【保護者アンケート】なぜ性のトラブルは起きる?保護者が考える最大の要因は「障害特性」

「うちの子が人前で脱いでしまうのは、障害があるから仕方ない」
「異性に抱きついてしまうのは、衝動性が抑えられない特性のせいだ」

保護者へのアンケート結果から、性のトラブルに対する親御さんの認識や悩みの深層が見えてきました。
今回は、保護者が考えるトラブルの原因と、専門家から見た「表面的な対応」に潜むリスクについて解説します。

この記事は、スペシャルラーニングのSL65から抜粋して作成しています。

講師は、合同会社ヨルミナ代表の坂爪 真吾先生(前 一般社団法人ホワイトハンズ代表理事)です。

1. 保護者が挙げる「トラブルの内容」ランキング

まずは、保護者が実際に困っている具体的なトラブルの内容です。

  1. 人前で服を脱ぐ(1位)
    • 男女問わず最多。全裸になる、ズボンやパンツだけ下ろすなど様々。「暑い」「服が不快」などの感覚的な理由も多い。
  2. 異性への接触・抱きつき
    • 自分だけでなく、「相手(他の利用者)」がいるため、相手の親からクレームが入るなど深刻化しやすい。
  3. 性的な言葉の連呼
    • 「おっぱい」などの卑猥な言葉を叫ぶ。これは健常児でも見られる通過儀礼的な側面もある。
  4. 付きまとい・凝視(じっと見る)
    • 特定の職員や利用者に執着してついて回る、体をじっと見つめるなど。「見られる不快感」は見過ごされがちだが、重大なトラブルの種になる。

意外だったのは、「自慰行為」が上位に入っていなかった点です。保護者の目が届く範囲(家庭内)と、事業所での行動には差があるのかもしれません。

2. トラブルの原因は?「障害特性」が圧倒的1位

「なぜ、こうしたトラブルが起きると思いますか?」という質問に対し、保護者の回答は以下の通りでした。

  • 1位:障害の特性(感覚過敏、衝動性、多動など)
  • 2位:精神的ストレス・不安
  • 3位:スキルの不足(対人関係、ソーシャルスキル)
  • 4位:社会参加・体験の不足

多くの保護者が、「障害があるから、そういう行動をしてしまうのだ(特性のせいだ)」と捉えています。
もちろん、感覚過敏や我慢が苦手といった特性は大きな要因ですが、それだけが全てではありません。

「スキルの不足」に注目

注目すべきは、「スキル不足」や「社会参加の不足」を挙げている保護者が一定数いることです。
「普段から人と接する機会が少なく、適切な距離感やマナーを学ぶ場がないからだ」と、環境や教育の要因にも目を向けていることが分かります。

3. 「対症療法」だけで終わらせない

専門家の坂爪さんは、現場の対応が「その場しのぎ(対症療法)」になりがちな点を懸念しています。

  • 脱いだら着せる。
  • 抱きついたら引き剥がす。
  • 見つめたら注意する。

これらは、目の前のトラブルを止めるためには必要ですが、根本的な解決にはなりません。

「レッテル貼り」の危険性

「この子は障害があるから、性欲が強いんだ」「特性だから仕方ない」と、表面的な行動だけでレッテルを貼って片付けてしまうのは危険です。
背景には、以下のような複合的な要因が絡み合っているからです。

  • 特性(衝動性、感覚過敏)
  • 環境(暇つぶし、不安、ストレス)
  • 学習不足(適切な振る舞い方を知らない)
  • 愛着(寂しさ、構ってほしい)

これらを因数分解(分析)し、「なぜその行動をするのか?」という背景にアプローチしなければ、行動は変わりません。

まとめ:親も悩んでいる。「特性」の一言で済ませない支援を

保護者の多くは、「障害特性だから仕方ない」と諦めているか、どう教えていいか分からずにいます。
支援者に求められるのは、「特性ですね」と共感するだけでなく、「特性はあるけれど、スキルとしてこう教えれば変わるかもしれません」という具体的な提案です。

次回は、この「保護者の認識」と「職員の認識」の間に、どのようなギャップがあるのかを見ていきます。ここに支援のヒントが隠されています。

障害福祉の研修動画サービス「スペシャルラーニング」では、

  • 「障害特性」と「環境要因」を切り分ける行動分析シート
  • 保護者と連携して進める「家庭での性教育」の実践例
  • 「じっと見る」「つきまとい」へのSST(ソーシャルスキルトレーニング)

など、表面的な対応から一歩踏み込んだ、根本解決を目指すための研修動画を配信しています。
諦めずに、理由を探る支援を始めましょう。ぜひご活用ください。

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