【障害福祉のチームマネジメント】「集団」と「チーム」は違う!サラスが定義する4つの条件

「私たちはチームです」と胸を張って言える職場は、実は多くありません。
では、人が集まっているだけの「集団」と、機能している「チーム」の境界線はどこにあるのでしょうか?
今回は、元高校球児(キャッチャー)である曽根氏の実体験と、組織論で最も広く受け入れられている サラス(Salas)の定義 を照らし合わせながら、「チームとは何か」を解き明かします。
この記事は、スペシャルラーニングのSL93から抜粋して作成しています。
講師は、厚生労働省 社会保障審議会 介護給付費分科会 介護報酬改定検証・研究委員会委員であり、日本社会事業大学専門職大学院教授の井上 由起子(いのうえ ゆきこ)先生と元厚生労働省 障害福祉課・虐待防止専門官であり、日本社会事業大学 社会事業研究所 客員教授の曽根 直樹(そね なおき)先生です。
1. チームの定義①:達成すべき目標がある
サラスの定義の1つ目は、 「達成すべき目標がある」 ことです。
- 野球の場合:「試合に勝つ(勝利)」という明確な共通ゴールがあります。
- 福祉現場の場合:単に「日々の業務をこなす」のは作業です。「利用者の〇〇な生活を実現する」「今日のイベントを成功させる」といった共通の目標を持って初めて、チームとしてのスタート地点に立てます。
2. チームの定義②:メンバーに果たすべき役割が割り振られている
2つ目は、 「役割分担」 です。
- 野球の場合:ピッチャーは投げる、キャッチャーは受ける、というポジションごとの役割があります。さらに、監督は全体を見て采配を振るうという役割を持ちます。
- 福祉現場の場合:リーダー、サブリーダー、担当者、盛り上げ役、調整役など。全員が同じことをするのではなく、それぞれの得意分野や職責に応じた役割を全うすることで、チームは機能します。

3. チームの定義③:目標達成のためにお互いに依存(協力)し合う
3つ目は、 「相互依存(協力)」 です。ここが最も重要で、難しいポイントです。
- 野球の場合:
- 「送りバント(自己犠牲)」が象徴的です。「自分が打ちたい」という欲求を抑え、ランナーを進めるためにバントをする。これは、次のバッターが打ってくれると信じている(依存している)からこそできるプレーです。
- もし「俺が打ちたい!」とサインを無視して打ってしまったら、連携は崩れ、チームワークは乱れます。
- 福祉現場の場合:
- 「自分の仕事は終わったから帰る」ではなく、「Aさんのケアが大変そうだから手伝う」「苦手な事務作業は得意な人が補う」といった 「お互い様」の関係性 が必要です。一人では達成できない目標だからこそ、他者に頼り、頼られる関係性が不可欠です。
4. チームの定義④:構成員とそれ以外の境界が明瞭である
4つ目は、 「誰がメンバーか(境界)」 がはっきりしていることです。
- 野球の場合:
- グラウンドにいる9人だけがチームでしょうか?
- ベンチの控え選手、マネージャー、スタンドの応援団。どこまでを「自分たちのチーム」と捉えるかで、一体感や力の出し方が変わります。
- 福祉現場の場合:
- 現場の職員だけでなく、事務員、送迎ドライバー、調理員、そしてパート職員。彼らを「チームの一員」として巻き込めているでしょうか?
- 「あの人はパートだから関係ない」と境界線を狭く引いてしまうと、チーム力は低下します。
まとめ:あなたの職場は「チーム」ですか?
サラスの4つの定義に照らし合わせた時、あなたの職場はどうでしょうか。
- 共通の目標はあるか?
- 役割は明確か?
- 互いに助け合えているか?
- 全員を仲間と思えているか?
もし一つでも欠けているなら、それはまだ「チームになりかけの集団」かもしれません。
しかし、チームは最初からあるものではなく、 「ある状態へ向かって作り上げていくもの」 です。この定義を羅針盤にして、今日から本当のチーム作りを始めましょう。
障害福祉の研修動画サービス「スペシャルラーニング」 では、
- チームの「共通目標」を設定するためのワークショップ手法
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