【障害福祉の人材育成】「ルーチンワークしかできない」は思い込み?仕事の面白さに気づく「小さな発見」

現場の管理者や経営者から、よく聞く悩みです。
確かに、生活のために割り切って働いている職員に、「複雑な業務(クリエイティブな仕事)」を求めるのは酷なことなのでしょうか?

今回は、仕事へのモチベーションが低い職員でも、無理なく「考える楽しさ」に目覚めるためのステップについて解説します。

この記事は、スペシャルラーニングのSL97から抜粋して作成しています。
講師は、厚生労働省 社会保障審議会 介護給付費分科会 介護報酬改定検証・研究委員会委員であり、日本社会事業大学専門職大学院教授の井上 由起子(いのうえ ゆきこ)先生と元厚生労働省 障害福祉課・虐待防止専門官であり、日本社会事業大学 社会事業研究所 客員教授の曽根 直樹(そね なおき)先生です。

1. 「割り切って働く」=「つまらなくていい」ではない

「お金のために働いているから、定時で帰れればいい」
そう考えている職員だとしても、1日8時間の勤務時間が「退屈で苦痛な時間」であるより、「ワクワクして楽しい時間」である方が良いに決まっています。

  • 昔の価値観:滅私奉公。残業してでも利用者のために尽くすのが美徳。
  • 今の価値観:プライベートも大事。でも、勤務時間内は生き生きと働きたい。

経営者やリーダーに必要なのは、「あの人はやる気がないからルーチンでいい」と諦めることではありません。
「どうすればその人が、勤務時間内にワクワクできるか?」 を考えること自体を、マネジメントにおける「複雑な業務(工夫すべき課題)」として捉える視点が求められます。

2. いきなり「難問」を与えない。「小さな複雑な業務」から

とはいえ、経験の浅い職員や意欲が高くない職員に、いきなり「強度行動障害の支援計画を考えて」と言っても無理があります。それはハードルが高すぎます。

そこで重要なのが、「小さな複雑な業務」 という考え方です。

「靴を履く」という行為の例

  • ルーチンとして見る:「はい、靴を履いてください」と介助して終わり。面白みゼロ。
  • 小さな発見(複雑な業務):「あ、この利用者さん、毎回必ず 右足から 履いている!」

ただ漫然と見ていれば「作業」ですが、観察のアンテナを立てて「右から履く」という法則を見つけた瞬間、それは「発見」になります。
「なぜ右からなんだろう?」「本人のこだわりかな?」と少しでも思考が動けば、それはもう立派な「複雑な業務」の入り口です。

3. 「すごい発見だね!」が人を育てる

この「小さな発見」を、チームがどう受け止めるかが分かれ道です。

  • 悪い反応:「ふーん、だから何?(スルー)」→ 職員はまたルーチンに戻る。
  • 良い反応:「よく気づいたね!すごい発見だね!」→ 職員は 「見ていて良かった」「気づくことは楽しい」 と感じる。

「右足から履く」という些細なことでも、チームで共有し、称賛し合う。
この成功体験(喜び)があれば、職員は「次は食事の様子を見てみようかな」と、自然に観察の範囲を広げ、「中くらいの複雑な業務」「大きな複雑な業務」へとステップアップしていけます。

まとめ:仕事の面白さは「発見」にある

難解な理論を学ぶことだけが専門性ではありません。
利用者の「靴の履き方」一つにこだわりを見つけること。その「小さな発見」の積み重ねが、退屈なルーチンワークを、ワクワクするクリエイティブな仕事へと変えていきます。

「あの人は無理」と決めつけず、まずは「小さな発見」を面白がるチームの空気を作っていきましょう。

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