【ニュースの裏側】後見人の横領は誰がやっている?「弁護士」よりも多い「親族」による不正の実態
【ニュースの裏側】後見人の横領は誰がやっている?「弁護士」よりも多い「親族」による不正の実態
「弁護士の後見人が、本人の財産数千万円を着服」
新聞やテレビでこのようなニュースを見ると、「やっぱり成年後見制度なんて使うもんじゃない」「他人に通帳を渡すなんて怖すぎる」と感じてしまうのは当然です。
しかし、そのニュースのイメージと、データが示す「実態」には大きなズレがあります。
実は、後見人による不正の9割以上は、弁護士などの専門職ではなく、「親族(家族)」によって行われていることをご存じでしょうか。
今回は、不正の実態と、それを防ぐために家庭裁判所がとっている対策について解説します。
この記事は、スペシャルラーニングのSL27から抜粋して作成しています。
講師は、親なきあと相談室の主宰の渡部 伸(わたなべ しん)先生です。

不正の9割は「親族」。でも「悪意」があるとは限らない?
少し前のデータになりますが、後見人による着服被害が過去最悪だった2014年(被害総額約56億円)の内訳を見ると、衝撃の事実が分かります。
- 専門職(弁護士・司法書士等)による不正:約1割
- 親族(親・子・兄弟等)による不正:約9割
「家族が家族のお金を盗むなんて!」と思うかもしれませんが、ここには事情の違いがあります。
専門職の不正は、法律を知った上での犯行なので「100%悪意」があります。
一方、親族の場合は「悪気がない(無知)」ケースが多々あります。
- 「ちょっと今月ピンチだから、お母さんの財布から借りておこう」
- 「同居しているから、食費や光熱費を全部本人の口座から出した」
家族間なら「なぁなぁ」で済んでいたことが、後見人という立場になった途端、「分別管理義務違反(不正・流用)」とみなされてしまうのです。
不正を防ぐ「2つのロック機能」とその代償
こうした親族による「使い込み」や「ルーズな管理」を防ぐため、家庭裁判所も対策を強化しています。
1. 後見制度支援信託
本人の財産がある程度多い場合(主に高齢資産家など)、日常使わない大きなお金を信託銀行に預けてロックします。
裁判所の指示書がないと引き出せないため、物理的に使い込みができなくなります。
2. 後見監督人
親族が後見人になる場合、その働きをチェックする「監督人(弁護士など)」を選任することがあります。
これにより不正は防げますが、家族にとっては「不満の種」になることもあります。
【ここがトラブルになりやすい!】
親族後見人は、基本的に「無報酬(タダ)」で苦労して介護や手続きをしています。
しかし、チェック役としてやってくる監督人には、本人の財産から「報酬(月額数万円〜)」が支払われます。
「私はタダで働いているのに、たまに来てハンコを押すだけの人にお金が払われるなんて!」という不満が出やすいのです。
不正被害は「ピーク時の4分の1」へ減少
こうした厳しい対策(信託や監督人)を導入した結果、不正の被害額は激減しています。
2019年のデータでは、ピーク時(2014年)の約4分の1まで減少しました。
手続きが厳しくなり、監督人報酬などのコストがかかるようになった分、「財産は守られるようになった」と言えます。

まとめ:リスクとコストを正しく知ろう
「後見人は不正をするから怖い」というイメージは、少し前の情報によるものです。
現在は「不正はしにくいが、その分チェックが厳しく、コストがかかる制度」に変化しています。
これから制度を利用しようとする方は、「財産を守る安心」と「監督人などの費用」を天秤にかけて判断する必要があります。
障害福祉の研修動画サービス「スペシャルラーニング」では、
- 親族が後見人になった時に「やってはいけない」お金の使い方
- 後見監督人がつくケース・つかないケース
- 専門職後見人の報酬相場
など、制度利用のリアルな負担や注意点を動画で解説しています。
「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために。ぜひご活用ください。
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