【理想のチーム】障害福祉現場に「カリスマリーダー」が不要な理由

「緊急時は頼りになるリーダーも、平時にはメンバーの成長を阻害しているかもしれない?」

チーム運営には、状況に合わせた最適な「型」があります。
今回は、堀公俊氏が提唱する 「3つのチームの型」 を参考に、福祉現場が目指すべき理想のチームと、リーダーが陥りやすい罠について解説します。

この記事は、スペシャルラーニングのSL97から抜粋して作成しています。
講師は、厚生労働省 社会保障審議会 介護給付費分科会 介護報酬改定検証・研究委員会委員であり、日本社会事業大学専門職大学院教授の井上 由起子(いのうえ ゆきこ)先生と元厚生労働省 障害福祉課・虐待防止専門官であり、日本社会事業大学 社会事業研究所 客員教授の曽根 直樹(そね なおき)先生です。

1. 状況で使い分ける「3つのチームの型」

チームのあり方は、置かれている環境や状況によって、以下の3つに分類されます。

① 引っ張り型(Crisis / Visionary)

  • 状況:大きな変化が必要な時、緊急時(例:コロナ禍の初期対応)。
  • リーダーの役割:ビジョンや戦略を掲げ、強力に方向づけを行い、先頭に立って引っ張る。
  • メンバーの役割:リーダーの指示に従い、一丸となって動く。
  • 特徴:右往左往する状況下では、このトップダウン型が最も機能します。

② システム型(Stability)

  • 状況:安定している時、組織が成熟している時。
  • リーダーの役割:効率的なシステムやルールを作り、管理する。
  • メンバーの役割:決められた計画やマニュアル通りに行動し、全うする。
  • 特徴:ルーチン業務が中心の環境では、効率よく成果を出せます。

③ 協働型(Collaborative)

  • 状況:絶え間ない変化が必要な時、複雑な業務が続く時。
  • リーダーの役割:職員間の関係性を築き、助け合いを促進する「環境」を作る。 ※自分で解決しない。
  • メンバーの役割:自分たちで考え、自律的に問題を解決していく。
  • 特徴:正解のない課題に対し、チーム全員の知恵で立ち向かうスタイルです。

2. なぜ福祉現場は「協働型」であるべきか?

前回の講義で触れたように、福祉の仕事は「複雑な業務」の連続です。
利用者の体調、気分、家庭環境は日々変化し、マニュアル(システム型)だけでは対応しきれません。また、常に緊急事態(引っ張り型)であるわけでもありません。

日々刻々と変わる利用者の状況に合わせて、現場の職員が自ら考え、判断し、連携して動く。
つまり、 福祉現場に最も適しているのは、一番右の「協働型(自律分散型)」 なのです。

3. 「カリスマ」の罠とリーダーの変革

しかし、この「協働型」を作るのが、実は一番難しいと言われています。
なぜなら、リーダー自身が 「有能さ」を手放さなければならない からです。

  • カリスマの罠
    能力が高いリーダーや、先が見えてしまうリーダーは、つい「引っ張り型」や「システム型」で運営したくなります。その方が早くて楽だからです。
    しかし、リーダーが答えを出し続ける限り、メンバーは「指示待ち」になり、いつまでも育ちません。
  • リーダーに求められる「我慢」
    協働型チームを作るためには、リーダーは「自分で解決する」ことをやめなければなりません。
    「こうすればいいのに」と分かっていても、あえてメンバーに考えさせ、失敗させ、関係性を育むことに注力する。

「リーダーが変わらなければ、チームは変わらない」
協働型への移行は、メンバーの教育以上に、リーダー自身の変革(マインドセットの転換)という痛みを伴うプロセスなのです。

まとめ:正解を教える人から、環境を作る人へ

緊急時に「引っ張る」ことは必要ですが、平時においてもそれを続けていれば、チームは思考停止に陥ります。

理想の「協働型」を目指すなら、今日からリーダーの仕事を変えてみましょう。
答えを教えるのではなく、「どう思う?」「みんなで話し合ってみて」と問いかけ、メンバーが自走できる環境を整えることへシフトチェンジが必要です。

障害福祉の研修動画サービス「スペシャルラーニング」 では、

  • 「指示待ち職員」を「自律型職員」に変える問いかけの技術
  • 協働型チームを作るための「心理的安全性」の醸成方法
  • リーダーが抱え込まずに権限委譲するためのステップ

など、カリスマ型からファシリテーター型へ、リーダーシップのスタイルを進化させるための具体的なノウハウを動画で配信しています。
自分がいなくても回る、強いチームを作るために。ぜひご活用ください。

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