【障害福祉のチームマネジメント事例】個別支援計画の目標が5年間変わらない?「スローガン」からの脱却

「個別支援計画の目標が、5年間ずっと同じままです」

ある生活介護事業所の職員から、このような悩みが寄せられました。
「施設に慣れよう」「毎日楽しく過ごそう」。そんな目標が何年も掲げられ、更新されていない。これは、入所施設や生活介護など、利用期間が長期にわたる現場で陥りやすい 「マンネリ化」の罠 です。

今回は、なぜ目標が「永遠のテーマ」になってしまうのか、そしてチームとして機能する目標設定はどうあるべきかについて解説します。

この記事は、スペシャルラーニングのSL97から抜粋して作成しています。
講師は、厚生労働省 社会保障審議会 介護給付費分科会 介護報酬改定検証・研究委員会委員であり、日本社会事業大学専門職大学院教授の井上 由起子(いのうえ ゆきこ)先生と元厚生労働省 障害福祉課・虐待防止専門官であり、日本社会事業大学 社会事業研究所 客員教授の曽根 直樹(そね なおき)先生です。

1. なぜ「5年間」変わらないのか?

就労移行支援(原則2年)などの期限があるサービスとは異なり、生活介護や入所施設では、毎日の生活の繰り返しが支援の中心となります。

  • 劇的な変化が少ない:知的障害のある方の場合、昨日できなかったことが今日急にできるようになる、といった劇的な変化は稀です。
  • 終わりのない支援:期限がないため、「いつまでに」という意識が薄れがちです。

その結果、「現状維持」が目的となり、「今年も去年と同じでいいや」という思考停止(マンネリ)に陥ってしまいます。

2. それは「目標」ですか?「スローガン」ですか?

多くの現場で見られる「毎日楽しく過ごす」「安心安全に暮らす」といった文言。
これらは、理念としては素晴らしいですが、 「達成すべき目標」 ではありません。

  • スローガン:誰にでも当てはまる言葉。「ニコニコ過ごせてよかったね」で終わってしまい、具体的な行動に結びつきません。
  • 目標(チームの定義): 「達成できたかどうか」 が判定できるもの。

チームの定義には「達成すべき目標がある」とありました。
誰にでも当てはまるスローガンを目標欄に書いているうちは、具体的な支援の手立て(アクションプラン)は生まれません。

3. 「達成すべき目標」に変える3つの視点

マンネリ化した計画を見直し、チームが具体的に動ける目標にするためには、以下の視点が必要です。

① 期限(期間)を区切る
「5年後、10年後」という遠すぎる未来ではなく、「この3ヶ月で」「この季節の間に」といった、短いスパンで区切ります。期限があるからこそ、「そのために今、何をするか」が決まります。

② 年齢相応(ライフステージ)を意識する
5年前と今では、利用者の年齢も体力も変わっています。
「20代の目標」と「60代の目標」が同じであるはずがありません。今の年齢、今の体力、今の興味関心に即しているかを見直します。

③ 具体的なスモールステップ
「楽しく過ごす」ではなく、「〇〇の活動に参加する」「〇〇さんと一緒に作業をする」など、達成できたかどうかが客観的に分かるレベルまで噛み砕きます。

まとめ:目標が変われば、チームも動く

目標が「スローガン」になっていると、職員は思考停止し、ただ毎日を漫然と過ごす「グループ」になってしまいます。

「この期間に、この人に、これを達成してもらいたい」
そう言える具体的な目標が立った時、チームは初めて「じゃあ、私は何ができるか?」を考え始め、機能し始めます。
5年間変わらない計画書があったら、一度立ち止まって、「これは誰のための目標か?」を問い直してみましょう。

障害福祉の研修動画サービス 「スペシャルラーニング」 では、

  • 「スローガン」を「具体的目標」に変換する書き方講座
  • マンネリを防ぐ「短期目標・スモールステップ」の設定ワーク
  • 本人の「やりたい」を引き出すアセスメントとモニタリング手法

など、形骸化しやすい個別支援計画を生きたツールに変えるためのノウハウを動画で配信しています。
計画が変われば、支援が変わります。ぜひご活用ください。

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