投げかけました。
「あなた自身に、障害はありますか?」
「あなたは、自立していますか?」
もし、この問いに即答できなかったとしたら、私たちは「自立」という言葉の意味を履き違えているかもしれません。
今回は、障害と自立の定義を問い直し、なぜコミュニケーション支援が必要なのか、その本質に迫ります。
この記事は、スペシャルラーニングのSL165から抜粋して作成しています。
講師は、香川大学教育学部附属特別支援学校の校長であり、言語聴覚士、公認心理師であり、香川大学教育学部の教授である坂井 聡(さかい さとし)先生です。

その線引きはどこ?「私には障害がない」という思い込み
「利用者さんには障害があるけれど、職員の私にはない」
多くの支援者が無意識にそう考えています。しかし、その境界線はどこにあるのでしょうか?
「眼鏡がないと生活できない」「計算が苦手」「人前で話すと震える」。
私たちも何らかの苦手さや道具への依存を持っています。
「彼ら(障害者)」と「私たち(健常者)」を分けているのは、実は明確な壁ではなく、社会のシステムや、私たちの心の中にある「線引き」なのかもしれません。

もし「一人でできること」が自立なら…
次に「自立」について考えてみましょう。
ある研修で「あなたは自立していますか?」と聞いたところ、立派に働いている大人が「いいえ」と答えたそうです。
理由は「実家暮らしで、親にご飯を作ってもらっているから」。
ここに大きな落とし穴があります。
もし、「誰の助けも借りずに、一人で何でもできること(料理、運転、仕事)」を自立と定義してしまったらどうなるでしょう?
重度の知的障害があり、一人で着替えや食事ができない子どもたちは、「一生自立できない(自立する資格がない)」ことになってしまいます。
私たちは知らず知らずのうちに、彼らに「私たち健常者でも難しいような完全な自立」を求めてしまっていないでしょうか。
本当の自立とは「サポートを得て、自分らしく生きること」
講師は、自立を次のように再定義します。
「周囲の人に尊厳ある人として認められ、周囲のサポートも得ながら、自分らしく生きることができていたら、それは『自立』なんですよね」
この定義ならば、どんなに重い障害があっても自立は可能です。
「一人でできるか」ではなく、「必要な助けを借りられているか」が重要なのです。
そこで「コミュニケーション」が必要になる
ここで初めて、今回のテーマである「コミュニケーション」がつながります。
周囲のサポートを得るためには、黙っていては伝わりません。
- 「これができません」
- 「ここを手伝ってください」
- 「私はこれがしたいです」
これらを伝える力こそが、コミュニケーションです。
つまり、コミュニケーション支援とは、単にお喋りを楽しむためのものではなく、「サポートを引き出し、自立して生きていくための生存スキル」を育てることなのです。
まとめ:「助けて」と言える力を育てよう
「一人でやらせなきゃ」と突き放すのが自立支援ではありません。
「困った時に、誰にどう伝えれば助けてもらえるか」を教えることこそが、本当の自立支援です。
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