【保護者の悩み事例①】「人前で服を脱ぐ」17歳息子。それは“性欲”か“感覚”か?要因を因数分解する

「息子は17歳ですが、幼少期から人前で服を脱いでしまう癖が治りません」
「脱いだら着せる、を繰り返す日々。どうやって性のルールを教えればいいのでしょうか?」

今回の動画では、知的障害のある17歳の息子さんを持つお父様(横山さん)へのインタビュー事例をご紹介します。
本人の意図と、世間の目。そのギャップに苦しむ保護者に対し、支援者はどう向き合うべきかを考えます。

この記事は、スペシャルラーニングのSL65から抜粋して作成しています。

講師は、合同会社ヨルミナ代表の坂爪 真吾先生(前 一般社団法人ホワイトハンズ代表理事)です。

1. 「脱ぐ」=「性的な行動」とは限らない

横山さんの息子さんは、寒い時に「エアコンの温度を上げてください」とリモコンを持ってくることはできても、「服を着る」という行動には結びつきません。
このエピソードから分かるのは、彼にとって「服を脱ぐ」という行為は、必ずしも性的な欲求(露出狂的な意味)に基づいているわけではない可能性が高いということです。

考えられる要因

  • 感覚過敏: 服のタグがチクチクする、素材が肌に合わない。
  • 体温調節: 単純に暑いから脱ぐ。
  • 習慣: 小さい頃からの癖が抜けていない。

しかし、本人の動機が何であれ、17歳の男性が人前で服を脱げば、社会的には「性的な問題行動(公然わいせつ等)」として扱われてしまいます。
ここに、障害のある人と社会との間に大きな「認識のズレ」が生じます。

2. 坂爪流アプローチ:要因を「因数分解」する

専門家の坂爪さんは、こうした行動をひとくくりに「性の問題」として片付けるのではなく、要因を細かく分ける(因数分解する)必要があると指摘します。

  1. 性の問題か?: 性的な快感や露出欲求があるのか。
  2. マナーの問題か?: 「ここでは脱いではいけない」というルール理解の問題か。
  3. 環境(感覚)の問題か?: 室温や衣服の素材が不快なのか。

これらを見極めた上で対応策を練ります。
もし言葉での理解が難しい場合、「脱いだら着せる」という一見終わりのない対症療法も、根気強く続けることで「ここでは服を着るものだ」という刷り込み(ルーチン化)につながる場合があり、決して無駄ではありません。

3. 「脱いでもいい場所」を作るという発想

「絶対に脱ぐな」と禁止するだけでは、本人にとってストレスの逃げ場がなくなってしまいます。
大切なのは、「脱いでもいい場所(家の中、脱衣所など)」と「ダメな場所(外)」の区別をつけることです。

坂爪さんが主催する「ホワイトハンズ」では、バリアフリーのデッサン会を開催しており、そこでは障害のある方がモデルとして「脱ぐ」ことができます。
「お金を払ってでも人前で脱ぎたい(解放されたい)」というニーズを持つ男性は意外と多く、そうした「社会的に許容されるガス抜きの場」を提供することも、支援の一つと言えます。

4. 「18歳の壁」と放デイの役割

横山さんが最も懸念していたのは、「18歳で学校や放デイを卒業した後、誰がこれを支援してくれるのか?」という点でした。
卒業後は公的な支援が手薄になり、人間関係も希薄になりがちです。

だからこそ、放課後等デイサービスに通っている今のうちに、以下のスキルを少しでも身につけておくことが重要です。

  • 対人関係のスキル: 人との距離感やマナー。
  • プライベートゾーンの理解: どこなら脱いでいいか。
  • 適切なコミュニケーション: 感情の伝え方など。

まとめ:お父さんの参加が素晴らしい

最後に、坂爪さんが強調していたのは、この悩みにお父様(父親)が真剣に向き合っていることの素晴らしさです。
性の問題はどうしても母親任せになりがちですが、同性である父親が関わることは、息子さんにとっても非常にプラスになります。

支援者は、ご家族の孤独な戦いに寄り添い、「要因の分析」や「場所の提供」といった視点で具体的なアドバイスを送ることが求められます。

障害福祉の研修動画サービス「スペシャルラーニング」では、

  • 「感覚過敏」による脱衣への環境調整・衣服の選び方
  • 「プライベートゾーン(脱いでいい場所・悪い場所)」の視覚的な教え方
  • 思春期以降の「性的な行動」への具体的な介入ケーススタディ

など、現場の悩みを解決するための実践的なノウハウを動画で配信しています。
家族だけで抱え込ませない支援のために。ぜひご活用ください。

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